【授業の目的】
現在,学力やカリキュラムの評価への関心が高まっている。「評価」は,単なる効果測定 とは異なり,教育実践の実態を見直すためのものである。国内外においても学力の向上を目指し,評価に基づいたさまざまな施策やカリキュラムの改善が進められている。本授業では,「Ⅰ 今求められる資質・能力」,「Ⅱ 国内外の事例研究」の2つのテーマを学習する。
【授業の到達目標】
本授業の到達目標は次のとおりである。 ・今求められる学力とカリキュラムの評価の在り方について理解できる。また,学力調査資料等を基にした国内外の施策やカリキュラムのジレについて研究し,課題解決のための改善策を提案することができる。
【授業概要(キーワード)】
カリキュラム評価,学力問題,国際学力,学力向上
【科目の位置付け】
本授業は,共通科目の「教育課程の編成・実施に関する領域」に位置づけられ,教育課程の編成における課題を,学力の問題と関連させながら俯瞰できるようにする。
【授業計画】
・授業の方法
本授業では,学習指導要領をはじめ,国内外の学力調査資料とカリキュラムに関する資料及び文献を用いて講義を行う。次に,講義内容や資料をもとにグループや全体での討論をとおして,学力やカリキュラムの課題を考究する。その課題意識に基づきテキストをまとめ,発表・討論する。最後に,学力とカリキュラムの評価における課題の解決方策をグループなどで検討し,全体で討論する。
・日程
第1回:オリエンテーション及び学力とカリキュラムの評価の必要性(担当:出口・樋渡) 第2回:学習指導要領の誕生と我が国における教育課程の変遷(担当:加藤・出口) 第3回:学習指導要領改訂の基本的な考え方(担当:加藤・出口) 第4回:資質・能力① なぜ資質・能力の育成が重視されるのか(担当:加藤・出口) 第5回:資質・能力② 資質・能力とは何か(担当:出口・加藤) 第6回:資質・能力③ 21世紀に求められる資質・能力とは(担当:出口・加藤) 第7回:学力とカリキュラムの評価に関する理論と方法(担当:出口・加藤) 第8回:国内外の取組から 事例研究①国外編(担当:加藤・出口) 第9回:国内外の取組から 事例研究②国外編(担当:加藤・出口) 第10回:国内外の取組から 事例研究③国外編(担当:加藤・出口) 第11回:国内外の取組から 事例研究④国外編(担当:加藤・出口) 第12回:国内外の取組から 事例研究⑤国内編(担当:出口・加藤) 第13回:国内外の取組から 事例研究⑥国内編(担当:出口・加藤) 第14回:国内外の取組から 事例研究⑦国内編(担当:出口・加藤) 第15回:本授業の総括(担当:出口・加藤)
【学習の方法】
・受講のあり方
現職教員院生は,学校の現状を実態に即して丁寧に把握し,その解決策を具体的に構想するように努めること。学部卒院生は,学校教育の課題を適切に把握し,積極的な授業参加を通じて,自らの考えを広げたり,深めたりすることが必要である。
・授業時間外学習へのアドバイス
参考書や資料などを丁寧に読み,教育課程編成や学力向上における課題と手立てを整理することが大切である。
【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準 ○学部卒院生:学力とカリキュラムを評価する視点と方法を理解し,学力とカリキュラムの評価をとおして実践的な課題を指摘することができる。 ○現職教員院生:学校や児童生徒の実態等から,学力とカリキュラムを評価することができ,その課題と改善策を具体的に指摘することができる。
・方法
評価基準に照らして,作成するレポート,プレゼンテーション及び授業への積極的参加などを総合的に評価する。
【テキスト・参考書】
テキスト:・国立教育政策研究所(編)『資質・能力 理論編』(東洋館出版社,2016年) 参考書: ・志水宏吉・鈴木勇(編)『学力政策の比較社会学【国際編】』(明石書店,2012年) ・志水宏吉・高田一宏(編)『学力政策の比較社会学【国内編】』(明石書店,2012年) ※授業には「学習指導要領」を携行すること。また,学力に関しては,国立教育政策研究所等のHPに掲載された資料を使用することがある。 参考書・参考資料等:・佐藤学『学力を問い直す ―学びのカリキュラムへ―』(岩波ブックレットNo.548,2001年) ・田中統治・根津朋実(編)『カリキュラム評価入門』(勁草書房,2009年)
【その他】
・学生へのメッセージ
他の共通科目とも関連させながら,教職全体を意識して受講することが望ましい。
・オフィス・アワー
各教員のオフィスアワーは,第1回の授業時に説明する。
|