教材開発のための教科内容研究(化学領域)
  Curriculum Contents for Teaching Material Development (Chemistry)
 担当教員:石井 実(Minoru ISHII)
 担当教員の所属:地域教育文化学部非常勤講師
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
理科教育の化学領域,特に、小・中学校を貫く科学の基本的な見方や概念の4つの柱の一つである「粒子」概念に焦点化して,教材開発の実践を行うとともに、器具や薬品の安全な取り扱いとその指導方法等についても学習する。 次に、教材開発の基礎となる教師の専門性の向上を図るため,化学の発達史及び現代化学の研究成果と理科の内容とを関連付けながら学習し、さらに、化学を基盤とする科学技術の発展と実社会・実生活との関係についても理解する。これらの学習を通して,科学的な思考力・表現力の育成をめざし、観察・実験の結果を整理し考察する学習活動、科学的な概念を利用して考え説明する学習活動、探究的な学習活動を充実させるための教材の開発能力の向上を図る。

【授業の到達目標】
初等及び中等学校の理科(化学領域)の科学的概念,特に「粒子」概念を中心とした物質観を育成する教材を開発するとともに,観察・実験活動を適切かつ安全に指導することができる。

【授業概要(キーワード)】
教材開発・化学・実験

【科目の位置付け】
教科教育高度化分野の選択科目

【授業計画】
・授業の方法
○ 初等及び中等学校における理科の教材開発の目的を明確にするため、理科教育の現状について、学習指導要領も含めて考察する。(演習)
○ 理科の教科内容の背景にある化学史及び現代化学の成果と化学教材との関係について考察する。(演習)
○ 化学の専門的な研究に関して講述する。(講義)
○ 生徒実験と演示実験の最近の流れ(マイクロスケール実験に関する内容研究)について、実験に関する安全教育を行う。(演習、実験・実習)
○ 初等及び中等学校の理科の化学的領域の中から、具体的なテーマを設定して教材開発を行う。
○ 各グループで作成した教材についてプレゼンテーションし、相互評価する。(グループ活動、発表・討論)尚、グループ活動では、現職教員と学部新卒者のグループに分けて作業を行なう。
・日程
第1回:オリエンテーション/授業の方法と評価に関するガイダンス、化学に対する興味・関心の調査
第2回:理科教育(化学領域を中心として)の現状(演習)
初等及び中等学校理科:化学領域における教材開発をめぐる近年の理科教育の現状を理解する。
第3回:理科教育における教材開発の目的と授業における役割(演習)
第4回:実験教室(フレンドシップ事業など)における実践・経験をもとに、理科(化学領域)における教材開発をめぐる課題等を明確にし、各学校での教材利用等の可能性を議論する。(演習)
第5回:理科(化学領域)の専門性の育成1-化学の史的変遷と現代化学-(演習) 理科の専門性の背景となる化学に関する史的変遷と現代化学の成果について、初等及び中等学校の内容や教材と関連づけて分析する。
第6回:理科(化学領域)の専門性の育成2-化学における「粒子」概念-(演習)
第7回:理科(化学領域)の専門性の育成3-「粒子」概念に関する教材について-(演習)
第8回:理科(化学領域)の専門性の育成4-実験を中心とする探究活動の在り方-(演習、実験)
第9回:理科(化学領域)の専門性の育成5-実験及び安全教育-(実習、実験)
第10回:理科(化学領域)の専門性の育成6-科学技術の発展と実生活とのかかわり-(演習)
化学を基盤とする科学技術の発展が、実社会・実生活の中でいかに活用され役立っているか調べ、「科学技術と人間」に関する総合的な視点からまとめ、発表する。
第11回:理科の化学領域における教材作成とプレゼンテーションの準備(演習)
第12回:プレゼンテーション1(発表・討論)
第13回:プレゼンテーション2(発表・討論)
第14回:作成した教材(指導案を含む)の改善(演習)
第15回:まとめ(演習)/これまでの学習の成果と授業全体のまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
「教員には、この程度に知識で十分」とか「専門家になるのではないから・・・・」などと考えず、深い興味と知識の涵養を心がける。
・授業時間外学習へのアドバイス
その日の講義に関連した基礎知識を持っていると学習の助けになる。すでに大学で”講義の予習”を日々行っているはずであるので、”大学院生”に対して改めて申し上げることはない。これからもそのスタイルを続けてもらいたいと思う。また、”講義の復習”も大学時代に日々行っているはずなので、これからもそのスタイルを続けてもらいたいと思う。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準:
・学部卒院生:理科(化学領域)の諸理論や諸法則を理解した上で、科学的概念を育成する教材を構想することができる。
・現職教員院生:理科(化学領域)の諸理論や諸法則を理解した上で、科学的概念を育成する教材を開発することができる。
・方法
以下の評価の観点に則り、レポート、発表内容、及び実験技能等を中心に、総合的に判断し評価する。
・ 演習やディスカッション等に主体的・積極的に参加し,設定された目標の到達に向けて努力しているか。
・ 演習や課題発表の内容等が設定された目標に到達しているか。
・ 内容に対する理解や工夫等が見られたか。
・ 器具や薬品の取り扱い及び観察・実験における安全に十分配慮しているか。

【テキスト・参考書】
参考書:身近な現象の化学 1及び2 (培風館)および 化学実験書(実験で学ぶ化学の世界1-4など)
参考資料:講義時に適宜配布する。

【その他】
・学生へのメッセージ
自然科学(理科)の授業を行うにあたり、教員自身がその分野に深い興味や知識を持つことが必要であることを忘れずに。
・オフィス・アワー
研究室にいるときは何時でも

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