学社融合の実践と課題
 Practice and Tasks of School/Society Fusion
 担当教員:江間 史明(EMA Humiaki),加藤 咲子(KATO Emiko)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
地域の教育力の低下が指摘される中で、学校と家庭・地域社会が適切な役割分担と連携を図りつつ、学社融合を円滑に推進していくことが課題となっている。これは、学校と地域社会の間に、双方にメリットが生まれる関係をつくることを意味する。本授業は、山形県戸沢村の地域づくり学校づくりの実践に参加し、学社融合の実践の効果とそれを支えるシステムについて学ぶ。学校と地域社会の学習活動をコーディネートする教師の役割と方法の基礎を、学社融合の実践をもとに身につけることをねらいとしたい。

【授業の到達目標】
1 学社融合実践の事例から、学校と地域の連携による教育効果を、自分の言葉で説明できる。
2 学校と地域社会の学習活動をコーディネートする教師の役割を、実地調査をもとに説明できる。
3 学校と地域を結ぶアクションプランを提案できる。

【授業概要(キーワード)】
学社融合、地域連携、地域の教育力

【科目の位置付け】
学校力開発コース コース別選択科目

【授業計画】
・授業の方法
○戦後日本の「地域社会と教育」実践を歴史的にたどると同時に、今日の学校地域支援本部や学校と地域の連携実践の検討を行い、今日の学社融合の課題について理解する。あわせて「学力」「カリキュラム」概念の再検討を行う。
○ 学社融合の実践が子どもの育ちと保護者・地域住民の意識に与える影響については、山形県戸沢村のアンケート調査を検討する。
○以上をふまえて戸沢村での調査実習を行う。戸沢村における学社融合の実践に参加するとともに、地域住民に対する面接調査を行う。学校のコーディネーターの役割については、現地において実務家教員が担当する。
○ 受講者のとりあげた学校および地域を対象にしたアクションプランとしてまとめる。
・日程
第1回: オリエンテーション/講義のねらい及び進め方についての説明(江間史明)
第2回: 学校地域支援本部の取組と山形県の状況。(樋渡美千代)
第3回: 学社融合実践の検討①/山形県戸沢村を検討する。(江間史明)
第4回: 学社融合実践の検討①/コミュニティスクールの実践を検討する。(江間史明、樋渡美千代)
第5回: 実地調査実習の準備/面接調査における質問事項などの整理(江間史明、樋渡美千代)
第6回: 実地調査実習/戸沢村への実習を行う。①学校カリキュラムにおける学社融合実践の調査,②地域住民との懇談会,③面接調査,④学校と地域で行う学社融合の実践への参加(江間史明,樋渡美千代)
第7回: 実地調査実習(江間史明、樋渡美千代)
第8回: 実地調査実習(江間史明、樋渡美千代)
第9回: 実地調査実習の「ふり返り」レポートの相互検討
第10回: 「学力」概念の再検討を、志水宏吉『学力を育てる』を用いて行う。(江間史明,樋渡美千代)
第11回: 「カリキュラム」概念の再検討を、マイヤー『学校を変える力』を用いて行う。(江間史明、樋渡美千代)
第12回: 学校と地域をむすぶアクションプラン発表準備(江間史明、樋渡美千代)
第13回: 学校と地域をむすぶアクションプラン発表準備(江間史明,樋渡美千代)
第14回: 小学校アクションプラン・レポート発表と検討(江間史明,樋渡美千代)
第15回: 中学高校アクションプラン・レポート発表と検討(江間史明,樋渡美千代)

【学習の方法】
・受講のあり方
学社融合とは、学校が教育活動に地域の人材を活用したり、地域が学校の子どもを地域活動に参加させようとする関係とは、次元が異なるものである。「学校と地域の互恵性」(相互にWin,Win の関係となること)をどのように具体化するかを考えながら、授業にのぞんでほしい。
・授業時間外学習へのアドバイス
調査実習が講義の一つの中心である。そこで質問したり、考えたりしたい課題を前半の講義で見つけるようにしてほしい。地域の教育力は、ある地域にはあって、別の地域にはない、という実体的なものではない。その地域でどのような学校と地域によるプロジェクトが動いているかによる。そうしたプロジェクトのありようとそれを支える教師の役割を考えることに、毎回の授業内容を関連づけていってほしい。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準:
学部卒院生:学校と地域連携の教育効果を具体化するプラン(地域教材など)を提案できる。
現職院生:学校と地域連携の教育効果と教師の役割を自分の言葉で説明し、学校と地域をむすぶアクションプランを現任校を対象に作成できる。
・方法
以下の観点から、グループ発表資料及び最終レポートを中心に、担当教員が評価する。
・ 学校と地域社会に関する実践の歴史的展開に関する理解/・ 今日の学社融合実践の特質と課題に関する理解/・ 調査実習における保護者、地域住民とのコミュニケーションと資料探索の進め方/・ 地域連携における教師の役割の理解/
・ 発表レポートの内容の内容水準

【テキスト・参考書】
・デボラ・マイヤー『学校を変える力 イースト・ハーレムの小さな挑戦』岩波書店、2011年
・志水宏吉『学力を育てる』岩波新書、2005年

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