流体力学は、機械工学の基礎となる３力学の一つとして非常に重要である。流体力学の基礎として、流体の性質・分類、静止流体の力学、流れの表現法、層流と乱流、流体の回転と渦、連続の式、ベルヌーイの式、運動量方程式、管路損失などの講義と演習を行う。
流体力学の基礎を中心に講義を行う。学んだ知識を確実なものにするために演習にも取り組んでもらう。専門科目の「流体工学」へつなぐ授業である。

（１）流体の粘性、圧縮性、表面張力などの物理量と単位について説明できること。
（２）流体中の圧力について理解し、マノメータから圧力を計算できること。
（３）流線・流脈線・流跡線、レイノルズ数、層流・乱流、渦・渦度・循環を理解でき、それらを応用できること。
（４）連続の式、ベルヌーイの式、運動量方程式を理解でき、それらを応用できること。
（５）管摩擦損失、各種管路の諸損失を表記でき、実際の管路設計に応用できること。
＜対応する学習・教育到達目標＞は，目標B B(CP2,DP5)と目標F F(CP2,DP9)

エネルギーと流れ（キーワード：質量と運動量の保存、エネルギー保存則（ベルヌーイの式）、各種流れの抵抗、層流と乱流、粘性流体の力学、渦）

機械システム工学科の学習・教育到達目標の「（Ｇ）機械工学の基礎力」（重み１.０）を養成する科目である。

主にテキストに沿った講義（９０分×１５回）を行う。さらにテキスト章末問題などの自己学習用の課題レポート（３０分程度×毎回）によって、講義内容の理解を深め、応用力を高められるようにする。

第１回：流体の性質（流体とは何か、流体の状態量、流体の粘性、流体の圧縮性、液体表面張力と流体の分類に関する講義）
［予習］テキストのpp.1-12を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第２回：静止流体の力学Ⅰ（静止流体の圧力、圧力の表し方と単位、圧力の測定とパスカル原理に関する講義）
［予習］テキストのpp.14-19を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第３回：静止流体の力学Ⅱ（図形の各種モーメント、静止液体中の壁面に作用する液体の力と浮力に関する講義）
［予習］テキストのpp.19-25を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第４回：流れの基礎概念と一次元流れの基礎式（流れの記述法、流れの分類、流れを表す物理量（速度と流量、流線、流脈線、流跡線、流管）、流体の加速度、一次元流れの連続の式と質量保存則に関する講義）
［予習］テキストのpp.38-45を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第５回：ベルヌーイの定理とその応用Ⅰ（ベルヌーイの定理、流体のもつエネルギー、全圧と動圧に関する講義）
［予習］テキストのpp.50-54を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第６回：ベルヌーイの定理とその応用Ⅱ（タンクオリフィスからの流れ、ピトー管、ベンチュリ管に関する講義）
［予習］テキストのpp.54-59を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第７回：運動量の法則とその応用Ⅰ（運動量の法則、流れが管に及ぼす力と噴流が物体に及ぼす力に関する講義）
［予習］テキストのpp.71-75を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第８回：運動量の法則とその応用Ⅱ（噴流による推進、ジェットポンプに関する講義）
［予習］テキストのpp.79-84を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第９回：運動量の法則とその応用Ⅲ（角運動量の法則に関する講義）
［予習］テキストのpp.84-85を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第１０回：管内流れの基礎と流体摩擦損失Ⅰ（層流と乱流、レイノルズ数の物理的意味と助走区間の流れに関する講義）
［予習］テキストのpp.94-98を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第１１回：管内流れの基礎と流体摩擦損失Ⅱ（摩擦損失とムーディ線図に関する講義）
［予習］テキストのpp.98-102を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第１２回：管要素・管路を通る一次元定常流れ（管路内の定常で損失等を伴う流れに対するエネルギー式、入口損失と出口損失、急拡大部における損失と急縮小部における損失に関する講義）
［予習］テキストのpp.125-129を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第1３回：流体の回転運動と渦Ⅰ（流体粒子の回転という概念、渦と渦度に関する講義）
［予習］テキストのpp.159-162を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第1４回：流体の回転運動と渦Ⅱ（循環とストークスの定理、強制渦、自由渦とランキンの組合せ渦に関する講義）
［予習］テキストのpp.163-165とpp.169-172を読んで上記項目について調べてみる。
［復習］講義内容を見直して理解し、指定された課題を解いてレポートとして提出する。
第１５回：期末試験および総括

講義を聴き、演習・レポートの解答を提出すること。私語、飲食、講義中の出入りなど、他の受講生の迷惑となる行為を行った場合は、受講を遠慮していただき、欠席扱いとする。

前回講義講義された課題を行い、講義開始時に提出する。教科書の該当単元をよく読んで授業に臨むこと。
テキストの関連部分を復習し、演習・レポートの内容を見直すとよい。

期末試験（７０点）と演習・レポート（３０点）の結果を合計１００点とし、６０点以上を合格とする。授業概要（目標）の各項目の評価比率は、（１）４０％、（２）４０％、（３）２０％とする。

期末試験では、授業概要（目標）の各項目の達成度を評価する。演習・レポートでは、主にテキストの各章の問題から抜粋して課題とする。

［テキスト］松尾一泰、流体の力学―水力学と粘性・完全流体力学の基礎、オーム社、２００７年、本体３５００円＋税。
［参考書１］日本機械学会、ＪＳＭＥテキストシリーズ・流体力学、丸善、２００５年、１８８６円＋税。
［参考書２］中山泰喜、改訂版・流体の力学、養賢堂、１９９８年、３８００円＋税。

機械工学の基礎となる３力学の一つ、流体力学の基礎を学ぼう。また演習に取り組む中で、単位の処理や有効数字の扱い方などにも慣れよう。質問があればいつでも可能である。
電卓持参のこと。

毎週金曜日16:00-17:00，7-103教官室