凝縮系統計力学
 Statistical Mechanics of Condensed Matter
 担当教員:天羽 優子(AMO Yuko)
 担当教員の所属:理学部物質生命化学科
 開講学年:2年(平成28年度以前入学者)  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
分光実験のデータ処理の基礎となる考え方を理解する。
複素積分とフーリエ変換を基礎として、X線回折(空間分光)や可視光・マイクロ波による分光(エネルギー分光)の、簡単なモデルによる記述方法について理解する。

【授業の到達目標】
複素積分については留数定理が使えるようになること。フーリエ変換の定義と意味を理解すること。これらの数学を使って、分光実験で得られたデータ処理の方法と、その基礎になっている理論を理解すること。

【授業概要(キーワード)】
複素積分・フーリエ変換・X線回折・感受率・ブラウン運動・揺動散逸定理・時間依存シュレーディンガー方程式・光散乱、吸収

【科目の位置付け】
X線散乱や赤外吸収、ラマン散乱などの分光実験で得られるスペクトルを、簡単なモデルを用いて記述するための方法について修得する。これは、研究成果を得るために必要な手法を自ら組み立てる(ディプロマ・ポリシー1?1の2)ためのものである。

【授業計画】
・授業の方法
講義
・日程
1.複素関数とは
2.複素関数の微分と積分
3.特異点と留数定理
4.留数定理を用いた複素積分
5.フーリエ変換の定義・波の重ね合わせ
6.フーリエ変換の性質
7.フーリエ変換の応用:気体・液体
8.フーリエ変換の応用:固体のX線回折、ランダム系との違い
9.フーリエ変換の応用:応答関数と緩和関数、振動と緩和
10.ブラウン運動と確率過程
11.相関関数とスペクトル
12.線形応答理論と揺動散逸定理
13.時間に依存するシュレーディンガー方程式の扱い
14.摂動論
15.光散乱・吸収の量子論

【学習の方法】
・受講のあり方
前半は計算方法と例を学ぶ。後半は、式の意味を実際の実験と関連づけて理解する。ノートをとること。
・授業時間外学習へのアドバイス
特に必要はないが、高校までの微積分を知っていることが前提なので、復習しておくこと。
各自でノートを見直すこと。

【成績の評価】
・基準
簡単な複素積分の計算ができること、フーリエ変換についてはコンピューターを使って任意の波形が再現できることを示せること、スペクトルの解析方法と選ぶべきモデルについて理解していること、なぜ光の吸収や散乱が起きるかを量子力学の枠組みで説明できることを基準とする。
・方法
期末レポートで6割以上回答できていることを合格の基準とする

【テキスト・参考書】
参考書:”Mathematical Methods for Scientists and Engineers”, Donald A. McQuarrie, University Science Books
参考書:「非平衡系のダイナミクス入門 動的物性の物理」早川・伊藤・木村・岡野、培風館

【その他】
・学生へのメッセージ
分光実験の論文を読むと、光や粒子の散乱を記述する式が当たり前のように出てくるし、データ解析ではモデルフィッティングの方法がしばしば使われる。このような論文を読むための基礎知識を得ておくと、研究を進める上で役立つはずである。
継続して出席することが、まとまった理解につながります。
・オフィス・アワー
平日は夜まで大抵研究室に居るが、会議や共同研究で不在のこともあるので、気軽にapj@cm.kj.yamagata-u.ac.jpまでメールしてください。

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