東北の生態系のなりたち(生物科学)
 Origin of the ecosystem in Tohoku district(Biological Sciences)
 担当教員:永幡 嘉之(NAGAHATA Yoshiyuki)
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義(一般)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
東北地方の特色とは何か、山形県の特色とは何か。また、自然の豊かさとは何か。動植物の関係性すなわち生態系を通して、人と自然の歴史を調べ、東北地方の自然の成り立ちについて考える。

【授業の到達目標】
1)東北地方の特色とは何かを、自然環境の点から具体的に理解し、説明することができる。
2)抽象的に語られることが多い自然の「豊かさ」について、具体的に理解することができる。
3)自ら地域ごとの自然環境の特色を見出す着眼点を、持てるようになる。
4)人間と自然とのかかわりについて理解し、歴史性も考慮しながら思索を深められる。

【授業概要(キーワード)】
自然史 生態系 昆虫 植物 東北地方

【科目の位置付け】
生物界でみられる生命現象と、それを支えてきた地球および自然環境に関する基本的な知識を学ぶことによって、生命や地球を的確な科学的視点でとらえることができる生命観・地球観を養うものである。

【授業計画】
・授業の方法
1)毎回、東北地方の生態系について、一つのテーマを設定する。生態系の仕組みを解説するとともに、それが成り立つまでの人間との関わりなど、歴史性にまで踏み込んで解説する。
2)時に簡潔なレポートを課す。これは、受講生の理解度を把握することで、講義に反映させるためのものである。
・日程
テーマと順序は以下のとおり。
第1回目 10月6日 東北地方のカタクリの花畑の歴史
第2回目 10月13日 サクランボ畑でのマメコバチの養蜂
第3回目 10月20日 オキナグサと草原の生きもののゆくえ
第4回目 10月27日 水田の生きものはどこから来たか
第5回目 11月10日 残雪期のツキノワグマの生態;ゼンマイの利用はどのように変遷してきたか
第6回目 11月17日 クワ畑の里山生態系と養蚕の歴史
第7回目 11月24日 チョウセンアカシジミの歴史をDNAからたどる
第8-9回目 12月1日、12月8日 津波跡地の生態系はどのように変わったか(1、2)
第10回目 12月15日 原発事故で生態系はどのように変わったか
第11回目 12月22日 外来種問題と山形の生態系
第12回目 1月19日 世界のブナの森の歴史をよみとく
第13回目 1月26日 残された昆虫標本から環境をよみとく
第14回目 2月2日 極東ロシアの自然から東北の本来の自然環境を考える
第15回目 2月9日 試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
1)毎回、写真を示しながら解説してゆくが、機械的にメモをとろう、記憶しようと焦るのではなく、まずは話の主題が何かを読み取り、理解することに重点を置くこと。
2)毎回簡潔なレポートを課すが、学生それぞれの理解度や考え方を把握し、必要に応じて解説を補うためのものなので、評価を意識する文章ではなく自分の意見を書くこと。
・授業時間外学習へのアドバイス
1)講義時間にとどまらず、日常生活のなかで山形の動植物の存在に気づくようになり、身のまわりの自然の特色や季節の進み具合に気づく「視点」を養うことを目的としている。

【成績の評価】
・基準
1)最終回に行う試験において、生態系を切り口に、東北地方の自然環境の特色について、講義内容の孫引きではなく自分の言葉で説明できていることを、合格の基準とする。
2)授業で紹介された知識を暗記しているばかりでなく、身のまわりに広がる生態系すなわち動植物の存在に気づく視点を、どれほど持てているかを評価の対象とする。
・方法
1)平常点(毎回のレポートへの姿勢など授業態度) 50% 2)期末試験での論述 50%
上記の得点の合計をもって評点とする。

【テキスト・参考書】
なし

【その他】
・学生へのメッセージ
1)東北地方の具体的な動植物を題材にするため、高校で生物を履修していない学生、あるいは文系の学生にも理解でき、かつ親しみが持てる内容である。
2)生態系すなわち生物学に興味がある学生ばかりでなく、歴史や文化も含めて東北地方の特色を知りたいという学生の受講も歓迎する。

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