現代スポーツ論
 Discourse on Contemporary Sport
 担当教員:佐々木 究(SASAKI Kyu)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科文化創生コース
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
1960年代以降,スポーツは世界的な共通語となり,スポーツ科学も確立された。スポーツという名称は、多様な身体運動を包含する上位概念となり,従来の競技スポーツだけでなく,遊戯,体操,ダンス,散歩などをも含意するようになった。現在、スポーツは、様々な弊害(ドーピング,商業主義,ナショナリズム)が指摘される一方,いわゆる生活習慣病を予防するための手段としても注目されている。本講義では,これらスポーツ文化の現代的な特徴を講述し、また,多くの問題点を検討することで,これからのスポーツ文化のあり方を探求する。

【授業の到達目標】
スポーツの指導者に必要な専門的知識を習得する。特にスポーツ文化(競技スポーツ,スポーツ・フォー・オール,オリンピック,スポーツ科学等)の現状や問題点を理解するとともに,これからのスポーツのあり方を主体的に考えられるようになる。

【授業概要(キーワード)】
体育、スポーツ

【科目の位置付け】
この授業は、スポーツ指導者としての基礎的な素養を身につけるためのものであり、スポーツや体育について哲学的・歴史的観点から考察することで、スポーツ文化の現状を多角的に把握することを目指す。

【授業計画】
・授業の方法
テクストや板書に基づく、講述およびディスカッション。
・日程
第1回 スポーツの語源であるラテン語のde-portareから現代スポーツまで,スポーツの本質は「遊戯」であり,記録や点数の数量化だけに固執するのではなく,「より人間らしく」(humanius)競技することにあることを明らかにする。
第2回 上記と関連して,H.Lenk(スポーツ哲学)とO.Grupe(スポーツ人間学)の現代スポーツ論を講述する。特に,過剰競技は是正されなければならないが,スポーツにおいて非日常的な何事かを全身運動によって成し遂げることの重要性を理解する。
第3回 スポーツにおける人間の攻撃行動と他の動物の攻撃行動との類似点,相違点を行動学(Verhaltensforschung)の立場から明らかにする。
第4回 第3回に続いて,人間には法律やスポーツのルールを遵守する教育が非常に重要であることを明らかにする。
第5回 歴史的には競技で賞品を獲得し,賭け事をするのも一般的であり,金銭に関してアマとプロに差別,区別するのは,ここ100年間の特殊な現象であったことを明らかにする。
第6回 選手養成と国家との関連を,諸外国と日本を比較しながら明らかにする。
第7回 ナショナリズムやマスメディアと競技スポーツとの関連や問題点を明らかにする。
第8回 ドーピングについて明らかにする。健康を害するから禁止なのか,それでは健康を害さないドーピングは許されるのかについても検討する。
第9回 資本主義国家の競争原理と勝利至上主義との関連を明らかにしながら,非資本主義国家の勝利至上主義についても検討する。
第10回 巨大化したオリンピックの現状及び問題点を明らかにする。
第11回 ドイツにおける「みんなのスポーツ」の特徴を,日本と比較しながら明らかにする。
第12回 アメリカ,イギリス,ノルウェー,日本,IOC等における「みんなのスポーツ」の現状を明らかにする。発展途上国の人々にとっても,スポーツは権利であることを理解する。
第13回 スポーツ科学の現状と問題点を明らかにする。女性の長距離走や身体障害者のスポーツに反対したのは科学者であり,科学的成果を採用するかどうかを最終的に決定するのは,現場のコーチや競技者であることを理解する。
第14回 これまでの講義を総括し,現代におけるスポーツ文化の特徴を検討する。
第15回 これまでの講義を総括し,現代におけるスポーツ文化の問題点とそれらの解決法を検討する。

【学習の方法】
・受講のあり方
現代スポーツの実情や問題点を理解するだけでなく、自分の考えを積極的に発言する。
スポーツ科学における専門用語を意欲的に習得する。
・授業時間外学習へのアドバイス
下記テクストを読んで、質問事項をまとめてくること。

【成績の評価】
・基準
レポート課題(または記述試験)
小課題(随時課する)
・方法
レポート課題(または記述試験)70%
小課題30%

【テキスト・参考書】
佐藤臣彦「身体教育を哲学する」北樹出版、
川谷茂樹「スポーツ倫理学講義」ナカニシヤ出版  など

【その他】
・オフィス・アワー
昼休み

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