【授業の目的】
植物病原微生物に対し抗生・寄生・溶菌・競合などの機能をもつ微生物を利用した植物病害の防除は生物的防除(バイオコントロール)と呼ばれ、そうした働きをもつ微生物のいくつかは実際に微生物農薬として上市され、生産現場で利用されている。生物的防除は環境保全型農業の実現やIPM(総合的病害虫・雑草管理:Integrated Pest Management)の推進に役立つ防除法であるため、微生物農薬は今後さらに普及されることが期待される。本講義では、植物病害に対する微生物農薬の開発の現状とともに、研究開発上の課題と今後の展開方向について理解を深めることを目的とする。
【授業の到達目標】
植物病害用微生物の開発と現状について述べることができる。また、植物病害用微生物農薬の研究開発上の課題を列挙できる。さらに、植物病害用微生物農薬の今後の研究開発の展開方向について、結論付けることができる。
【授業概要(キーワード)】
植物病原微生物、微生物農薬、生物防除、IPM
【科目の位置付け】
植物病害防除における高度な知識を身につけるための科目として配置されている。また、化学合成農薬に過度に依存しない有機栽培、特別栽培への要請に対応できる高度な専門知識を身につける。
【授業計画】
・授業の方法
集中講義
・日程
1.植物病害の生物的防除(バイオコントロール) 2.植物病害用の微生物 3.植物病害用微生物農薬の開発と現状 4.植物病害用微生物農薬の防除効果の安定性 5.植物病害用微生物農薬の製剤化のための大量培養法と保存性 6.植物病害用微生物農薬の作用機作の解明 7.植物病害用微生物農薬の土壌病害への対応 8.植物病害用微生物農薬の今後の研究開発と展開方向
【学習の方法】
・受講のあり方
講義中に関連資料を配布して説明するので不明な点などは質問し、講義中に積極的に講義内容を考えることが必要である。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義内容の理解度を自己点検すること。
【成績の評価】
・基準
到達目標に記載した内容に関して講義中に質問するので、その質問に対する回答の適格性並びに授業で課すレポートにより成績を評価する。
・方法
平常点(30点)とレポート(70点)の計100点満点とするが、出席時間が2/3に満たない場合は不合格とする。
【テキスト・参考書】
講義中に必要な資料を配布する。
【その他】
・オフィス・アワー
担当世話人:植物病理学分野 小林隆(随時)
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