複素解析
 Complex Analysis
 担当教員:早田 孝博(HAYATA Takahiro)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)数物学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:システム創成工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
この講義では複素数を変数として複素数に値をとる,いわゆる複素関数について,その微分や積分を学びます.ここで学ぶ内容が定積分の計算に応用出来ることも学びます.
この講義で学ぶ内容は複素解析あるいは関数論などと呼ばれるもので,単なる数学の理論と考えられることが多いようですが,実は非常に応用の幅が広い分野でもあります.複素解析,特に複素積分を道具として自由に使うために必要な概念及び計算力を身につけることがこの講義の目的です.そのためにはある程度の理論的背景を知ることも重要ですので,計算力だけでなく論理的思考力も必要となります.

【授業の到達目標】
(1)複素数の計算ができる (2)初等関数の微分が計算できる (3)コーシーの積分定理を用いた積分の計算ができる (4)コーシーの積分公式を用いた積分の計算ができる (5)留数定理を用いた積分の計算ができる (6)複素積分を応用して実定積分の計算ができる

【授業概要(キーワード)】
複素関数,微分可能性,正則性,特異点,コーシー・リーマンの関係式,コーシーの積分定理,コーシーの積分公式,留数定理

【科目の位置付け】
この授業は、システム創成工学科のCP1(1)に対応する。工学の基礎としての数学の基礎知識を学習し、実践能力を身につけるための応用学習を行い、計画的な行動力と協調性,論理的な思考力・記述力をもって,進展著しい最先端の分野を自主的・継続的に学習できる能力を身につけるものである.

【授業計画】
・授業の方法
この講義の中心は例題演習ですので,細かな証明についてはあまり触れません.講義の初めに必要事項を解説し,それに関連した例題を解いてもらいます.その場で完全には解けなくとも,解説を参考にして,何も見ないで出来るまで復習することが重要です.また,その日の例題に関連した問題を課題として課しますので,次の講義開始時までに提出してください.課題提出、解説、連絡はWebClass上で行います.
・日程
1. 複素数 2. オイラーの公式 3. n乗根 4. 複素関数 5. コーシー・リーマンの関係式 6. 三角関数 7. 試験とまとめ 8. 複素積分 9. コーシーの積分定理 10. コーシーの積分定理の応用 11. コーシーの積分公式 12. 留数定理(特別な場合) 13,14. 実定積分への応用 15. 試験とまとめ
詳細な日程は授業開始時に周知します。

【学習の方法】
・受講のあり方
講義は板書をきれいに写すための時間ではありません.必要と思う事項を素早く書きとめ,説明を注意深く聞くようにしてください.ノートをきれいに取りたい場合は,ノートを作り直すことを薦めます(これは復習の意味で非常に良い方法です).また重要なのは板書ではなく,あくまでも口頭での説明であることを十分に理解した上で講義に臨んでください.
・授業時間外学習へのアドバイス
前回までの講義で何を学んだかをきちんと思い出してください.重要事項は何度も繰り返し出てきますが,その度に詳しく説明する時間はありません.前回までに出てきた用語や概念は理解できているものとして新しい事柄を学びますので,何が分かって何が分からないのかを自分なりに明確にした上で受講してください.
出来る限りその日のうちに復習しましょう.講義を聴いて理解したつもりになっても,自分一人で問題を解いてみると案外出来ないものです.まず (1)講義の内容,特に問題とその解説を理解する.次に (2)何も見ないで問題を解く.丸暗記が目的ではなく,自分自身で考えられることが重要です.

【成績の評価】
・基準
課題 30点 中間テスト30点 期末テスト40点、合計100点で評価を行い、上記の目標が達成されているかを確認し,60点以上を合格とする.
・方法
毎回の課題により、授業の到達目標の達成度を評価する。さらに
中間テストおよび期末テストにより、総合的な理解度を評価する。

【テキスト・参考書】
複素関数への一歩,三浦 毅 著(学術図書出版社)

【その他】
・オフィス・アワー
毎週月曜日午後4時から5時まで 7号館2階7-213号室

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