言語学とその周辺領域(言語学)
 Language, Human Beings, and Society (Linguistics)
 担当教員:池田 光則(IKEDA Mitsunori)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 方言やことばの世代差など,紹介する実例を通してことばの「多様性」と「変化」を認識し,自分たちが使っている「ことば」について考える態度を身につけることを目的とする。特に,同じ日本語でも自分のことばとは異なることばに対してどう向き合えばよいのかについて,考えるきっかけを提供したい。

【授業の到達目標】
 この授業を履修した学生は,
 (1) 日本語の中にも,方言や世代差など,さまざまなことばの変種があることを理解することができる。【知識・理解】
 (2) ことばが時代とともに変化していくことと,その要因を理解することができる。【知識・理解】
 (3) 自分たちが使っている「ことば」について客観的に考えることができる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
 ことばの多様性,ことばの変化,方言,ことばの世代差,日本語の「ゆれ」「乱れ」「変化」

【科目の位置付け】
 ことばに関する学問的問題に関心を導き,問題解決のための手がかりを与え,論理的かつ批判的な思考力の涵養を図ります。
 

【授業計画】
・授業の方法
 多くの人がことばを意識するのは,自分と異なることばを使う人と接触する時でしょう。関西地方の大学に進学した友人がいれば,自分のことを「1年生」ではなく誇らしげに「1回生」と称し,「マック」ではなく「マクド」にビッグマックを食べに行っていることでしょう。同じことを伝達・表現するのにも,話し手によって日本語は実に多様な形をとります。
 一方,最近発売された国語辞典には,「ゆるキャラ」「リア充」「爆」など,近年登場した語が新たに収録されています。「壁ドン」が辞書に載る日も遠くないかもしれません。ことばは,時代・世代とともに移り変わってゆくものでもあります。
 この授業では,「ことばの多様性と変化」に注目し,「言語学」という学問がそれをどのように分析・説明しているのかを,ことばを使う主体である私たち人間や私たちの属する社会との関係を念頭におきながら講義形式で紹介します。CD音声やDVD,ビデオ映像も活用し,各地の方言なども実際に聞いてもらう予定です。
・日程
・第1回 ガイダンス(以下の日程は目安です)
・第2回-第6回 ことばは旅する-全国アホ・バカ分布考[方言学・言語地理学]
 (第2回:方言とは,第3回:方言の特色(1),第4回:方言の特色(2) ,第5回:方言分布(1),第6回:方言分布(2) )
・第7回-第10回 「わたし的には」,紅茶「とか」「チョー」好き「じゃないですか」―言葉の世代差,男女差[社会言語学]
 (第7回:階級と言語,第8回:性別と言語,第9回:年齢・世代と言語,第10回:人間関係・場面と言語)
・第11回 「衣紋かけ」,「帳面」,「襟巻」,「半ドン」という語を知っていますか?-ことばは変化する
・第12回-第13回 「ら抜きことば」は間違った日本語?/「1万円弱」っていくら?―ことばの「ゆれ」,「乱れ」,「変化」
 (第12回:ことばの変化の諸相,第13回:ことばの乱れと変化)
・第14回 虹は7色? 6色? 3色? それとも2色?/ズボンを「着る」言語,靴を「かぶる」言語 -言語の相対性と普遍性
・第15回 まとめと学期末筆記試験
 

【学習の方法】
・受講のあり方
 ノートを取りながら講義を聴き,不明な点は遠慮なく質問して下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
 ノートと配付資料を読み返し,講義内容を確実に理解して下さい。また,質問に対する回答や講義内容に対する発展的事項をWebClassに載せますので,毎週必ず読んで疑問点を解決し,理解を深める努力をしてください。
 

【成績の評価】
・基準
 (1)ことばの多様性について理解していること,(2)ことばの変化について理解していること,(3)ことばについて考える力が身についていること,および,それらを自分のことばで的確に表現することを合格の基準とします。
・方法
 学期末筆記試験(配付資料・ノート・参考書(辞典類は不可)の持ち込み可)90点,授業参加度10点。授業を6回以上欠席した場合には,筆記試験の受験資格が与えられません。
 

【テキスト・参考書】
 授業ではテキストを使わず,必要な資料をプリントして配付します。
 適宜,参考図書の紹介をします。北原保雄編著(2004)『問題な日本語』,同(2005)『続弾 問題な日本語』,同(2007)『問題な日本語その3』,同(2011)『問題な日本語その4』(いずれも大修館書店)を読めば,日本語について考えるきっかけになると思います。

【その他】
・学生へのメッセージ
 WebClassのシステムを利用する予定です。配付資料の一部はWebClassから各自印刷して授業に持参して下さい。また,授業中にアンケートを実施し,皆さんの使っている方言や若者のことばを調査し,授業内容に反映します。
・オフィス・アワー
 金曜日:12時から12時30分と16時30分から17時30分(研究室)。

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