機構学
 Kinematics of Machinery
 担当教員:南後 淳(NANGO Jun)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択必修 
【授業の目的】
新しい機構の開発は,既存の機構にとらわれず,機構の自由度の公式に基づき,節の数と形状および対偶の種類と配置を工夫して機構の構造を独自に提案することが肝要です。本講義では,剛体の位置決定変数と自由度,対偶(軸受)の種類と自由度,機構の自由度の公式を確実に学習し,各種の平面および空間機構の構造と構成部品の運動を理解します。
運動機構の解析と設計の手法を学習し,機械設計一般において必要となる想像力,構想・着想力等を養成します。

【授業の到達目標】
(1)機械や装置の基礎事項である,対偶の種類,運動機構の構成,機構の自由度,力の伝達等に関する知識を修得すること。(学習・教育到達目標 B:DP5, F:DP9)
(2)偏心円板カム機構,歯車機構,スライダ・クランク機構および平面4節リンク機構の構成部品の相対運動が解析できること。(学習・教育到達目標 B:DP5, F: DP9)
(3)運動と力学に関する学習で機構設計ができること。(学習・教育到達目標 B: DP5, F:DP9)

【授業概要(キーワード)】
静力学,機構の力学,設計法,機械設計

【科目の位置付け】
本講義は,CAD/CAMやロボティクスなど,機械や装置の構成部品の相対運動解析が必要な科目の学習をスムーズに展開するための,機構の運動と力学解析の実践力の向上を目指します。
機械システム工学科の学習・教育到達目標「B.機械工学の基礎」(CP2),「F.自主的・継続的学習能力」(CP2)に対応する科目である。

【授業計画】
・授業の方法
1回90分の講義および演習を15週にわたり行う.
授業は,機械や装置の基礎事項とその適用に関する講義,およびそれらの理解を確実にし,実践力を訓練する機構の解析演習で構成します。
・日程
講義中に演習を行う場合があります.時間内に提出できるよう,予習をすること.
また,間違えた箇所については,講義終了後,教科書でよく確認すること.
第1週 節(リンク),対偶(軸受)
[予習]教科書(p.1~18)を読んで,機構の種類と対偶について確認しておくこと.
[復習]対偶の自由度等整理しておくこと.
第2週 機構の自由度
[予習]教科書(p.19~25)を読んで,機構の自由度について確認しておくこと.
[復習]自由度の算出式を使えるように理解すること.
第3週 平面機構の構造の総合
[予習]教科書(p.28~36)を読んで,機構の総合について確認しておくこと.
[復習]機構の構造について,整理しておくこと.
第4週 複素平面
[予習]教科書(p.37~38)を読んで,複素平面でのベクトル表示について,確認すること.
[復習]複素数を用いたベクトル計算を理解しておくこと.
第5週 平面機構の運動学、回転中心、
[予習]教科書(p.38~39)を読んで,回転中心について確認すること.
[復習]回転中心の位置の導出法について,よく整理すること.
第6週 中間試験および解説
第7週 動節の速度、瞬間中心
[予習]教科書(p.39~43)を読んで,速度の解析方法について,確認すること.
[復習] ベクトルの微分についてよく整理すること.
第8週 動節の加速度、滑り速度、三中心の定理
[予習]教科書(P.44~p.50)を読んで,加速度の解析方法や三中心の定理二ついて,確認すること.
[復習] ケネディの定理を用いて機構の瞬間中心を求められるようにすること.
第9週 平面リンク機構の運動解析の手順
[予習]教科書(p.53~62)を読んで,平面三角形を用いた解析方法について,確認すること.
[復習]平面三角形を用いて,教科書の例題等が解答できるようにすること.
第10週平面リンク機構の速度解析
[予習]教科書(p.62~67)を読んで,閉ループ機構や開ループ機構の速度解析について,確認すること.
[復習]瞬間中心を用いた速度解析やヤコビ行列について整理すること.
第11週 平面機構の力学解析
[予習]教科書(p.143~148)を読んで,平面機構の力学解析について,確認すること.
[復習]各リンクの力およびモーメントのつり合いについて整理すること.
第12週 平面カム機構
[予習]教科書(p.83~88)を読んで,カム機構の特徴について,確認すること.
[復習]カム機構の種類と特徴について整理すること.
第13週 摩擦伝動機構
[予習]教科書(p.101~108)を読んで,摩擦伝動機構について,確認すること.
[復習]角速度比の算出方法について整理すること.
第14週 歯車機構
[予習]教科書(p.115~126)を読んで,歯車について,確認すること.
[復習]インボリュート歯車について整理すること.
第15週 期末テストおよび総括

【学習の方法】
・受講のあり方
教科書を中心に講義を行います。板書は最小限にし、教科書の図を使って説明しますので、教科書を必ず購入して下さい。購入しない人はついて来れません。
・授業時間外学習へのアドバイス
教科書に目を通しておくこと。
教科書を良く読み、理解できていないところがないか確認すること。プリントの問題を完全に理解すること。
[予習のあり方]
授業計画(日程)に記載のしてある項目について,指定された教科書などで1時間程度,内容を確認すること.
[復習のあり方]
演習問題等で間違えた箇所について教科書でよく確認し,理解できない箇所がないようにすること.

【成績の評価】
・基準
授業中に課せられる演習問題と中間・期末テストの結果により評価します。
中間試験では,対偶の種類や機構の構成を正しく理解しているか,機構の自由度の計算や複素数を用いた剛体の速度解析が正しくできているか,などのついて評価します.期末試験では,各種機構の変位解析や速度解析が正しく行えているか,歯車機構等の直接接触による運動伝達での条件を具体的に表現できるか などを評価します.

この科目の満点は100点であり,単位認定は60点以上とする.
・方法
授業中に課せられる演習問題と中間・期末テストにより評価します。60点以上を合格とします。
レポート(演習)複数回(30点),中間・期末試験(それぞれ35点)/合計100点満点.

【テキスト・参考書】
JSMEテキストシリーズ、機構学-機械の仕組みと運動-、日本機械学会

【その他】
・学生へのメッセージ
機械運動学は,機械や装置の重要な構成要素である運動機構の種類,それらの構成と運動の特徴を修得し,機械基本法則を理解し,代表的例題で式の誘導,解析計算,特性曲線の作図等を実践することにより学力が付く科目です。努力無くして向上無し。
高等学校で学習した三角関数,2次方程式の解法,座標変換等は運動機構を幾何学的にモデル化し,解析することの基礎です。これまでの勉強が大いに役立ちます。
・オフィス・アワー
質問等がある場合は、月曜日 16:30~17:00、6号館503号室にて。

51000026-2019-05-52361