【授業の目的】
森林は動的生態システムであり、周辺環境からさまざまな影響を受け、その構造や種組成、形態を変化させる。一方、森林が成立することにより、周囲の環境が変化することも多々ある。森林の、あるいは流域・地域環境の管理や保全を考える上では、この森林生物群集と周辺環境間の動的な相互関係を把握することが重要である。この相互関連に関する理論や具体的研究成果を学び、その動的相互関連を如何に保全するのかを論じる。
【授業の到達目標】
森林が周囲から受ける影響や、森林が周囲に与える影響についての既存知見を具体的な調査・研究成果から習得し、それらを効果的に組み合わせることにより、森林と環境間の相互関連を保護・保全・修復するための方策についての論理を構築することを目標とする。
【授業概要(キーワード)】
森林・流域生態系、立地環境因子、相互関係、動的システム、保全、修復、再生
【科目の位置付け】
この講義は、森林が周囲から受ける影響や、森林が周囲に与える影響についての既存知見を具体的な調査・研究成果から習得し、それらを効果的に組み合わせることにより、森林と環境間の相互関連を保護・保全・修復するための方策についての論理を構築する力を身につけるものである(生物環境学専攻のカリキュラム・ポリシー)。
【授業計画】
・授業の方法
パソコンによるスライド映像と配布資料により講義を進める。また、森林と環境の相互関連に関する課題を提示し、既存研究成果の収集・分析・考察から、その保全策を検討してもらう。
・日程
1.立地環境因子と森林生物群集の生育・成長 2.森林が周辺環境から受ける影響 攪乱とは何か 自然攪乱と人為攪乱 生物に記録された攪乱履歴 3.環境の動的変化に対する生物の適応 流水環境、洪水攪乱、河畔林、水生植物群集、種組成・構造 火山攪乱、荒廃地、植生侵入、パッチ状植生、成立と破壊 4.森林が周囲環境に与える影響 侵食、水環境、飛砂、微気象、雪 5.森林に望まれる環境保全機能 森林の保護・保全に歴史、保安林 6.森林の保全・修復・再生を如何に進めるか 森林の保全技術開発、動的相互関係の分分断、新たな試みと課題、誰が担うのか、役割分担
【学習の方法】
・受講のあり方
学部科目の「森林影響学」において基本的事項について取り扱っているため、未受講者には合わせての受講を勧める。また、講義内容を理解できない点があれば、その都度質問してほしい。
・授業時間外学習へのアドバイス
課題を解くためには、既存研修成果をより早く、より多く収集し、その内容を的確に読解する力が必要となる。検索ツール等を使った文献検索方法を十分に体得し、多くの文献を読むことで読解能力を高めておいて欲しい。
【成績の評価】
・基準
森林と周囲環境との相互関係に関する研究成果を十分に理解できたか、それら知見を組合せ、自らの考えも盛り込むことにより森林の保全・修復についての新たな具体的方策を考え出すことができたかを評価する。
・方法
上記内容に則したプレゼンテーション(口頭発表)を行ってもらい、その論理の合理性、妥当性、新規性、表現力、わかりやすさ等を評価する。
【テキスト・参考書】
関連する論文・資料等を講義時に配布する。 ・『River Futures:An integrative scientific approach to river repair』:Brierley G.and Fryirs K.編著、Island Press、USA、ISBN-10:1-59726-1 12-2 ・『流域動態の認識とその方法』:新谷 融・黒木幹男編著、2001年、北海道大学図書刊行会、ISBN4-8329-9941-9 ・『流域学事典-人間による川と大地の変貌-』』:新谷 融・黒木幹男編著、2006年、北海道大学出版会、ISBN4-8329-8151-X
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