システム創成技術者倫理
 Engineering Ethics
 担当教員:飯塚 博(IIZUKA Hiroshi)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)システム創成工学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:システム創成工学科  科目区分:基盤教育科目・選択必修 
【授業の目的】
技術者が関わる事故やトラブルの事例を紹介しながら、そこに至るまでの個人の問題、組織の問題、そして技術上の問題などを分析し、技術者としてどのように公益の利益を守っていくべきかを考えていく。科学技術の進歩に伴って、我々の生活は益々便利になってきている。他方では、大きな事故、不祥事あるいは個人・組織・企業にまたがる複雑なトラブルの発生も増えており、さらに、その進歩に各種法律の制定や我々の意識がついて行けてないという側面もある。このような時代に,技術者として社会貢献していくに際し、どのような倫理的視点が必要かについて講義する。

【授業の到達目標】
具体的な事例を参考にし、グループ討論を行いながら倫理学について考えていく。
到達目標は、
(1)技術者倫理の問題を3つの視点に分類して争点を整理できる。
(2)チャレンジャー号事故を題材にして、倫理上の問題を3つ以上あげられる。
(3)功利主義、徳倫理学、義務倫理学について具体例を1つずつあげながらその特徴を説明できる。

【授業概要(キーワード)】
公衆の安全、専門職の倫理

【科目の位置付け】
選択必修科目

【授業計画】
・授業の方法
講義とグループ討論・発表を取り混ぜて行う。内容整理のためのプリントを配布するので、グループ内で話し合った内容をまとめていく。
・日程
第1週;技術者倫理の誕生
(予習)最近マスコミで取り上げた企業の不祥事をピックアップしておくこと
(復習)配布資料に記載した課題に回答し,次週提出すること
第2週;チャレンジャー事故と技術者倫理Ⅰ
(予習)教科書Ⅰ-01-1「チャレンジャー号事件①」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第3週;チャレンジャー事故と技術者倫理Ⅱ
(予習)教科書Ⅰ-01-2「チャレンジャー号事件②」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第4-6週;技術者倫理の視点・外部講師による話題提供
(予習)最近マスコミで取り上げた企業の不祥事をピックアップしておくこと
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第7週; フォード・ピント事件、功利主義
(予習)教科書Ⅰ-02-1,2「フォードピント事件①、②」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第8週;倫理と法、義務倫理学
(予習)教科書Ⅱ-03 「製造物責任法について知るべきこと」、
       Ⅱ-07「倫理概念について知るべきこと」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第9週;倫理と道徳、徳倫理学
(予習)教科書Ⅱ-07「倫理概念について知るべきこと」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第10週;日本人の特質と異文化共生
(予習)教科書Ⅱ-06「応用倫理について知るべきこと」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第11週;日本人の特質と社会人基礎力
(予習)教科書「総論」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第12週;知的所有権とコンプライアンス
(予習)教科書Ⅱ-02、03「知的財産権について知るべきこと」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第13週;公益通報と内部告発
(予習)教科書Ⅰ-11 「ギルベインゴールド」
      Ⅱ-04「ビジネス倫理について知るべきこと」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること
第14週;講演会、レポート課題
第15週;線引き理論とべきの文法
(予習)教科書Ⅱ-8「工学の倫理概念」を読んでくること
(復習)配布資料に記載した課題に回答し、次週提出すること

【学習の方法】
・受講のあり方
グループ討論に備えて予習をすること。グループ討論では積極的に発言すること。他人の意見に反論するのではなく、多様な意見を受け入れながら、自分の考えを整理していくこと。
・授業時間外学習へのアドバイス
プリントに記した個人課題について1時間程度で復習をする。次回取り上げる課題をプリントに記してあるので、指定した教科書の相当する章を30分程度読んで予習をし、グループ討論に備えること。工学や技術に関連した事故・不祥事に興味を持ち、自分ならばどうするか、何が足りなかったのか等の分析をケーススタディーしてみる。

【成績の評価】
・基準
倫理上の争点を理解できたか、争点を分析できたか、倫理的責任を感じることができたか、について評価する。
・方法
グループ討論での課題整理状況(30%)、個人の考え方の整理状況(30%)、課題レポートにおける倫理学の認識状況(40%)を総合して評価する。この講義の合格は60点以上である。

【テキスト・参考書】
教科書;「はじめての工学倫理」、齋藤了文・坂下浩司、昭和堂
参考書;
(1)技術者倫理の世界(第二版)、藤本温、森北出版
(2)異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養、
 エリン・メイヤー、英治出版
(3)パンセ、パスカル、中公文庫

【その他】
・学生へのメッセージ
普段から「知識・技術」だけでなく、「倫理・道徳」にも関心を持つこと。
受身の状態で講義を聴くのではなく、積極的に討論に参加して永続的に学ぶ姿勢を作りましょう。
・オフィス・アワー
月曜日16:00-17:00

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