リメディアル教育を通じて，物理的教養を高めさらに工業専門基礎科目を履修する上で必要となる力学に関する基礎的な知識・技能を確かなものにする．
高等学校で「物理」を履修してこなかった学生が，大学での「力学の基礎（物理学）」および「工業力学」の講義内容を理解できるように，高校レベルから大学レベル初歩までの力学を習得する．

(1)高等学校や大学初年次で扱う力学の内容が理解できる．
(2)具体的な力学に関する計算問題を解くことができる．

ベクトル，力，運動，運動方程式，質点，円運動，単振動，仕事，エネルギー，仕事，質点系，力積，運動量

講義が中心になるが，その中で演習も行う．講義内容の理解の点検と定着のために，数回の演習問題を課す．

第１・２週　「運動の表現」：
１次元の運動（微分，位置，速度，加速度，積分，速度から位置座標を求める，加速度から速度を求める，v-tグラフとx-tグラフ，等加速度直線運動），
３次元の運動（位置，速度，加速度，相対位置・速度・加速度，円運動，角速度，接線加速度と向心加速度，等速円運動）
第３・４週　「力について」：
いろいろな力（重力と質量，ばねの弾性力，垂直抗力，静止摩擦力，動摩擦力）
質点に働く力のつり合い（摩擦力が働く場合の力のつり合い）
剛体に働く力のつり合い（ベクトルの内積と外積，力のモーメント，剛体のつり合い，立て掛けられた梯子のつり合い，斜面上の直方体）
第５・６週　「運動の法則」：
運動の３法則（慣性の法則，慣性系，運動の法則，質量，運動方程式，作用—反作用の法則）
運動方程式を解く（多体問題，粗い斜面上の運動，放物運動，斜面上での投上げ，２質点の衝突，粘性抵抗を受ける運動，終端速度，変数分離型微分方程式）
慣性力（加速度系での運動方程式，見かけ上の重力加速度）
第７週　中間試験とその解説
第８・９週　「保存則—運動方程式の積分—」：
運動量と力積（運動方程式の積分，運動量，力積，運動量保存則と外力の力積，衝突と反発係数）
仕事とエネルギー（仕事の定義，仕事と運動エネルギー，保存力と非保存力，保存力と位置エネルギー，重力の位置エネルギー，弾性エネルギー，力学的エネルギー，２つの小球の弾性衝突）
物体系の運動（重心，反発係数と相対運動，換算質量，重心運動エネルギーと相対運動エネルギー）
第10・11週　「円運動と単振動」：
円運動と遠心力（向心力と遠心力，円錐振り子，鉛直面内の円運動）
単振動（単振動と等速円運動，角振動数，振幅，周期，復元力，一般解，特解，エネルギー保存則，鉛直ばね振り子，鉛直面内の単振動，単振り子）
重心と相対運動（重心，相対運動方程式）
第12・13・14週　「万有引力の法則とケプラーの法則」：
万有引力の法則（万有引力，ケプラーの法則，万有引力の法則の導出，ケプラーの第３法則，地球に掘られたトンネル内の小物体の運動）
万有引力とケプラーの法則（万有引力による位置エネルギー，重力と重力加速度，ケプラーの第１法則，楕円軌道，ケプラーの第２法則，面積速度）
ケプラー運動（静止衛星の打上げ，円軌道と楕円軌道の力学的エネルギー，第１宇宙速度，第２宇宙速度）
第15週　期末試験とその解説

疑問点は常に授業の中で解決するような態度で臨むこと．また，積極的に質問し自学に心がけること．

テキストに沿って予習し，疑問点などを明確にして授業に臨むこと．
課題は学習内容の理解・定着のためにほぼ毎回出題するので，しっかりと取組みかつ提出すること．

授業の取組みや課題に対する取組みを重視する．
具体的な力学に関する問題に対して，基礎的事項を正しく適用できるかを合格の基準とする．

課題の提出(40点満点)と２回の試験(60点満点)の合計(100点満点)が60点以上を合格とする．

テキスト：杉山忠男，「物理チャレンジ独習ガイド」，丸善出版
参考書：入江捷廣，「リメディアル大学基礎物理」，講談社
参考書：細川貴英，「微積で解いて得する物理」，オーム社
参考書：和田純夫・大上雅史，高校物理のききどころ１「力学とエネルギー」，岩波書店
参考書：数研出版編集部，「もういちど読む数研の高校物理 第１巻」，数研出版
参考書：為近和彦，「高校生が感動した物理の授業」，PHP研究所
参考書：為近和彦，「もう一度高校物理」，日本実業出版社
参考書：川村康文，「ドリルと演習シリーズ 基礎力学」，電気書院
参考書：永田一清，「新・基礎 力学」，サイエンス社
参考書：青木弘・木谷晋，「工業力学」，森北出版
参考書：高橋正雄，「基礎と演習 理工系の力学」，共立出版
参考書：杉山吉彦・鈴木豊彦，「力学序説」，培風館
参考書：小出昭一郎，「物理学 三訂版」，裳華房

課題にしっかり取組むこと．

毎週金曜日16：00～17：00，6号館6階603号室