【授業の目的】
細胞分裂、生体エネルギー産生、感染、細胞死など、細胞内では様々な生命現象が繰り広げられている。複雑な生命現象の素反応は、単純な分子間相互作用などで支配されている。それら素反応が組み合わさり、システムとして細胞機能を制御している。講義では、細胞のシステムを物理学の方法で調べる方法論や最新の知見について紹介する。
【授業の到達目標】
生命反応システムの解析方法およびモデルを理解し、細胞のシステムを定量的に理解できる事を目標とする。
【授業概要(キーワード)】
生体膜、タンパク質複合体、細胞分裂、生体エネルギー産生、感染、細胞死、バイオテクノロジー
【科目の位置付け】
講義を通じて高度な専門知識を習得し、”物理”、”化学”、”生物”の境界領域に卓越した研究センスに磨きをかける。さらに、主体的に未知領域を探索する演習を実施し、独創性に関する資質を引き出す(理工学研究科アドミッション・ポリシー)。
【授業計画】
・授業の方法
基本的には、講義形式で進める。講義中に、簡単な演習などを課します。
・日程
下記の内容について講義する。 1~ 5回:細胞と生物の構築プラン:細胞の大きさと細胞内容物の性質について考える 生命現象における時間スケール:生物学的過程の速度を測る方法について考える カギとなるモデル系:生物学を前進させたモデルを紹介する 細胞におけるエネルギー変換:生命現象に伴うエネルギー収支について考える 6~12回:統計力学による生命現象の解析:ボルツマン分布から生命反応を理解する ランダムウォーク:確率分布の知識から生体分子を見る(1分子解析) 梁の理論:細胞と骨格の構築における力学 細胞内システムにおける拡散:高分子の運動をランダムウォークモデルで扱う クラウディング環境:細胞内の高密度な状態を理解する 13~15回:分子モーター ポンプ、イオンチャネル:活動電位
【学習の方法】
・受講のあり方
講義では最低限の生化学、物理化学の知識を必要とする。
・授業時間外学習へのアドバイス
講義時間外の予習/復習必要ありません。講義は概略の説明が多くなります。興味があればいつでも資料、参考書を紹介します。
【成績の評価】
・基準
講義内容の理解度と演習への主体的な取り組み。
・方法
レポート課題(40%)と講義中の演習(60%)をもって評価する。
【テキスト・参考書】
適時、プリント、スライド等を用いて説明する。 参考書:細胞の物理生物学(共立出版)
【その他】
・学生へのメッセージ
私が勉強していて“面白い。“と思った事をお話しします。個々の生体分子の話しでは無く、細胞システムがどのようなルールで制御されているかお話しします。
・オフィス・アワー
随時
|