社会経済システム論特別演習
 Special Seminar on Socio-Economic System
 担当教員:田北 俊昭(TAKITA Toshiaki)
 担当教員の所属:社会システム専攻
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
経済学の分野では経済現象を説明するための「経済理論」を構築して、「実証分析」を行うことが重要である。もちろん、研究対象は様々な領域に広がっており経済学の学会では多種多様なテーマの研究が展開されている。研究については各所属研究室の指導教官に委ねられるが、経済学分野を研究するのに共通な分析能力を身に着けることは必要不可欠である。そこで本特別演習の目的としては、どのような研究対象を選択するにしても、企業・消費者・政府の行動を経済学的に記述するための「モデルビルディング」、経済モデルの「パラメータ推計(または各種論文等からの経験的な値の利用する場合もある)」、「政策シミュレーション分析」といった一連の流れは共通である。経済学を専攻するすべての大学院学生にとって、経済数学およびモデルビルディング、政策シミュレーションをいち早く身に着けることはとても重要である。

【授業の到達目標】
本特別演習では、第一段階の到達目標として、経済モデルのための経済数学をMathematicaによる学習を通じて復習する。前半では、経済数学の学部から大学院初級レベルの復習を行うとともに、実際にMathematicaを使った基本的な計算能力を身に着ける。第二段階の到達目標として、学部から大学院初級レベルのミクロ経済モデルの復習を行いながら、一般均衡モデルによる分析手法をプログラム言語、ExcelおよびMathematicaによる計算を行うための能力を身につける。企業・消費者行動モデルから都市・地域経済モデルや国際貿易モデルまで幅広く対応できるための能力を身に着ける。大学院レベルの経済分析を行うための必要不可欠の分析能力を身に着ける。

【授業概要(キーワード)】
経済数学、企業行動モデル,消費者行動モデル,部分均衡モデル、一般均衡モデル, 都市経済、産業間取引,開放経済,企業立地, 世帯立地

【科目の位置付け】
大学院での経済学関連の所属研究室で、各種政策分析を進める上でのゲートウェイとして位置づける。

【授業計画】
・授業の方法
授業では、基本的には、大学院レベルの専門書および配布資料に基づいて進める。ミクロ経済学やモデルビルディングの簡単な復習をおこなったうえで、実際に手を動かして、数式処理ソフトや各種分析ソフトを用いて計算をしてもらう。
・日程
第1部 経済モデルのための経済数学~Mathematicaを使った学習
 第1回 微分・積分
 第2回 ベクトルと行列/線形方程式システム
 第3回 固有値と固有ベクトル/2次形式
 第4回 多変数の微分積分法
 第5回 テイラー展開と陰関数/凹関数と準凹関数
 第6回 最適化/数理計画法
 第7回 常微分方程式/微分方程式システム
 第8回 差分方程式

第2部 一般均衡分析モデル
 第9回 企業・消費者行動モデル(部分均衡モデル)
 第10回 一般均衡モデル
 第11回 産業間取引を考慮した2部門一般均衡モデル
 第12回 開放経済の一般均衡モデル
 第13回 政府部門を含む開放経済の2部門一般均衡モデル
 第14回 2国間国際貿易の一般均衡モデル
 第15回 空間経済モデル(都市経済・地域経済・国際経済モデル)

【学習の方法】
・受講のあり方
授業の完全理解につとめるとともに、専門書や資料等の数多くの計算事例をこなしていくことが重要である。具体的な研究対象を見つけて、経済的な理論モデルの構築して、実証分析を行うためのプロセスをこなすことが大事である。本演習では、実際のデータを用いたモデルのパラメータ推定は行わないので、その部分については、関連の授業科目を履修しておくことが望ましい。
・授業時間外学習へのアドバイス
大学院レベルの経済学の分析プロセスを学習することが本特別演習の目的であるが、受講者の専門領域の多くの学術論文を体系的に読むことにより、経済学分野の理論および実証分析の理解が深まるであろう。

【成績の評価】
・基準
成績評価について、第一の目標として「経済数学」および「一般均衡モデル」に関する経済学の知識、ExcelおよびMathematicaによる計算能力を評価する。第二の目標として、様々な経済モデルから空間経済モデル(都市・地域・国際経済モデル)まで構築できるかを、計算レポート提出および最終報告会から評価する。
・方法
計算レポートおよび最終報告会

【その他】
・学生へのメッセージ
経済学のすべての分野にとって、モデルビルディングおよび政策シミュレーションの方法を学ぶことは必要不可欠である。快適な人間社会の追求のためには、客観的な判断に基づいた考察は重要であり、受講者の将来の重要な力となるであろう。
・オフィス・アワー
火曜日12:00-13:00 14:30ー15:00

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