科学英語
 Scientific English
 担当教員:吉田 司(YOSHIDA Tsukasa)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)物質化学工学分野
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
高分子・有機材料工学科のカリキュラムポリシーにおける、国際的なコミュニケーション基礎能力を身につけるための外国語科目であり、研究発表や論文執筆のみではなく、先端的情報を得ることや、国際的な場での議論、交渉等に必要な科学技術分野での英語力を養うことを目的とします。すなわち読む、書くだけでなく、聞く、話すことも含めた総合的な英語によるコミュニケーション能力の向上を目指します。
科学技術に関わる研究開発の最前線では、母国語が何であっても、どの国から来た人でも英語でコミュニケーションをしています。最新の研究成果は、常に英語で発表報告されています。すなわち、英語が出来なければ科学技術の最先端で活躍することは不可能と言って良いでしょう。一般にはあまり使われない、しかし科学技術分野では日常的に使われる語彙を新たに知ることも必要ですが、そうは言っても結局言語の学習です。言語は文化、人の暮らしと密接に関係しています。言語の学習を通じて、異文化を知り、受け取り、伝える人同士のコミュニケーションの喜びを見出して欲しいと思います。

【授業の到達目標】
1)専門分野の学習、議論、説明、成果の発表を英語を通じて出来るようになる。
2)科学技術分野のコミュニケーションに必要な語彙を正しく身に着ける。
3)英語を聞き、英語で考え、英語で答えることが出来るようになる。
4)グローバルな視点から人類共通の課題を見出し、共有できる国際感覚を身に着ける。
5)科学技術共通語としての英語の重要性を認識し、その習得のための努力を継続できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
科学技術英語、聞き取り、発音、読解、作文、コミュニケーション、国際性

【科目の位置付け】
高分子・有機材料工学科のディプロマポリシーの2.幅広い教養と汎用的技能の(3)国毎の文化・価値観の多様性を理解し,将来的に国際的な課題の解決においてリーダーシップを発揮出来る素養を身につけること、と3.専門分野の知識と技能の(3)既に学んだ高分子・有機材料科学の範囲にとらわれることなく,周辺の新分野に関しても,自発的かつ継続的に学習できる能力を身につけること、に対応しており、研究者技術者に必須となる実践的科学英語力を身に着けるための科目である。

【授業計画】
・授業の方法
教材としてテキスト、テキストに添付のCD、ビデオ教材等を利用して授業を行います。授業の進行には独自に作成したパワーポイントを使います。科学論文の読解や記述になれるための基礎的語彙の獲得、科学英語の聞き取りと発音、頻出する科学英語表現の例文を実際に演習しながら習得します。
毎回出席を兼ねた小テスト(英単語、作文、ディクテーションなど)を行います。
授業中はランダムに口頭質問します。
授業は基本的には日本語でしますが、質問が英語になる場合があります。
・日程
第1週 授業の進め方の説明並びに授業の目的を説明する
第2週 発音練習
第3週 数字の読み方
第4週 単位、元素、化学物質、材料、実験器具を英語で言う
第5週 物の形、サイズ、位置を伝える、聞き取る
第6週 英語で計算しよう
第7週 中間テストと解説
第8‐12週 科学技術で頻出する英文の練習
第13週 Let's talk about our future!
第14週 Let's learn about renewable energy
第15週 授業全般に関する試験と解説

【学習の方法】
・受講のあり方
小テストを授業の最初にやりますから、遅刻しないように!教科書を授業で使用します。CDも添付されていますので、発音練習などしてから授業に臨むと良いでしょう。英語の発音は絶対にカタカナで書かず、聞いて、真似る、を繰り返すことで習得しましょう。ノートは単純なスライドの書き写しではなく、話の中で出てきたことで「あ、そうか!」と思った事をメモするようにした方が良いです。質問や発音練習などはランダムに頻繁に行います。分からない語彙などは辞書をどんどん引くようにして下さい。授業の内容に関する質問や英語学習法のアドバイスが欲しい人は、教員のオフィスにどんどん来てください。
そもそも全ての講義は成績をとるために受講するのではなく、自分の能力を拡大するために受講するのです。この講義では、自分の英語力をどれだけ高めることが出来、将来の自己実現に役立てることが出来るのか、が重要な課題です。「私は何点でしたか?」とか「試験範囲はどこですか?」とか「何とか救ってくれませんか?」などの愚問には一切答えません。本気で英語力を高めたい人にはトコトン付き合います。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業時間で教科書を全部使うことは出来ませんが、自習に用いると有効です。添付のCDで発音練習もできますから、大声で発音練習しましょう。アクセント、文章のリズムが大切です。科学英語と言っても結局英語の授業です。他のどんな英語学習でも役に立ちます。要領よくやろう、効率よく覚えよう、などと思わず、片っ端から英語を読み、聞きする習慣を身に着けると良いでしょう。テレビやラジオの英会話プログラムもお勧めです。インターネット上にも沢山英語の教材があります。英語の映画を見る、テレビを見る、YouTubeのビデオを見るのも良いです。英語の学習に関する心がけ、英語をマスターするとどんな良いことがあるのか、効果的な英語の学習法に関するアドバイス、などについては、研究室のウェブページの講義のページに色々と書いてありますから、是非読んで参考にしてください。
http://yoshidalab.yz.yamagata-u.ac.jp/lecture.html

【成績の評価】
・基準
科学英語を題材として、英語でのコミュニケーション能力がどれだけ身に着いたかを判断します。聞き取り能力、発音、科学技術関連の語彙、文章の読解、英語での表現、作文などを総合的に評価します。
英語を科学技術標準語と認識し、その習得を自分自身の目標として努力を継続できる国際感覚を身に着けることが今どれだけ英語が出来るかよりもずっと大切です。成績のために仕方なく、苦痛を感じて英語学習を自分に強制し、心が逃げている状態であれば、この講義の目標達成にはほど遠いです。
・方法
小テストで30点、中間テストで30点を与える。期末テストで40点の計100点満点とする。総合して60点を越した者は合格とする。授業中の質問に対する受け答え、授業に臨む姿勢なども加点、減点の評価対象になります。

【テキスト・参考書】
教科書
化学英語101 化学同人 3000円
英和辞典や英英辞典(電子辞書も可)も使いましょう。

参考書(自習に向いています)
カガク英語ドリル シーエムシー出版 1600円
科学英語の基礎 化学同人 3200円
General Science 南雲堂 1900円

【その他】
・学生へのメッセージ
「大学に居るうちに実践的な英語力を身に着けておくべきだった・・・」「大学ではもっと実践的な英語を教育して欲しい・・・」とは研究開発の現場で働く諸君の先輩からよく聞く言葉です。では実践的な英語力とは何でしょう?それは英語を媒体としたコミュニケーション力です。結局英語も日本語と同様に言語のひとつですから、コミュニケーションのツールです。要は相手の考えていることをどれだけ受け止められるか、自分の考えていることをどれだけ伝えられるか、です。研究開発の最前線で言語が日本語から英語に変わることで起こる障害をどれだけ乗り越えられるかが課題です。よく「読み・書きは出来るけど、聞き取り、さらには話すことが全然・・・」という人が居ますが、それはあり得ません。会話することが出来ないのはその言語のシステムが脳の中に出来ていないためなので、読み書きも本当はちゃんと出来ていないのです。だからこの授業では諸君が苦手とする聞くこと、話すことに重点を置きます。文字に頼りすぎると、日本語にいちいち置き換えてしまうので即答することが出来なくなり、発音も相手には全く理解出来ないカタカナ発音になってしまいます。英語を聞いたら英語で考えて、英語で返す。これが自然に出来るようになるのが理想ですが、そう簡単じゃないですね?この授業をきっかけとして、自分を英語漬けにして下さい。つい日本語に逃げてしまうことが、自分の中に「英語回路」を作る妨げになってしまいます。あまり堅苦しく考える必要はありません。コミュニケーションなのですから、受け止め、伝えることが出来れば良いのです。それが実践的な英語力です。授業では、これまでに知らなかった技術用語も沢山出てきます。「へえ~、Methaneってメタンじゃなかったの?」と楽しみながら技術英語に慣れていってもらえたらと思います。諸君を「英語やらなきゃ」から「英語やりたい!」に変えることがこの講義の目標です。自分のComfort Zoneにはまって、小さい世界の中で人生を終えたいですか?英語を通じて世界はとてつもなく大きくなりますよ!是非フルサイズの人生を生きて下さい!
・オフィス・アワー
月曜日 14:00-15:30

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