【授業の目的】
出土文字資料(発掘調査で発見される古文書や、木板や土器に文字が記されたもの)の検討を通じて、古代東北地方の最新の考古学・歴史研究の成果について学ぶ。
【授業の到達目標】
歴史について様々な視点から理論的に考察することで、健全な批判精神に裏打ちされた幅広い知識を習得することができるようになる。授業内では発掘調査により新たに解明がすすむ、古代東北地方の政治・社会・文化について、文字情報と考古学資料(モノ)の双方から考察する力を身につける。
【授業概要(キーワード)】
考古学、歴史学、出土文字資料、東北、漆紙文書、木簡、墨書土器
【科目の位置付け】
教養科目 文化と社会 歴史学
【授業計画】
・授業の方法
講義形式で進める。授業では、多くの映像資料などをパワーポイントと使用しながらわかりやすく解説する。また、講義終了後、必ず出席カードの裏面に質問・感想を記入して提出すること。質問には、次の回までに全て回答すると共に、感想等について紹介する時間を設定することで、教員からの一方通行ではない講義形式としたい。 なお、授業中は私語厳禁とする(注意しても止めない場合、教室から退出を求める場合がある)。
・日程
1 ガイダンス 2 教科書と歴史の記述、文献史学と考古学 3 日本列島における文字の出現 -鏡や刀、金印と文字- 4 出土文字資料(1)漆紙文書① 移住させられた人々のくらし-秋田城漆紙文書- 5 出土文字資料(2)漆紙文書② 古代人の手紙-宮城県多賀城跡と漆紙文書- 6 出土文字資料(3)木簡① 日本人がコメを常食としたのは、いつ頃か-山形・福島・新潟の種子札木簡- 7 出土文字資料(4)木簡② 古代日本列島の「お取り寄せ」グルメ-平城京木簡と東北の特産物- 8 出土文字資料(5)木簡③ 古代のパスポート-新潟県八幡林遺跡出土木簡- 9 出土文字資料(6)墨書土器① 全国から出土する土器の文字-東北各県の事例と関東- 10 出土文字資料(7)墨書土器② 昔の人が病気になったら?-顔・長文が記された土器- 11 石造文化財(1)中近世の考古学① お墓からわかる家のルーツ 12 石造文化財(2)中近世の考古学② 山寺立石寺の調査 13 災害と考古学 14 現代社会と考古学 15 試験とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
配布資料(A4サイズ・3~5枚)と、パワーポイントや映像資料を用いながら説明していく。考古学や歴史学等の方法と、その思考過程をきちんと理解できているか、明らかになった歴史の意義とはなにか、自ら確認しながら受講してほしい。
・授業時間外学習へのアドバイス
シラバスの内容に沿って、普段から書籍、新聞、テレビ報道などで歴史的関心を高めておくこと。配付資料をきちんと整理し、わからない用語があれば、辞書で調べ、参考文献を読むなどすること。
【成績の評価】
・基準
歴史に関する暗記などは要求しない。考古学や歴史学など授業で学んだ各学術分野の方法論と過程をきちんと理解し、講義の内容をふまえた歴史学的思考が備わったか、それを自らの言葉で論理的に説明できるか、などを評価基準とする。
・方法
中間テスト(30点) 論述式の最終試験(70点) 遅刻は厳禁とし、単位取得には3分の2以上(10回以上)の出席が必要となる。
【テキスト・参考書】
以下が参考書になります。 ・平川南『よみがえる古代文書』岩波新書、1994 ・木簡学会『木簡から古代がみえる』岩波新書、2010 ・岡本公樹『東北不屈の歴史をひもとく』講談社、2012
【その他】
・学生へのメッセージ
歴史、なかでも考古学に興味関心を持って、授業に臨んでください。中学・高校で日本史を勉強していなくても理解できるよう進めたいと考えています。授業内では映像資料などを多く使い、わかりやすい説明を心がけていきたいと思います。 毎回、授業の最後に、感想・質問用紙を提出し、疑問に思ったことを引き延ばさないようにしてください。なお、出席カードのコメントや質問内容については、個人情報に留意し、皆さんの許可を取った上で授業内で例示・回答していく場合があります。
・オフィス・アワー
在室時には何時でも対応します。事前にメール等でアポイントをとるなどして、何時でも研究室においでください。
|