細胞骨格構造論
 Role of the Cytoskeleton in Plant Cells
 担当教員:菱沼 佑(HISHINUMA Tasuku)
 担当教員の所属:理学部生物学科
 開講学年:2年(平成28年度以前入学者)  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
一般に細胞骨格は動的で非常に多様な構造と機能を持っていることが知られている。本講義では一般的な細胞骨格とくに微小管の構造と機能について講義するとともに、それらが植物の生理とどのように関わっているか、具体例をもとに理解する。また、多様な機能を議論する上での問題点について理解を深める。

【授業の到達目標】
(1)細胞骨格の基本的な性質を述べることができる。
(2)微小管やF-アクチンの機能と植物の細胞成長、細胞極性、細胞分裂、細胞内輸送などの生理現象との関わりについて具体的に述べることができる。
(3)微小管の機能とMAPsの関係が理解できる。

【授業概要(キーワード)】
微小管 F-アクチン 細胞成長 細胞形態 細胞内輸送

【科目の位置付け】
専門分野における進化した知識の習得を目的とした講義(理工学研究科前期課程カリキュラムポリシー(2))として、様々な植物生理的現象と細胞骨格との密接な関係を理解するとともに、細胞骨格とくに微小管の機能と細胞成長や形態形成との今日的な問題について理解を深める。

【授業計画】
・授業の方法
細胞骨格の基本的な性質や植物における細胞骨格の役割について、今日的な問題も含め、配布資料をもとに講義する。また履修者は講義内容と関連する論文を一報選択し、その内容をレポートにまとめるとともに、発表と質疑応答を行う。
・日程
12月から1月にかけて、1回3コマの授業を4回実施する。また、文献発表のための準備等を3コマとし、合計15コマ30時間とする。
1. 細胞骨格の種類 2.基本的な微小管の構造と性質 3.微小管結合タンパク質
4. 細胞壁の構造 5.細胞成長の仕組み 6.細胞成長と細胞骨格
7. 細胞極性とは 8.細胞極性の形成と維持 9.細胞極性と細胞骨格
10. 細胞分裂の概略 11.動植物の細胞分裂のちがい 12.細胞分裂と細胞骨格
13. 文献の講読 14.文献発表の準備 15.文献発表と質疑応答

【学習の方法】
・受講のあり方
授業内容を配付資料と関連づけながら理解を深める。また、各自の研究分野の細胞骨格に関係する論文を選択し、内容の把握と、発表の準備(パワーポイントのスライドの作成等)を進める。
・授業時間外学習へのアドバイス
事前に配布される講義資料に目を通し、学部で学んだ関連事項を整理し、用語等の下調べを行う。また、選択した論文は受講内容と関連させながら読み進める。
授業内容について配付資料や授業ノートをもとに整理し、その理解を深める。また、疑問点については授業で質問する。

【成績の評価】
・基準
細胞骨格のとくに微小管の構造と機能について理解したうえで、論文内容等について議論できる。また、微小管の多様な機能と微小管結合タンパク質との関係について、具体例を挙げて論じることができる。微小管とF-アクチンの機能的な関連について述べることができる。また、パワーポイント等を用いて、ポイントを整理し、学部生にも分かるような発表ができる。これらができれば,合格とする。
・方法
授業への参加態度(意欲や質問等に対する応答)40点と、発表とその内容60点(論文内容の理解度、スライド等の準備、発表技術)の合計100点満点で総合的に評価する。

【テキスト・参考書】
テキストは用いない。
細胞骨格についてはいろいろなreviewや本が出版されているので、とくに指定はしないが、植物関係の参考書として下記の2冊を挙げておく。
Plant Cytoskeleton in Cell Differentiation and Development (Annual Plant Reviews,) Patrick Hussey (著),
出版社: Crc Pr I Llc ; ISBN: 0849319811 (2004)
Plant Physiology and Development, Lincoln Taiz and Eduardo Zeiger (著), 出版社: Sinauer Associates Incorporated ; ISBN-10: 1605353531 (2014)

【その他】
・オフィス・アワー
火曜日16時30分から17時30分。

30940060-2017-13-37404