高分子物理化学Ⅰ
 Physical Chemistry I
 担当教員:川口 正剛(KAWAGUCHI Seigou)
 担当教員の所属:大学院有機材料システム研究科 有機材料システム分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機能高分子工学科  科目区分:専門基礎科目・選択必修 
【授業の目的】
平衡状態における巨視的な高分子の構造や物性を決定するのは熱力学である。しかし、熱力学は高分子にとどまらず、あらゆる物質の状態を支配するので、ここでは一般的な熱力学を学習する。
高分子化学はもちろん、一見複雑に見える生体高分子の機能も含めて、マクロな自然現象のすべてを律している最も基礎的な原理の一つが物理化学である。従って、将来どのような分野で活躍するにしても、最低限この科目を理解しておかなければならず、高分子科学の研究を行う際の必要不可欠な基礎知識となる。本講義では、気体の性質と熱力学の基本法則、混合物の性質、反応速度論について理解させる。

【授業の到達目標】
物質の三態の中で最もよくわかっている気体を例にとり、理想気体、実在気体、気体分子運動論、さらには気体の統一的解釈について適切に理解できるようになる。エンタルピーとエントロピーの概念を理解することにより、ギブズエネルギーを定量的に理解できるようになる。相平衡、混合物の性質、化学平衡についてギブズエネルギーを用いて適切に説明できるようになる。簡単な反応速度論を説明できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
気体分子運動論、熱力学、エンタルピー、エントロピー、自由エネルギー、混合物、相平衡、化学平衡、反応速度論

【科目の位置付け】
関連する科目:基礎物理化学、物理化学演習I、物理化学II、高分子熱・統計力学

【授業計画】
・授業の方法
パワーポイントと黒板を用いて授業を行う。パワーポイントの資料は講義・演習ノートとして配布する。物理化学演習I(必修)と深く関係しており、本学科の最重要基礎科目の1つに位置づけられている。
・日程
第1回:物理量や単位の換算
第2回:気体の性質(1)
第3回:気体の性質(2)
第4回:熱力学第一法則(1)
第5回:熱力学第一法則(2)
第6回:熱化学
第7回:中間試験と解説
第8回:熱力学第二法則(1)
第9回:熱力学第二法則(2)
第10回:純物質の相平衡 (1)
第11回:純物質の相平衡 (2)
第12回:混合物の性質
第13回:化学平衡の原理と応用
第14回:化学反応速度論
第15回:期末試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
私語等他の受講生の迷惑とならないように,毎週しっかり受講してください。この科目は本学科の最重要基礎科目の1つに指定されているので、積極的に取り組んでください。
・授業時間外学習へのアドバイス
教科書と配布プリントをよく読んで来てください。
必修の高分子物理化学演習Iとセットになっているので必ず履修してください。
予習、復習が大切です。

【成績の評価】
・基準
熱力学について、授業を通して得られた知識や経験に基づいて主体的に考察し、論述できることが合格の基準である。具体的には、
1. 気体の性質、内部エネルギー、エンタルピー、エントロピーおよびギブズエネルギーを理解できるようになる。
2.純物質および混合物の性質、相平衡、化学平衡など様々な物質の変化についてギブズエネルギーを用いて説明できるようになる。
3. 様々な化学反応を速度論的に理解できるようになる。
・方法
中間40点、期末60点で60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:アトキンス物理化学要論, P. Atkins, J.d. Paula著, 市原秀昭, 稲葉章訳, 東京化学同人, 5800円
参考書: P.W.Atkins著,千原秀昭・中村亘男訳「物理化学(上・下)」東京化学同人
参考書:W.J.Moore 著,藤代亮一訳「物理化学(上・下)」東京化学同人
参考書:近藤和生他, 物理化学 朝倉書店

【その他】
・学生へのメッセージ
物理化学はこれからみなさんが学ぶ高分子科学の基礎をなすものであるので、真剣に取り組んでほしい。最初はわからなくても、あきらめないで真剣にかじって見てください。何かが見えてきます。化学は決して暗記科目ではなく、高校まで疑問に思っていたことが論理的にかつ体系的に理解できるようになります。
自分で考えて解こうとする姿勢が大事であり,その習慣を是非身に付けて欲しい。
・オフィス・アワー
毎週月曜日17:00~18:00 2号館306号室

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