芸術と文化政策
 Cultural Policy in Art
 担当教員:小林 俊介(KOBAYASI Syunsuke)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科文化創生コース
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
芸術史における文化芸術政策の与えた影響について,美術史学・芸術学的観点から,また文化政策学的観点から考察し,近代以降の芸術史・美術史と文化政策の相互的関係について理解するとともに,芸術の社会性について理解を深める。
ストレートマスターについては自身の学部および大学院での専門領域における公共政策の事例についての調査と発表を中心とする。社会人院生については、自身の経験や専門性をもとに、自ら関わった文化芸術活動の公共性や文化政策との関係について省察し、問題点や今後の課題を整理することを中心とする。

【授業の到達目標】
近代,現代の美術史・芸術史の展開と文化芸術政策の関係について学び,文化芸術に関する公共政策の意義を具体的な事例に基づいて説明することができる。

【授業概要(キーワード)】
文化政策学 アートマネジメント 美術史 博物館学 地域文化振興

【科目の位置付け】
地域教育文化研究科造形芸術分野の必修科目および地域教育文化研究科の総合連携科目であり、文化政策やアートマネジメントに関する実践的な能力を涵養し、公的な文化施設・団体をはじめ一般企業などの文化事業において、企画・運営・実践・指導を通して地域や社会の芸術文化の発展・振興に貢献し得るための基礎的な知識を与えるものである。(地域教育文化研究科の概要)

【授業計画】
・授業の方法
文献講読と講義を中心に、一部演習形式を取り入れながら行う。
・日程
第1回 導入として、近代における芸術文化とパトロネージの関係を西欧美術の事例をもとに講義する。
第2回 西洋近代におけるアカデミー(美術学校)と展覧会の歴史について概説する。
第3回 西洋近代・現代における美術館の歴史とその公共性について概説する。
第4回 第一次大戦後の西欧における美術と文化政策について概説する。とくにドイツのバウハウスにおける美術・デザイン・建築教育と公共政策との関係について検討する。
第5回 1930年代におけるドイツの文化政策、とりわけ「退廃芸術展」および「大ドイツ芸術展」における文化政策について検討する。
第6回 第一次大戦後のソビエト・ロシアの革命政権の文化政策と芸術家・美術運動のの動向について概説する。
第7回 1930年代のソビエト・ロシアの文化政策、就中社会主義リアリズムについて検討する。
第8回 1930年代のアメリカにおける文化政策を検討する。就中連邦美術計画が戦後アメリカ美術の興隆に果たした役割を検討する。
第9回 近代日本美術史における美術学校と展覧会の意義と役割について概説する。とりわけいわゆる「官展」(文展・帝展)の意義について検討する。
第10回 昭和戦前期の文化政策、就中いわゆる「帝展改組」の問題、および戦時下の「新体制運動」における文化政策と美術運動の関係について考察する。
第11回 戦後日本の美術館と文化政策との関係について概説する。
第12回 「文化芸術振興基本法」における文化政策の理念について検討する。
第13回 自身の専門領域における文化政策の事例についての発表(プレゼンテーション)と討議。
第14回 自身の経験した文化芸術活動の公共性と文化政策との関係についての事例研究の発表(プレゼンテーション)と討議。
第15回 プレゼンテーション・討議の講評、総括と学習のまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
自身の経験した文化芸術活動の公共性と文化政策との関係について,芸術史の展開と照応させながら理解を深めてほしい。
・授業時間外学習へのアドバイス
参考書等を中心に,美術史および芸術文化政策学について理解を深める。
参考書や美術館・博物館のワークショップなどで講義資料や討議内容を敷衍してほしい。

【成績の評価】
・基準
近代,現代の美術史・芸術史の展開と文化芸術政策の関係について学び,文化芸術に関する公共政策の意義を自身の専門分野や具体的な事例に基づいて説明することができる。
・方法
授業の到達目標及びテーマの観点からその到達度をレポート(50%)やプレゼンテーション(50%)から総合的に評価する。

【テキスト・参考書】
各時間に必要な資料は,配布または準備を指示する。
参考書:
根木昭『文化政策学入門』(水曜社)
新見隆ら著『アートマネージメント』(武蔵野美術大学出版局)
池上淳ら編『文化政策入門』(丸善株式会社)
エドワード・ルーシー・スミス『1930年代の美術』(岩波書店)
小林真理・片山泰輔編『アーツ・マネジメント概論』(水曜社)
ほか適宜紹介する。

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