学校研究推進の実際と課題
 Facts and Tasks of Research Promotion at School
 担当教員:出口 毅(DEGUCHI Takeshi)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
学校教育の質を高める上で,不可欠の要素である学校研究を推進するスクールリーダーとして必要な資質や能力を身に付けることを目標とする。学校研究の現状として授業研究が形式的になりがちであることや,研究の評価があいまいなものになりがちであることなどがあげられる。この現状を踏まえ,具体的な学校の事例を検討することをとおして学校研究の推進について考究する。授業では,PDCAのマネジメントサイクルを生かし,学校の教育課題に応じた学校研究体制の組織,授業改善に機能する授業研究のあり方,学校研究成果把握のあり方等の観点から検討する。

【授業の到達目標】
PDCAのマネジメントサイクルを生かした,学校の教育課題に応じた学校研究体制の組織,授業改善に機能する授業研究のあり方,学校研究成果把握の方法について理解するとともに,学校研究を推進するスクールリーダーとして必要な実践力を身に付けることができるようになる。

【授業概要(キーワード)】
学校研究,PDCAサイクル,授業改善,教員の研修

【科目の位置付け】
この授業は,学校研究についての的確な現状理解に立って,望ましいあり方について考察することのできる専門的な能力を身に付けるものである。

【授業計画】
・授業の方法
① 講義と演習の組み合わせ(必要とされる知識・理論的背景を演習で活用しながら修得),② 事例検討(学校の実践事例を,学習指導案や授業記録VTR等を活用して分析,③ アクションリサーチ型フィールドワーク(附属学校園等と連携。学習指導案の事前検討→視点を明確にもっての授業参観→事後研での検討),④ 実践プレゼンテーション(実践の成果・改善点をプレゼンテーションにより提案)
・日程
第1回:学校研究推進における諸課題/小中学校の学校研究上の課題を明らかにする視点を講義と討議によって提示する。(講義)
第2回:学校研究の基本的な考え方を整理する。特に学校研究に求められていることと,研究を充実させるために必要なこと,という2つの視点から検討する。(講義・演習)
第3回:学校研究の主題設定について検討する。主題,仮説,及び視点の設定等,それらが研究推進に果たす役割について考察する。(事例検討)
第4回:設定した主題,仮説及び視点に応じた検証方法について検討する。(講義・演習)
第5回:授業の設計,実施,検証,まとめという研究の進め方と具体的手続きについて,学校研究へのアクションリサーチを行う。その際のねらい・手順・具体的手続きを解説する。(講義・演習)
第6回: 学校研究の進め方をPDCAマネジメントサイクルにより明確にし,効果的な推進方法を検討する。(講義・演習)
第7回: フィールドワーク①(学校課題の把握)/対象に選定した学校の課題及び研究の現状について把握する。(フィールドワークなど)
第8回: フィールドワーク②(授業研への参加準備)/対象校の学習指導案を検討し,授業改善につながる授業参観の視点を明確にもつ。また,いわゆる「事前研」の機能を明らかにする。(フィールドワークなど)
第9回: フィールドワーク③(授業研への参加)/対象校の授業研究会に参加し,授業における児童生徒の具体的な反応等のデータを集める。
第10回: フィールドワーク④(事後研への参加)/対象校の事後検討会に参加し,授業改善の成果を児童生徒の具体的な反応によって検証する。
第11回~第12回: 授業改善の成果把握/フィールドワークによって明らかにした授業改善の成果を集約する。(演習)
第13回: 授業改善の成果報告/その成果把握の妥当性・的確性について検討する。(プレゼンテーション)
第14回:研究活動のプログラム作成,ワークショップやファシリテーションなどの実際を検討する。(講義・演習)
第15回: まとめ/これまでの授業を振り返る。

【学習の方法】
・受講のあり方
効果的な学修にするために,学校の現状を実態に即して丁寧に把握し,その解決策を具体的に構想するように努めることが大切である。
・授業時間外学習へのアドバイス
参考文献等を読み,学校教育の成果と課題を整理するように心がける。また、フィールドワークをとおしての観察を丁寧に記録し考察することが必要である。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準:○(学部卒院生)学校の教育課題を把握し,校内研究推進のための具体的な方法を考えることができる。
○(現職教員院生)学校の教育課題を把握し,校内研究推進のための具体的な対策を立てることができる。
・方法
以下の評価の観点に則り,フィールドワークとその成果の検証プレゼンテーションを中心に,総合的に判断し,評価する。
・ 学校研究の課題や成果の把握方法についての意義や課題をどのようにとらえたかを,事例検討における討論の状況によって評価する。
・ 課題に即した学校研究推進のあり方の考察と,授業改善の具体的な提案を行う実践的能力について,演習及び成果把握状況によって評価する。

【テキスト・参考書】
テキスト:指定しない。
参考書:○秋田喜代美 キャサリン・ルイス(編)『授業の研究 教師の学習』(明石書店,2008年)
○福岡県教育センター(編)『校内研修のすすめ方』(ぎょうせい,2013年)

【その他】
・学生へのメッセージ
主に現職教員院生の履修を想定しているが,学部卒院生でも関心がある者は受講可能である。
・オフィス・アワー
第1回の授業時に説明する。

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