化学特別講義B
 Special Lectures on Chemistry B
 担当教員:中務 邦雄 (NAKATSUKASA Kunio)
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:1単位  開講形態:講義
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:分野専門科目(化学分野) 
【授業の目的】
私たちの体の中で起こっている化学反応は主にタンパク質が触媒しています。このタンパク質がどのように合成され,正しい構造にフォールディングし,その役目を終えて分解されるのか,タンパク質の一生について正しく理解できるようになることを目的とします。

【授業の到達目標】
リボソームで合成されたタンパク質は正しい立体構造を形成して初めて機能することができます。しかしタンパク質の高次構造形成の歩留まりは必ずしもよくなく、高次構造の形成に失敗した異常タンパク質が必ず生じます。細胞は恒常性を維持するために、異常タンパク質を認識して修復または分解する「品質管理機構」を備えています。しかし、ストレス、加齢、遺伝的エラーなどによって異常タンパク質が過度に蓄積したり、あるいは品質管理機構が破綻したりすると、恒常性の維持ができなくなって病態につながります。本講義では、タンパク質の「品質管理機構」について研究の最前線の知識を身につけるとともに、その概念がどのように構築されていったのか歴史的な流れを理解できるようになります。また、個々の発見を支える生化学、分子生物学、遺伝学、細胞生物学的手法について、原理を理解できます。

【授業概要(キーワード)】
タンパク質、分泌、メンブレントラフィック、品質管理機構、小胞体、核、ミトコンドリア

【科目の位置付け】
要素還元的な生物学研究は新しい現象の発見と関与する因子の同定からスタートします。しかし単なる知識の集積で終わってしまうのではなく、個々の研究を有機的に結びつけて新しい概念に昇華させることが重要で、それが新たな研究の方向性を教えてくれます。本講義では「品質管理」という概念を題材に、生物学研究の大局的な流れを実感するのが目標です。

【授業計画】
・授業の方法
スライドと板書を併用して講義します。また、適宜プリントを配布して説明します。
・日程
1. 細胞内のタンパク質輸送
2. 分泌経路の解明
3. 小胞体のタンパク質品質管理機構
4. 小胞体以外のオルガネラにおけるタンパク質の品質管理機構
5. RNAの品質管理機構
6. 医療との関わり

【学習の方法】
・受講のあり方
疑問点があれば質問して下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
基礎的な内容から講義しますが、生化学、遺伝学、分子生物学の本を読んだ経験があると講義内容の理解が深まります。

【成績の評価】
・基準
生化学、分子生物学、遺伝学、細胞生物学に関連して、基礎的な事項や専門用語を説明できる。授業を通して学んだ知識をもとに、わからない点を明確にしながら主体的に考察、論述できることを重視します。
・方法
出席60点+小テスト(確認テスト)40点

【テキスト・参考書】
テキスト:特に指定しません。適宜プリントを配布します。

【その他】
・学生へのメッセージ
講義も大事ですが、本当のところは、実験室で自分が出したデータについてあれやこれや考えを巡らせる方が圧倒的に大事で面白いです。現場の空気感をお伝えできる講義にしたいと思います。

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