生体高分子構造解析特論
 Structural Analysis of Biopolymers
 担当教員:神保 雄次(JINBO Yuji)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)バイオ化学工学分野
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
本講義は,溶液中における高分子形態の決定法,溶液の性質を説明する高分子溶液論,小角X線散乱法によるナノ構造解析の原理を学ぶことを目的とする。

【授業の到達目標】
様々な分子量測定法の原理を理解し,その長所短所が説明できるようになる。
溶液の性質が高分子のかたち分子間相互作用で予測できるようになる。
小角X線散乱法によるナノ構造の解析ができるようになる。
生体高分子の構造変化と機能発現の関係が推察できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
高分子溶液,分子量測定,浸透圧,粘度,光散乱,超遠心,質量分析,GPC,小角X線散乱,中性子小角散乱,分子形態,みみず鎖モデル,会合体,ゲル,分子間相互作用,第2ビリアル係数,密度,水和

【授業計画】
・授業の方法
パワーポイントを用いて講義します。スライドのコピーは事前配布します。
試験はありません。レポート課題を3回課します。
・日程
第1回:ガイダンス
第2回:生体高分子の分類
第3回:高分子溶液論とは
第4回:分子量測定法(凝固点降下,浸透圧)
第5回:分子量測定法(沈降平衡,粘度)
第6回:分子量測定法(光散乱,質量分析,GPC)
第7回:みみず鎖モデル,分子間相互作用
第8回:小角散乱の基礎理論(電磁波の干渉,Debye散乱の式)
第9回:小角散乱の基礎理論(Guinier近似,粒子散乱関数)
第10回:小角散乱の基礎理論(準希薄溶液,濃厚溶液,固体,長周期構造)
第11回:小角X線散乱装置(装置概要,放射光実験施設)
第12回:データ解析の詳細
第13回:蛋白質の形態変化と機能発現
第14回:生体高分子溶液のゲル化
第15回:中性子小角散乱法

【学習の方法】
・受講のあり方
配布資料を読み,理解できなかった箇所を明確にしておく。その上で,講義中の説明を聴き,理解不足の箇所に補足説明を書き入れて下さい。質問をすればより具体的に説明を加えますので,積極的に質問して下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
専門用語の定義,意味を知っているか否かでその他の理解度が全く異なります。配布資料にしっかり目を通し,意味不明な専門用語を参考書やweb等で調べておきましょう。理解不足の箇所には印を付けるなどし,講義中に問題解決する準備をしておきしましょう。

【成績の評価】
・基準
以下の3点がレポートにまとめられているかで成績評価します。
① 各種分子量決定法が理解できているか。(実験原理の図と解析式が書けるか。長所と短所が説明できるか。)
② 小角X線散乱法の原理が理解できているか。(装置の概略図が描けるか。様々な解析式がどの様な仮定の下導かれているか理解しているか。)
③ 生体高分子の機能について,分子構造と相互作用の観点から例を挙げて説明できるか。
・方法
出席状況とレポート内容を総合評価する。出席30点/レポート70点、合計100点。60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:
なし。講義の2週間前に講義資料を事前配布します。
参考書:
高分子化学 第5版: 村橋 俊介・小高 忠男・蒲池 幹治・則末 尚志 編著,共立出版 (2007) 3,900円+税
高分子の構造と物性: 松下裕秀 編著,講談社 (2013) 6,400円+税
高分子実験学 高分子の構造(2) 散乱実験と形態観察: 高分子学会 編,共立出版 (1997) 14,000円+税
改訂 蛋白質機能の分子論: 浜口浩三 著,学会出版センター (1990) 3,400円+税

【その他】
・学生へのメッセージ
光,X線,中性子を用いた散乱法は,物質の「ありのまま」の姿を見る実験法です。本講義の内容を会得したなら,散乱データから様々な構造情報を自由自在に引き出せるようになっているでしょう。材料物性をナノレベルで知りたいと思っている企業の方が多くいます。しかし,実験のノウハウと適切な解析法が分からずに,ペンディングにされている問題が多々あります。そんな中,構造解析法を理解し,そこで起こっている現象を分子レベルで考える事のできる学生君は,企業にとって是非とも欲しい貴重な人材ではないでしょうか。
・オフィス・アワー
金曜日16:00~17:00 , 9号館9-601-1号室

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