機械工作法
 Machining Processes
 担当教員:近藤 康雄(Kondo Yasuo)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
「ものづくり」の原点でもある機械工作に必要な基礎的な知識と考え方を身につける.高精度・微細・高速・省人という高度化する要求を実現するための最適で環境にやさしい加工法を提案できる機械技術者であることを目指す.講義では,変形加工と除去加工の両者の違いや,材料の特性に応じて加工法を使い分けることにも注目しながら,高精度・高能率・低環境負荷加工についても学ぶ.

【授業の到達目標】
・ねらい
機械の製造に必要な加工技術について知ることができ,具体的な材料加工の問題に対し適切な加工法を選択できる知識が修得できる.また,経済的に高精度・高能率な加工を行うための加工法や,機械加工における環境負荷低減法の提案ができるようになる.

・目標
1.鋳造,溶接,塑性加工,切削加工,研削加工,エネルギー加工の特徴と簡単な理論が説明できるこ
と.
2.熱間加工と冷間加工の特徴および両者の加工精度の違いが説明できること.
3.機械加工おける熱処理の重要性を説明できること.
全体を通して,機械加工に関連した問題の解決が図れる能力を身につける.

【授業概要(キーワード)】
加工法,機械工作,材料の強度と許容応力,弾性と塑性,生産・管理システム
工業材料の性質と機能,材料試験法,機械設計,生産管理,資源・環境管理,加工機械,工作機械,素材製造,塑性加工,鍛造法,曲げ,トライボロジー,破壊,溶接/接合,切削法,精密加工,マイクロ/ナノ加工,表面加工,加工と材料の力学,環境適合加工法

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標(G)機械工学の基礎力(0.5),(H)実践的機械工学(デザイン・ロボティクス分野)(0.5)を養成するための科目である.括弧内の数値は重みを示す.

【授業計画】
・授業の方法
90分の授業で講義と演習をおこなう.授業の理解を深めるために毎回課題を出すので,次回の授業のはじめにレポートとして提出すること.
・日程
第1週 機械工作法とは
[予習] 機械工作実習で行った工作機械の名称,機能,適用分野などを調べておくこと.
[復習] 課題を行い,授業内容の確認・理解を行い,レポートとして提出すること.
第2週 機械加工から見た工業材料
[予習] 工業材料にはどのような種類があり,それらが持つ特徴などを調べておくこと.
[復習] 機械加工の立場から、純鉄,炭素鋼,鋳鉄,合金鋼、銅合金、アルミニウム合金、プラスチック
の特徴を理解し,レポートとして提出すること.
第3週 鋳造
[予習] 鋳造法の種類と特徴および溶湯が凝固する際に起こる現象などを調べておくこと.
[復習] 成型法としての各種鋳造法の特徴を理解するとともに,溶湯の凝固過程と鋳造欠陥の関係を整理し,レポートとして提出すること.
第4週 塑性加工
[予習] 材料の弾性・塑性および塑性加工の種類と特徴などを調べておくこと.
[復習] 成型法としての各種塑性加工の特徴を理解するとともに,実際にどのような製品が工業的に作られているかを,レポートとして提出すること.
第5週 冷間加工と熱間加工
[予習] 冷間加工,熱間加工および温間加工とは何かについて調べておくこと.
[復習] 圧延,鍛造,押し出し,引き抜きにおける冷間加工および熱間加工の特徴を理解するとともに,実際にどのような製品が工業的に作られているかを,レポートとして提出すること.
第6週 加工硬化と熱処理
[予習] 加工硬化とは何か,熱処理とは何かについて調べておくこと.
[復習] 加工の強さと材料強度の関係を理解するとともに,熱処理の方法と材料特性の変化について,レポートとして提出すること.
第7週 中間試験
第1週から第6週の学習内容について中間試験を行う(50点満点)
第8週 溶接
[予習] 融接,圧接,ろう接とは何か,および,アーク溶接の原理と特徴について調べておくこと.
[復習] 接合法としての各種溶接法の特徴を理解するとともに,実際にどのような製品が工業的に作られているかを,レポートとして提出すること.
第9週 溶接部の強度
[予習] 融接において,溶接部の組織変化と強度の関係について調べておくこと.
[復習] 溶接部・ボンド部・熱影響部・母材における組織変化と強度の関係を理解するとともに,溶接強さの算出法について,レポートとして提出すること.
第10週 切削加工と切削工具
[予習] 切削加工および切削工具の種類および特徴について調べておくこと
[復習] 成型法としての各種切削加工法の特徴を理解するとともに,なぜ切削工具には多くの種類があるのかを,レポートとして提出すること.
第11週 切削の力学および切りくず生成
[予習] せん断変形の幾何表現および切りくずの4形態について調べておくこと.
[復習] 切りくずの生成機構を理解するとともに,簡単な切削モデルにおける切削力の算出法について,レポートとして提出すること.
第12週 研削加工
[予習] 研削加工,研削砥石の種類と特徴および砥石のツルーング・ドレッシングについて調べておくこと.
[復習] 自由研削と機械研削の違い,砥石の使い分け,砥石の切れ刃と結合剤の役割,固定砥粒と遊離砥粒の違いについて,レポートとして提出すること.
第13週 エネルギー加工
[予習] 放電加工およびレーザー加工の種類と特徴について調べておくこと.
[復習] 放電加工およびレーザー加工の原理および適用分野,また,これらが従来の加工法と比べて極めて優れている点について,レポートとして提出すること.
第14週 加工の計測技術
[予習] 加工がうまくできたかどうかを評価するのに必要となる,寸法測定,形状測定,粗さ測定の方法について調べておくこと.
[復習] 寸法公差,形状測定法,粗さ測定法について理解し,レポートとして提出すること.
第15週 期末試験とまとめ
第8週から第14週の学習内容について期末試験を行う(50点満点)とともに第1週から第14週までの総括を行う.

【学習の方法】
・受講のあり方
・受講のあり方
1.私語や飲食等,他の受講生の迷惑になるような行為はしないこと.
2.遅刻はしないことはもちろん,授業中に無断で教室を出入りしないこと.
3.課題は翌週の授業開始前に提出すること.
・授業時間外学習へのアドバイス
・予習のあり方
シラバス記載の予習項目について調べた結果を予習ノートなどにまとめておくこと
・復習のあり方
毎回課す課題を各自が行い,結果をレポートとしてまとめること.

【成績の評価】
・基準
評価内容として【授業概要(目標)】の目標1に関する項目70%,目標2に関する項目15%,目標3に関する項目15%.
この科目の満点は100点であり,単位認定は60点以上とする.
授業概要(目標)」に挙げた項目に対する評価の比率は機械システム工学科の学習・教育目標Gに関する項目が50%,学習・教育目標Jに関する項目が50%である.
・方法
中間試験(50点),期末試験(50点)の合計100点満点.
各試験の受験資格は,毎回課すレポートが8割以上提出されていることとする.
レポートおよび中間・期末試験の主たる内容は,機械システム工学科の学習・教育目標(G)機械工学の基礎力,(J)システム設計工学分野の修得である.

【テキスト・参考書】
基礎機械工作編集委員会 編,基礎機械工作,産業図書,1987,ISBN4-7828-4064-0,\2,200(+税).ほか,必要に応じて資料を配布する.

小林輝夫 著,機械工作入門,理工学社,1991,ISBN4-8445-2275-2,\2,400(+税)、山口克彦ほか,材料加工プロセス -ものづくりの基礎-,共立出版,2000,ISBN4-320-08131-5,\2,600(+税)

【その他】
・学生へのメッセージ
「機械工作実習」を修得していることが望ましい.
・オフィス・アワー
毎週火曜日10:00から12:00
工学部2号館3階2-306室

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