分析化学
 Analytical Chemistry
 担当教員:遠藤 昌敏(ENDO Masatoshi)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科 化学・バイオ工学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:化学・バイオ工学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業の目的】
分析化学は物質の化学的な分離、検出などの方法について研究する学問であり、応用的な面を有する。一方、他の化学の分野において分析法の修得は必須であり、基礎的な領域でもある。ここでは酸塩基反応、錯形成反応、沈殿反応、酸化還元反応などの溶液内化学反応をもとにした分離、定量法について講義し、基礎的な知識および先人の知恵を学ぶ。物質に何がどのくらいふくまれているかという情報を明らかにする際に必要となる単位や濃度などの用語、濃度計算、各種定数の意味と利用方法、溶液内での無機の反応と分析方法について理解し、実際に使えるようにする。

【授業の到達目標】
1.定量分析の基本となる単位、器具、濃度、測定値の取扱いができる。2.酸塩基反応と分析的応用について理解できる。3.錯形成反応と分析的応用について理解できる。4.沈殿生成反応と分析的応用について理解できる。5.酸化還元反応と分析的応用について理解できる。

【授業概要(キーワード)】
定性分析、定量分析、濃度、pH、酸、塩基、酸解離、錯形成、溶解度積、酸化還元電位

【科目の位置付け】
この講義は、化学・バイオ工学科のカリキュラム・ポリシー「(2)化学バイオ工学の基盤」に主に対応する。

【授業計画】
・授業の方法
90分の講義時間で,前回の講義概要,当日の講義概要,講義,演習を行います。分析実験に用いる器具の実物や画像を講義に用いて理解の助けとします。質問は随時受け付ける他、ミニッツペーパーにも記入していただきます。また、ミニッツペーパーには、前の週の要点を記入してもらい、復習の一部とします。
・日程
第1週 分析化学とは
第2~4週 定量分析の基礎、定量分析に用いる器具/測定値の取扱い/単位/溶液と濃度
第5~8週 酸塩基反応と分析的な応用、酸塩基の定義/物質・電荷収支/pHと緩衝溶液/中和滴定
第9~11週 錯形成反応と分析的な応用、配位結合/キレート/キレート滴定/HSAB則
第12週 沈殿反応と分析的な応用、沈殿の生成/硫化物/水酸化物/重量分析
第13~14週 酸化還元反応と分析的な応用、電極電位とネルンスト式/酸化還元滴定
第15週 定期試験とまとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
講義中に示される、重要なポイントを確実に理解し、のちの実験や研究に応用できるようにしようとする姿勢が重要です。前向きに取り組むと学習が効果的です。講義の終わりに行う演習問題はその場で確実に解いておくことがポイントです。理解が不十分の場合はそのままにせず、友人や先生に質問して解決するようにして下さい。
・授業時間外学習へのアドバイス
あらかじめ教科書を読んだのちに例題などを解いて、疑問点をまとめておくと講義の概要を把握できます。講義中に指摘された重要な点をマークして、自分なりに整理するように。理解し難いところは遠慮しないで質問に来て下さい。

【成績の評価】
・基準
定量分析の基本となる単位、器具、濃度、測定値の取扱いを理解して使えるようになることを合格の基準とします。酸塩基反応と分析的応用について理解し、pHの計算もできる。錯形成反応、沈殿生成反応、酸化還元反応と分析的応用について理解し、安定度定数、溶解度積、酸化還元電位を活用できる。
・方法
前の週に学習した重要な部分についてミニッツペーパーにまとめてもらいます。また、授業の最後に当日の要点に相当する演習問題を解答してもらいます。毎回の演習問題および前週のまとめで30点、定期試験70点の合計100点満点のうち60点以上を合格とします。出席が3分の2に満たない学生は定期試験を受ける資格を失います。

【テキスト・参考書】
木村優・中島理一郎著、分析化学の基礎、裳華房、2900円
井上勝也著、現代物理化学序説、培風館、3200円
荻野博他著、基本無機化学、東京化学同人、2800円
視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録、数研出版、850円
分析化学反応の基礎 演習と実験、培風館、2500円

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