物性物理学要論
 Condensed Matters Physics
 担当教員:北浦 守(KITAURA Mamoru)
 担当教員の所属:理学部
 開講学年:2年(平成28年度以前入学者対象)  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
「力学的性質」「電気的性質」「光学的性質」「磁気的性質」など物質の物理的性質(物性)を理解するためには,電子間,電子格子間,格子間に働く相互作用を詳しく調べなければなりません。そのためには,相互作用の見方や捉え方,物性との関わり,などを知っておくことがとても大切です。この授業では,比較的新しい話題もできるだけ取り入れながら,物性物理学の基礎的な概念を広く学びます。

【授業の到達目標】
1. 固体物理の知識を修得できるようになる。
2. 固体物性の現象を察する糸口を示すことができるようになる。
3. 固体物理の知識を物性評価に活用できるようになる。
4. 固体デバイスとの接点を示すことができるようになる。
5. 関連分野(量子力学,熱・統計力学,電磁気学)の知識を使って考えることができるようになる。

【授業概要(キーワード)】
結晶構造,電気的性質,光学的性質,磁気的性質,熱的性質

【科目の位置付け】
この科目は物理の中でより専門的な分野を学ぶための基礎を獲得する科目です(物理学科教育目標)。また、学んだ知識を活用して課題解決のための能力を高めることを目標としています(理学部のカリキュラムポリシー)。

【授業計画】
・授業の方法
テキストや参考書において固体物理学の主要な単元を精査して取り上げます。いずれも固体物理の基礎となる内容です。分かり難い内容は図を交えて説明し,必要な時には式の背景も説明します。
・日程
1.ガイダンス
2.連成振動
3.モードと分散
4.減衰振動と強制振動
5.格子振動
6.逆格子
7.ブリルアンゾーン
8.フーリエ変換と結晶構造
9.固体の比熱
10.自由電子モデル
11.状態密度
12.エネルギーバンド
13.電気伝導
14.磁性
15.試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
1. イメージ図などの資料は講義の始めに配布します。必要に応じてメモをとり自分だけのノートを作りましょう。
2. 式の羅列に終わらないように工夫したいと思いますが,受講生の皆さんも現象がイメージできるようにノートを工夫してまとめてください。
3. イメージしずらい難しい式の導出は講義の中で行いますが、比較的導出が容易であったり講義で既に取り扱った式は各自で確認してください。
4. 応用問題を課題としますので、学んだ内容を活用して解答に取り組んでください。模範解答をみて正しく解答できているかどうか、しっかりと確認してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
1. イメージがしっかりと定着したかどうかを確認テストで確かめてください。自信ない場合には,ノートを見て復習してください。
2. 課題レポートでは修得した知識を活用できるかどうかをご自身で確かめてください。
3. リストアップしたテキストや参考書はどれも標準的な内容ですので、購入して積極的に活用することをお勧めします。

【成績の評価】
・基準
固体物理の諸現象を要約して説明できること,固体物性の諸現象に関係したキーワードを要約して説明できること,固体物理の諸現象を図や式をつかって適切に説明できること,固体デバイスとの接点を示すことができること。の4点をみたしているかを合格基準とします。
・方法
確認テスト20%,試験80%で評価します。

【テキスト・参考書】
参考書:
佐藤憲昭著, 「物性論ノート」名古屋大学出版.
C.Kittel 著,宇野・津屋・森田・山下共訳「固体物理学入門」上下,丸善.
沼居貴陽著「固体物理学演習」丸善.
花村榮一著「固体物理学」裳華房.
川畑有郷著「固体物理学」朝倉書店.

【その他】
・学生へのメッセージ
物性物理学で学ぶ知識は「ものづくり」において役立ちます。中でも,特性評価を行う際には知っていないと困ることが多々あって,新しい発見を見逃してしまうことさえあります。卒業研究で物性(実験及び理論)を希望する学生はテキスト(固体物理学入門)を購入してできるかぎり受講してください.
・オフィス・アワー
月曜日17:00-18:00に研究室にて行います。連絡方法については初回の講義でお知らせします。

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