錯体の化学-材料から生命まで-(化学B)
 Coordination Chemistry − from Materials to Lives −      (Chemistry B)
 担当教員:坂本 政臣(SKAMOTO Masaomi)
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義(一般)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 「錯体」と言ってもあまりピンとこない人が多いかも知れない。ここで取り上げる「錯体」とは、「金属原子または金属イオンが中心に存在し、これに他の原子、イオン、分子などが結合(配位)したもの」である。このような錯体の化学は、1893年に弱冠27歳のアルフレッド・ウェルナーが立体構造についての論文を発表して以来、めざましい発展を遂げた。その結果、いろいろな機能を有する錯体が数多く合成され、生命維持のために必要不可欠な錯体も見つけられている。
 この講義では、そのような錯体化学の基礎を学び、材料から生命に至るまで、金属イオンが関わっているさまざまな物質や反応について錯体化学の観点から学習する。また、錯体の利用・応用に向けた研究についても学習する。

【授業の到達目標】
 化学、とりわけ錯体化学の基本的な事柄を理解できるようになる。身の回りの材料・生命の維持・医療などと錯体との関わりや最新の研究を知ることによって、錯体化学の重要性を認識できる。

【授業概要(キーワード)】
 錯体化学、錯体、機能性錯体、材料、生命、医療

【科目の位置付け】
 この講義は、錯体化学の基礎と応用を学ぶことによって、科学的な考え方を備えた幅広い教養を習得することを目的とする。

【授業計画】
・授業の方法
 パワーポイントを用いた講義形式で行う(必要に応じて板書をする)。
・日程
第1回目 講義のすすめ方とガイダンス
第2~7回目 <錯体化学入門(身近な錯体を紹介しながらすすめる)>
        ○錯体とは?
        ○錯体の構造
        ○配位子
        ○異性体
        ○錯体の生成と安定度定数
        ○金属イオンと配位子との結合(配位結合)
第8回目 第1~7回目までのまとめと中間テスト
第9~14回目 <錯体の利用と最新の研究>
        ○錯体と材料(塗料・顔料、燃料電池、触媒など)
        ○錯体と生命・生体(金属酵素、植物成長など)
        ○錯体と医療(治療薬と診断試薬など)
第15回目 第9~14回目までのまとめと期末テスト

【学習の方法】
・受講のあり方
 パワーポイントや板書で示される講義内容をこまめに筆記して内容の理解に努めること。
・授業時間外学習へのアドバイス
 錯体化学に関する参考書がたくさん出版されている。それら参考書を紹介するので、講義の予習・復習には図書館などでできるだけ利用してもらいたい。

【成績の評価】
・基準
 本講義をとおして、錯体化学に関する基本的な用語と知識を的確に習得しているかどうかを基準とする。
・方法
 平常点20 %、中間テスト40 %、期末テスト40 %程度とし、総合的に評価する。

【テキスト・参考書】
 テキスト:特に指定しないが、必要に応じて資料を配布する。
 参考書:講義の最初に紹介する。

【その他】
・学生へのメッセージ
 あまり馴染みのない錯体がどのようなものであるか、また、身の回りでいかに多く利用されているか知ってもらえると思います。この講義によって、少しでも多くの人たちが錯体に興味を抱いてくれることを期待しています。

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