教材開発のための教科内容研究(代数学領域)
 Curriculum Contents for Teaching Material Development (Algebra)
 担当教員:中西 正樹(NAKANISHI Masaki)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
算数・数学の「数と式」,「数量関係」,「関数」の領域(代数学領域)の学習では,次の点が課題となっている.
  ・文字式を具体的事象と関連づけて意味を読みとる点,・反比例や一次関数の関係を式で表す点,・日常的事象を関数を用いて解釈し説明する点,などである.本授業では,教材開発の基盤となる教師の数学的専門性を図るため,算数・数学の「数と式」,「数量関係」,「関数」の領域の教科内容を,これらの基礎となっている専門的背景と結びつける学習を行い,現職教員及びストレートマスターの数学の理解力を高める.そして,今日的課題にこたえる数学的活動(数学を生み出す活動,数学を利用する活動,数学的に伝える活動,数学的に実感する活動など)を充実させる教材の開発能力の向上を図る.

【授業の到達目標】
1.代数領域分野に関する高い専門性を身につけることができる.
2.教育課程実施状況調査で「数と式」,「数量関係」で課題とされた点を解決する教材を開発できる.

【授業概要(キーワード)】
教材研究・教材開発・代数学

【科目の位置付け】
この授業は,実践的な数学指導力・展開力を身につけ,各自が設定した代数に関連したテーマについて,主体的かつ継続的に学修する力を身につけるものである(教育実践研究科のディプロマ・ポリシー,カリキュラムポリシー).

【授業計画】
・授業の方法
○初等・中等学校の算数・数学教育(代数学領域)における教材開発の目的を明確にするため,算数・数学教育の現状と課題等について,学習指導要領及び教育課程実施状況調査について考察する.(演習)○代数学領域の中から具体的なテーマを設定し,高度な専門的知識を身につける.(演習)○選択テーマに関連した専門的背景の内容を理解・分析し,教材化へ関連付ける学習を行う.(文献調査・演習,発表活動を含む)○学習内容をプレゼンテーションし,相互批評と評価を行う.(グループ討議,発表活動)
・日程
第1回:算数・数学教育(代数学に関わる領域)の現状と課題(演習)学習指導要領を含め,初等及び中等教育の「数と式」,「数量関係」,「関数」の領域(代数学領域)をめぐる近年の算数・数学教育の現状と課題等について検討する.
第2回:算数・数学教育(代数学に関わる領域)をめぐる教材開発の動向.コンピュータ領域との関連性を含めた議論を行う.(演習)
第3回:算数・数学教育(代数学に関わる領域)における教材開発の目的と授業における役割(演習)
第4回:代数学領域における専門性の育成(論理代数と思考力を育てる授業の関係)
第5回:代数学領域における専門性の育成(代数学領域とコンピュータ領域の融合 - 線形代数を例に)
第6回:代数学領域における専門性の育成(代数学領域とコンピュータ領域の融合 - n進法を例に)
第7回:代数学領域における専門性の育成(代数学領域とコンピュータ領域の融合 - 符号理論を例に)
第8回:代数学領域における専門性の育成(代数学領域とコンピュータ領域の融合 - 論理代数とコンピュータ)
第9回:代数学領域における専門性の育成(実社会の問題への応用)
第10回:代数学領域における専門性の育成(最先端の話題について)
第11回:代数学領域における教材作成とプレゼンテーションの準備
第12回:教材の分析と評価(グループ討議)各教材の効果や課題等についてグループで討議し,評価を行う.また,改善点についても提案する.
第13回:教材の改善とプレゼンテーション1(発表)作成した教材を指摘に基づいて改善し,発表する.
第14回:教材の改善とプレゼンテーション2(発表)
第15回:学習の成果,課題等の検討と学習全体のまとめ これまでの学習の成果をもとに初等及び中等教育の算数・数学における「数と式」,「数量関係」,「関数」の領域(代数学領域)の今後の課題等について討論し,授業全体のまとめを行う.(演習)

【学習の方法】
・受講のあり方
(講義)議論を通して,算数・数学教育における教材開発を考える.(演習)教材開発及びその発表を通して,算数・数学教育における教材開発を考える.
・授業時間外学習へのアドバイス
算数・数学の教材について,情報収集を行い,その都度まとめておくこと.プレゼンテーションの進め方について,反省点をまとめておくこと.

【成績の評価】
・基準
 ・学部卒院生:代数的な考えを用いた教材開発を行うことができ,それを用いて学習指導案を作成できる.
 ・現職院生:代数的な考えを用いた教材開発を行うことができ,その教材と現行の多数の教材との比較を説明できる.更に数学教育の経験を踏まえたて学習指導案を作成できる. 
・方法
 次の項目について,プレゼンテーションの内容,提出物(レポート,作成した教材など)を対象に評価を行う.
 ・教材の数学的意味を十分に把握しているか
 ・主体的かつ積極的に参加し,設定された目標の到達に向けて努力しているか.
 ・演習や課題発表の内容等が設定された目標に到達しているか.内容に対する理解や工夫等が見られたか.

【テキスト・参考書】
テキスト:なし,参考書:なし

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