【授業の目的】
原価計算は企業の合理的な経済活動に不可欠な要素である.それは,製品原価を計算するためだけのものではなく,企業全体の原価管理,収益性測定,投資意思決定など様々な活動のために必要とされる.経営情報システムのサブシステムとしての原価計算の意義について理解し,技術経営・価値創造の基礎となる会計リテラシーを育成する.
【授業の到達目標】
本講義では,会計理論と技術・簿記知識などを基礎としながら,より具体的な企業実践としての「製造企業における貨幣情報の流れ」を理解することを主眼として,以下の各点の習得を目指す. ・企業における営業活動の範囲,意味,効用が理解できる. ・製造企業における,ものづくりの流れと付随する情報の流れが理解できる. ・製造過程に沿った原価の流れを,具体的な計算構造として理解できる. ・原価の意義,原価とは何か,という問いについて,例を挙げて説明できる. ・原価計算の構造理解として,簡単な2級工業簿記程度の演習問題が解ける.
【授業概要(キーワード)】
原価計算,コストマネジメント,ものと情報の流れ,工場経営,企業実践における原価課題
【科目の位置付け】
技術経営の基礎概念としての,アカウンティング基礎講座.特に,製造業の基本となる製品原価の考え方と計算手法習得.
【授業計画】
・授業の方法
毎回,講義とともに計算演習を行い,ミニテストを実施する.期末に最終レポートを課す.
・日程
第1回:原価計算の意義と原価の定義 第2回:費目別計算(材料費・労務費・経費) 第3回:部門別計算1(直課・配賦) 第4回:部門別計算2(補助部門費の配賦) 第5回:製品別計算1(個別原価計算) 第6回:製品別計算2(総合原価計算基礎) 第7回:製品別計算3(様々な総合原価計算) 第8回:標準原価計算 第9回:標準原価差額の差異分析 第10回:直接原価計算 第11回:利益計画とCVP分析 第12回:価格決定・原価管理 第13回:意思決定(差額原価収益分析・DCF法) 第14回:事例研究(日本的経営・現場実践と原価管理) 第15回:事例研究(戦略的コストマネジメント)
【学習の方法】
・受講のあり方
原価計算の理解と習得には,基礎からの積み上げが特に重要であるため,各回の授業への出席を前提とする. また,実際の計算事例演習を行うため,必要に応じて,各自で電卓を持参.
・授業時間外学習へのアドバイス
原価計算は,繰り返しの演習が最も効果的であるため,確実にマスターしたい場合には,簿記テキストなどを利用して,各自,類似問題を自習することが望ましい.
【成績の評価】
・基準
各回,ステップを踏んで難易度を上げていくため,出席を前提として,レベルごとのミニテストで理解度・到達度を評価する.その際,単に正解を求めるだけでなく,計算構造理解のため,演習の取組姿勢もあわせて評価対象とする.期末レポートイについても,正解率とともに,プロセスの理解度を評価する.
・方法
各回の出席とミニテストへの取組み(40点),期末レポート(60点)の合計100点満点で評価し,60点以上を合格とする.
【テキスト・参考書】
廣本敏郎,挽文子『原価計算論』第3版, 2015年,中央経済社 上總康行『ケースブック管理会計』,2014年,新生社 ※必ずしも購入しなくてもよいが,図書館所蔵などで随時,理論を参照すること.
【その他】
・学生へのメッセージ
簿記受験を望む場合には,講義だけでなく各自で演習を繰り返すこと.また,簿記習得まで望まない場合にも,会計の考え方,原価の意義と意味など,概念理解に努めること.
・オフィス・アワー
原則として水曜10:00~12:00
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