宇宙物理学II
 Astrophysics Ⅱ
 担当教員:柴田 晋平(SHIBATA Shinpei)、梅林豊治(UMEBAYASHI Toyoharu)、滝沢元和(TAKIZAWA Motokazu)
 担当教員の所属:理学部物理学科
 開講学年:2年(平成28年度以前入学者用)  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
 宇宙で起こっている天体現象を,特に重力と電磁気力の効果に着目しながら,活動銀河・中性子星・ブラックホール・宇宙ジェットなどの高エネルギー現象,および星・銀河・銀河団の形成や進化を中心に概説する。そのために必須となるプラズマ物理,電磁流体力学の基礎を解説し,その応用力を培う。
 第Ⅰ部では,まず,宇宙全体を概観したあと,星間ガスが重力収縮して星と惑星系が形成される過程,あるいは核反応によって元素が合成される過程を取り上げ,宇宙における物理現象を概説する。
 第Ⅱ部では,一様膨張宇宙の中で密度ゆらぎが自己重力によって成長することによって,銀河や銀河団のような構造がどのように形成されてきたか,観測との比較も含め,概説する。
 第Ⅲ部では,プラズマと電磁流体の基礎,X線やγ線を放射する天体,宇宙線などの高エネルギー粒子を生成する天体の基礎理論を説明する。

【授業の到達目標】
(1) 宇宙で起こっている現象を物理的に理解し,説明できる。【知識・理解】
(2) これらの現象を研究するために必要なプラズマ物理,電磁流体力学などの基礎を理解し,説明できる。【知識・理解】
(3) 数値シミュレーションの基礎やデータ解析などの研究手法を使うことができる。【技能】

【科目の位置付け】
 宇宙物理学の研究に必要な基礎的知識を修得し,社会に貢献するための倫理観と責任感を持つともに,理学についての深い知識を修得し,自己の中に体系化することにより,幅広い視野と探究心を持つ。また,専門分野において修得した知識と思考方法によって社会の要請する課題を独創的かつ柔軟に解決し,その結果を表現する能力と意欲を持つ。さらに,課題解決に対して協同で取り組めるコミュニケーション能力を身につける。

【授業計画】
・授業の方法
 講義形式で,基本事項を板書しながら授業を進める。説明に必要な資料はプリントなどを使用する。受講者の到達度や興味に合わせて,下記項目から取捨選択の上,授業を行う。
・日程
Ⅰ(第1回)宇宙の物理-概観,(2-5回)星間物理(星間物質とその存在形態,ガスの平衡状態と重力不安定性,星の形成,惑星系の形成),あるいは元素の起源(原子核概論,熱核融合反応と星の進化,s過程とr過程,太陽ニュートリノ)
Ⅱ(第6-10回)一様膨張宇宙,線形密度揺らぎの成長,非線形球対称密度揺らぎと天体形成,質量関数,銀河団統計と構造形成理論
Ⅲ(第11-15回)プラズマと電磁流体の基礎,磁場を持った星風の理論,衝撃波統計粒子加速,パルサーの構造と粒子加速,X線/γ線の放射過程

【学習の方法】
・受講のあり方
 講義を聴いて宇宙で起こっている物理現象の理解に努める。授業中もわからないところは積極的に質問する。
・授業時間外学習へのアドバイス
1) あらかじめ参考書に目を通すなどして,授業で取り上げるテーマについて問題意識を持つ。
2) まとめのノートを作成するなどして,内容の理解に役立てる。

【成績の評価】
・基準
 授業内容の理解度を,物理現象と基礎理論の把握に重点をおいて,評価する。
・方法
 担当者ごとにレポート課題を課してその平均値によって評価する。筆記試験は実施しない。

【テキスト・参考書】
 特定のテキストは使用しない。
 参考書:シリーズ現代の天文学 全17巻(日本評論社)

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