運動と力学(補習)
 Kinematics and Mechanics
 担当教員:秋山 孝夫(AKIYAMA Takao),峯田 貴(MINETA Takashi)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・必修 
【授業の目的】
投射体の運動,抵抗力を受ける物体の運動,惑星の運動,物体系の等加速度運動などの問題を解くことにより運動方程式の立て方とその解法を上達させます。相対運動と慣性力,角運動量保存の法則,剛体の平面運動解析について学習します。次に,壁に立て掛けられた梯子の力学解析やスライダクランク機構についての運動解析および構成部品間の力の伝達等について学習します。
質点,質点系および剛体の運動と力学の基本法則の理解を確実にし,実際の運動機構における構成部品の運動と力学に関する解析ができる。

【授業の到達目標】
目標1:力学に関する基本法則の理解し,運動の解析に応用できること。目標2:身近に存在する質点または質点系の平面運動や並進および回転している剛体の運動に対して運動方程式を立てて解析できること。目標3:並進および回転している剛体の運動に対して運動方程式を立てて解析できること。

【授業概要(キーワード)】
運動の法則,静力学,質点系の力学,剛体の力学

【科目の位置付け】
本講義は,制御工学や機構学などのシステム設計工学関連の科目の学習をスムーズに展開するための,質点,質点系および剛体の運動および力学解析の実践力の向上を目指しています。機械システム工学科の学習・教育到達目標(A)工学の基礎力(微積分関連科目)[0.5],(G)機械工学の基礎力[0.5]を養成する科目である。

【授業計画】
・授業の方法
90分×15回の講義および例題・演習問題に取り組みながら授業を進める。授業は,運動と力学の基本法則とその適用に関する講義,およびそれらの理解を確実にし,実践力を訓練する解析演習で構成します。演習レポートで学生の到達度をチェックして講義の進行を調整します。
・日程
第1週 「運動の法則と直線・平面運動」:運動の法則,ダランベールの原理,直線運動,等加速度運動,平面運動(直角座標,極座標)等速円運動,等角加速度運動,ベクトルの微分
(予習)2階線形微分方程式に習熟しておく。ベクトルの微分に習熟しておく。
(復習)直線運動の例題・演習問題
第2週 「抵抗力を受ける落下体の運動」:雨滴の落下(抵抗力が速さに比例する場合),スカイダイビング(抵抗力が速さの自乗に比例する場合)
(予習)変数分離の微分方程式の解法に習熟しておく。
(復習)抵抗を受ける直線運動に関する例題・演習問題
第3週 「投射体の運動」:ホームラン問題,連絡筒投下問題,スキーのジャンプ競技
(予習)放物運動に関する章を読み,例題の解答を試みる。
(復習)ホームラン問題
第4週「平面運動,調和振動」
極座標での表示,ばね・質量系(正弦波運動),幾何拘束による運動,アトウッドの装置,単振り子
(予習)極座標における運動の表示に習熟しておく。
(復習)単振り子の演習問題
第5週「相対運動と慣性力」:
慣性系と非慣性系,相対運動,慣性力,遠心力,コリオリ力(転向力),ベクトルの外積
(予習)極座標におけるベクトルの表示に習熟しておく。
(復習)極座標の表示による相対運動の例題・演習問題
第6週「中心力を受ける質点の運動」:
中心力を受ける質点の運動方程式,角運動量,角運動量一定の法則,面積速度,面積速度一定の法則,中心力を受ける物体の軌道,ベクトルの外積
(予習)運動量と角運動量について習熟しておく。
(復習)回転座標系内での運動の例題・演習問題
第7週「人工衛星・惑星の力学」:
万有引力,万有引力による位置エネルギー,人工衛星・惑星の軌道,ケプラーの法則,人工衛星の打ち上げ
(予習)極座標による2次曲線の表し方に習熟しておく。
(復習)惑星の運動の例題・演習問題
第8週 中間試験および解説
(復習)解けなかった問題を解決する.
第9週「角運動量保存の法則と剛体の回転運動方程式」:
質点系の角運動量,質点系の角運動量保存の法則,剛体の角運動量と慣性モーメント,回転運動方程式と剛体の角運動量保存の法則
(予習)回転の運動方程式に習熟しておく。
(復習)剛体の平面運動の例題・演習問題
第10週「慣性モーメントの計算」:
平行軸の定理(スタイナーの定理),平板の定理,回転半径,一様な剛体の慣性モーメント
(予習)微小領域の慣性モーメント計算と物体全体の積分に習熟しておくこと。
(復習)様々な形状の物体の慣性モーメント計算,平行軸の定理の例題・演習問題
第11週「剛体の平面運動」:
質点の運動エネルギー,回転体の運動エネルギー,質点の力学的エネルギー保存の法則,斜面を転がり落ちる円柱の力学と力学的エネルギー保存の法則
(予習)回転運動と並進運動の概念を理解しておくこと。
(復習)ヨーヨー問題,斜面を転がり落下の例題・演習問題
第12週「壁に立て掛けた梯子の力学」:
鉛直壁に立て掛けた梯子に作用する力,梯子の釣り合い条件,梯子を人が登りきるための条件,梯子の転倒,クラメールの公式
(予習)力のつり合い,モーメントのつり合いの条件の求め方に習熟しておくこと。
(復習)梯子の落下運動の例題・演習問題
第13週「連続体の力学」:
質点系の運動量保存の法則,ロケットの運動方程式,ロケットの打ち上げ,可変質量系の力学
(予習)質点系の運動量の保存について習熟しておくこと。
(復習)質量可変系の運動の例題・演習問題
第14週 「衝撃の力学」:
力積と角力積,衝撃を受ける剛体の平面運動,打撃の中心
(予習)力積と力積角について習熟しておくこと。
(復習)回転を伴う衝突の例題・演習問題
第15週 期末試験および解説
(復習)解けなかった問題を解決する。

【学習の方法】
・受講のあり方
講義における板書をノートに筆記する。テキスト,プリント等を参照しながら講義の骨子をまとめること。理解が進まない点をチェックしておき質問すること。止むを得ず欠席した場合は,友達からノートを借りて補充すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
前回の講義に関する質問事項をまとめておくこと。テキスト,プリント等を通読すること。
講義ノートを点検,整理して不備な箇所をテキスト,参考書等で補充しておくこと。演習課題を行うこと。

【成績の評価】
・基準
授業内容に対する到達度を,中間試験または演習レポートの点数と学期末の試験の点数で評価します。具体的な力学に関する問題に対して,基礎的事項を正しく適用できるかを合格の基準とします。
・方法
中間試験または演習レポートの点数を40点満点,期末試験の点数を60点満点とし,それらの合計(100点満点)が60点以上を合格とします。目標1に関する項目40%,目標2に関する項目60%とします。

【テキスト・参考書】
○テキスト:杉山吉彦・鈴木豊彦,「力学序説」,培風館
○参考書:
高橋正雄,「基礎と演習 理工系の力学」,共立出版
原康夫,「力学」,東京教学社
小出昭一郎,「物理学」,裳華房
宇佐美誠二・貴島準一・西村鷹明・鳥塚潔,「理工系のための力学の基礎」,講談社サイエンティフィク
入江敏博・山田元著,「工業力学」,理工学社
為近和彦,「力学」,森北出版
阿部龍蔵,「力学・解析力学」,岩波書店
橋本正章・荒木賢三,「力学の基礎」,裳華房
鈴村順三・大島隆義・大澤幸治,「理工系の基礎 力学」,培風館
中山正敏,「基礎力学」,裳華房
永田一清,「新・基礎 力学」,サイエンス社
中川憲治,「工科のための一般力学」,森北出版
青木弘・木谷晋,「工業力学」,森北出版
山形大学数理科学科編,「微分積分入門-1変数-」,裳華房

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