文化コーディネート実習(音楽)
 Seminar on Cultural Coordination (Music)
 担当教員:藤野 祐一(HUZINO Yuuiti),佐川 馨(SAGAWA Kaoru),渡辺 修身(WATANABE Osami),名倉 明子(NAGURA Akiko)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科文化創生コース
 開講学年:2年  開講学期:通年  単位数:2単位  開講形態:実習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
① 社団法人山形交響楽協会(山形交響楽団)、財団法人山形県生涯学習文化財団「文翔館」における事業(団体の運営・演奏活動)に参画し、運営及び演奏に係わる準備等の実習をとおして活動の概容を把握する。
② 従来のようにステージの表面からの活動を捉えるばかりではなく、裏面における演奏活動を支えるための業務すべてを体験し、今日の音楽の文化活動に課せられている課題と改善すべき課題を認識する。
③ 地域市民の音楽に対する関心やニーズを知り、その特性を捉えた啓発活動や地域文化の振興について実践する。
④ ③の項目を達成するために、当面は山形大学附属幼稚園・小学校・中学校・特別支援学校におけるアウトリーチ活動の企画・立案及び、演奏会の実施等をつうじてこれを体験させ、その成果と課題及び反省点と評価について検証する。

【授業の到達目標】
山形交響楽団の事務局、財団法人山形県生涯学習文化財団が設置する「文翔館」、における事業の企画・運営の実習をつうじて、地域における音楽文化振興の意義を具体的に把握するとともに、地域における音楽文化活動の発展に寄与し得るコーディネートや、鑑賞者のニーズに応える得る演奏活動への企画・推進の能力を修得することをねらいとする。

【科目の位置付け】
必修科目

【授業計画】
・授業の方法
実習施設】
・ 社団法人山形交響楽協会、財団法人山形県生涯学習文化財団及び、山形大学附属学校とする。
【実習施設との連携】
・ 実習施設との連携を図るために、山形交響楽協会、山形県生涯学習文化財団、アマチュア音楽団体および山形大学附属幼稚園・小学校・中学校・特別支援学校の代表者および受け入れ担当者と、大学側の担当者教員による「文化コーディネート実習運営協議会」を年に2回、実習前と実習後に開催する。
・ 実習前の実習運営協議会は、主に実習計画・実習内容・評価等の実習の概要についても協議し、実習後の実習運営協議会では実習の反省、成績評価と次年度の計画について協議する。
・ 山形交響楽協会、山形県生涯学習文化財団、アマチュア音楽団体および山形大学附属学校・園の代表者あるいは受け入れの担当者と、大学側の担当者教員による「文化コーディネート実習(音楽)運営協議会」では、実習時間、実習内容、実施方法、評価方法、その他実習に係わる全般の具体的事項を協議・決定する。
・ アウトリーチ活動については、各附属学校・園における年間指導計画に合わせて、十分協議のうえ日程の決定を行う。
・日程
【実習時間と配分】
・ 時間数 90時間(実習72時間、事前・中間・事後指導8時間、練習・アウトリーチ10時間)
・ 内訳 ①事前指導(2時間)
諸注意・心構えについて =大学側の担当教員
事業の概要と補助としての職務分担について =各音楽団体事務局担当
②山形交響楽団、山形県生涯学習文化財団での実習(1日8時間として9日間)
(1) ・それぞれの団体の活動の主旨、運営諸業務について説明を受ける。(2H)
・業務内容の見学。差し支えない部分に限り、書類等の閲覧・説明を受ける。(2H)
・聴衆や利用者の意見やニーズの取り入れ方や、活かし方等を中心に説明を受け、資料を閲覧するなどして把握する。スケジュールの決定について把握する。(4H)
・演奏会等の事業の企画の立案や、演奏曲目などプログラムの決定等についての概容の説明を受け、これをまとめる。(教員の現地指導を含む)(4H)
(2) ・演奏会の準備・本番・終了業務の流れのタイムスケジュールを把握するために、本番当日の全日行動を共にして実習する(演奏等参加できない部分は見学)。 (8H)
・演奏会の始終の流れを記録しレポートにまとめる。(教員の現地指導を含む)(10H)
(3) ・演奏会における聴衆のニーズについて、実際に聴衆からアンケートを採って調査する。会場での聞き取りを含める。(作業8H)
(集計・分析・検討討議8H)
(教員の現地指導を含む)(レポート作成8H)
(4) ・結果について、各事業所の指導者への中間報告会。(準備と報告会を含む)(16H)
(5) ・終了の式(お礼の演奏と、そのための練習を含む)(2H)
③中間指導(2時間) 各事業所における実習の反省と、企画・立案を完成させ提出
④演奏のための練習(4時間)
4時間の練習のうち、1時間は教員による指導とする
⑤山形大学附属学校・園におけるアウトリーチ(6時間)
附属学校・園のうち、アウトリーチは2ヶ所を予定する
⑥事後指導(4時間)
自己評価・全体発表(うち2時間)、
文化コーディネート実習運営協議会より講評(うち2時間)
・ なお、実習の実施期間を連続した期間とするか、分けて実施するかは、実習委員会および実習生との協議による。

【実習内容】
○ストレートマスターの場合
・ 事業における運営業務等の補助業務実習をとおして、音楽文化事業の振興の実態を把握するとともに、鑑賞対象者のニーズの調査をとおして、地域における音楽文化事業の社会的な役割と意義および課題を認識する。
・ 実習の終了後に自身やグループで取り組むことのできる音楽普及活動について、課題解決に向けた演奏活動による具体策を企画・立案する。
・ 担当事務局や社会人院生と協議しながら、企画の修正改善を行う。
・ 企画・立案した音楽普及活動を実習の終了後に、アウトリーチとして附属学校・園における演奏会として取り組む。
・ 附属学校・園におけるアウトリーチの実施後に、その成果について検討する。

【学習の方法】
・受講のあり方

・授業時間外学習へのアドバイス


【成績の評価】
・基準
以下の観点から、文化コーディネート実習委員会において、評価規準及び評価項目を策定する。
○ストレートマスターの場合
・ 事業の運営業務の補助業務をとおして、①音楽文化事業の振興のための企画・立案の作業が総体として捉えることができたか。②演奏者を支えるための準備、すなわちステージビルディングのセッティング作業、ライブラリアンの作業等が重要な作業であることが認識できたか。
・ 鑑賞対象者のニーズ及び、地域における音楽文化事業の社会的な役割と意義ならびに課題を認識することができたか。
・ 附属学校・園における音楽普及活動について、課題解決に向けた演奏会として適切に企画・立案されていたか。
・ 演奏会後の自己評価およびその成果と課題について適切に検討され、自己評価も適切であったか。
○社会人院生の場合
・ 事業の運営業務の補助業務をとおして、自身の経験や専門性および活動基盤をもとに、①音楽文化事業の振興のための企画・立案の作業が総体として捉えることができたか。②演奏者を支えるための準備、すなわちステージビルディングのセッティング作業、ライブラリアンの作業等の重要性を認識できたか。
・ 鑑賞対象者のニーズ及び、地域における音楽文化事業の社会的な役割と意義と課題を認識することができたか。
・ 附属学校・園における音楽普及活動について、課題解決に向けた演奏会として適切に企画・立案されていたか。
・ 演奏会後の自己評価およびその成果と課題について適切に検討され、自己評価も適切であったか。
・ ストレートマスターとの共同作業において、自身の経験と知識・技能をもとに、適切な助言・支援等を行うことができたか。
○総合的な評価
文化コーディネート実習委員会において、以下の項目について各個人の評価を行う。
・ 音楽事業団体への参画については、積極的かつ真摯に取り組んでいたか。
・ 周囲の状況を適切に判断して行動し、周囲の人々と協力して作業をしたか。
・ それぞれの取り組みについて、常にその意義と課題を十分に把握しながら行動していたか。
・ アウトリーチ活動における演奏内容や、企画・立案については適切であったか。なお、この項目については、鑑賞する側にいた教師からの評価及び、児童・生徒の反応等についても結果を導き出してこれに加味する。
・方法
大学院の担当教員と担当事務局や附属学校・園のアウトリーチ受け入れの担当教員とが緊密に連携し、評価規準および評価の各項目に照らし合わせて、その達成度について評価を行う。

【テキスト・参考書】
テキスト:必要な資料については、適宜作成して配布する。
参考書:「ベルリン・フィルとの四半世紀」(音楽之友社)カール・ライスター著
「感じて動く」(ポプラ社)佐渡裕著

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