圧縮性流体工学
 Fundamentals of Compressible Fluid Dynamics
 担当教員:幕田 寿典(MAKUTA Toshinori)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
飛行機やロケットなど大気中を高速に飛行するものや,トンネルに突入する高速列車,高圧タンクから流出する気体の流れにおいて,流体の圧縮性の影響が支配的になる.圧縮性を考慮した流体工学は圧縮性流体工学または熱流体工学と呼ばれる.この学問は航空工学や機械工学において非常に重要であり,多くの応用がある.本科目では圧縮性流体工学の基礎を学習する.

【授業の到達目標】
1 学習・教育到達目標C,F 流体の圧縮性,気体の状態変化とエントロピー,音波の基礎式,圧縮性流れの分類と特徴を理解でき,それらを応用できる[DP4,9].
2 学習・教育到達目標C,F 圧縮性一次元流れの基礎式と一次元定常等エントロピー流れを理解でき,それらを応用できる[DP4,9].
3 学習・教育到達目標C,F ノズル内の一次元定常流れと垂直衝撃波の基礎式・関係式を理解でき,それらを応用できる[DP4,9].

【授業概要(キーワード)】
流体の圧縮性, 完全気体の状態変化とエントロピー, 流体中を伝播する波, マッハ数,亜音速・遷音速・超音速流れ,垂直及び斜め衝撃波, 等エントロピー流れ, ラバルノズルの流れ, 垂直衝撃波の基礎式・関係式

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標(C)実践的機械工学(熱流体・エネルギー工学分野)専門知識を養成する科目(1.0).

【授業計画】
・授業の方法
90分×15週の授業を行う.各回授業の前に,30分程度の予習が必要である.全期間に渡って複数回のレポートが課される.
・日程
第1-2週 圧縮性流体工学とその応用,流体の圧縮性(体積弾性率,圧縮率,体膨張率,圧力と温度変化による体積の変化)
第3週 完全気体(熱力学第一法則と比熱,完全気体とは,完全気体の状態変化とエントロピー)
第4-5週 音波と音速(流体中を伝播する波,音波,音速,音の強さのレベルと音圧レベル,波面を囲む検査体積に適用する質量保存の法則と運動量の法則,音響インピーダンス,水撃現象)
第6週 圧縮性流れの分類と特徴(マッハ数,亜音速流れと超音速流れ,遷音速流れと衝撃波の形成,マッハ数による流れの分類)
第7週 圧縮性一次元流れの基礎式(連続の式,運動方程式,ベルヌーイの式,運動量の式,エネルギー式)
第8週 中間試験及び解説
第9-10週 一次元定常等エントロピー流れ(よどみ点状態と臨界状態,基礎式と関係式,質量流量,ピトー管による圧縮流れの速度測定)
第11-12週 ノズル内の一次元定常流れ(断熱と等エントロピー流れの違い,ノズル効率,先細ノズルの等エントロピー流れ,流れのチョーク,ラバルノズルの流れ)
第13-14週 衝撃波(衝撃波の形成,垂直衝撃波の基礎式・関係式,ランキン・ユゴニオの式,垂直衝撃波によるエントロピー変化,ラバルノズル内の垂直衝撃波を伴う流れ,レイリーのピトー管公式)
第15週 期末試験及び解説

【学習の方法】
・受講のあり方
授業に遅刻しないこと.授業中は授業内容に集中すること.
・授業時間外学習へのアドバイス
前回までの講義内容を理解しておくこと. 講義中に出てきた式の導出については,各自で確認しておくこと.例題等には各自で確認しておくこと.

【成績の評価】
・基準
100点を満点とし、60点以上を合格とする.「授業概要(到達目標)」の項目に対する評価の比率は,(1) 40%, (2) 30%, (3) 30%である.
・方法
授業内容に対する達成度を,レポート(複数回,中間試験も含む)40点および期末試験60点の合計100点により判定して成績を決める.出席回数が3分の2未満の場合は単位を与えない.

【テキスト・参考書】
松尾 一泰: 圧縮性流体力学の基礎, ジュピター書房, 2011/03. (2,268円)

【その他】
・学生へのメッセージ
「基礎流体力学及び演習」と「基礎熱力学及び演習」が履修していることを前提にしている.暗記するのではなく,理解することに心がけること.
・オフィス・アワー
6-601教員室にて、毎週木曜日16:00-16:30

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