線形システム理論の基礎を理解する。線形システムの基本的な考え方である，インパルス応答，周波数応答を導入し，数学的な道具としてのフーリエ変換とその性質を学ぶ。次に，線形・時不変のシステムでの入出力関係が時間領域ではコンボリューション積分，周波数領域では伝達関数による積になることを理解する。また、ラプラス変換の基礎を解説する。

（a）インパルス応答とコンボリューション積分について理解し，コンボリューション積分の式を導出できること。（b）周波数応答の意味を説明できること。 （c）正弦波の複素三角関数表現を計算できること。（d）振幅と位相の周波数特性から伝達関数を計算できること。（e）フーリエ変換の解釈について説明でき，簡単な信号のフーリエ変換が計算できること。（f）時間領域でのコンボリューション積分の関係が周波数領域では乗算になることを導出できること。（g）ラプラス変換の式を理解し，基本的な信号のラプラス変換を導出できること。（h）ラプラス変換に関して，コンボリューション定理，最終値の定理などを説明できること。

線形システム，インパルス応答，周波数応答，伝達関数，フーリエ変換，ラプラス変換

情報・エレクトロニクス学科のカリキュラムポリシーの教育課程の編成・実施等（２）（基盤共通教育科目で培った知識を発展させて，情報科学または電気・電子通信工学の応用力や展開力を養うための講義）に対応する。

講義形式で授業を進める。講義中に質問用紙を配布し，演習問題の解答，質問，意見を書いて提出してもらう。演習問題の解答と質問・意見の記入のために10～15分程度の時間を使う。

１ 信号とシステム ２ δ関数による表現 ３ インパルス応答とコンボリューション
４ 正弦波による表現 ５ 周波数応答と伝達関数 ６ フーリエ変換
７ フーリエ変換の諸定理 ８ フーリエ変換の演習 ９ 中間試験と解説
１０ ラプラス変換 １１ ラプラス変換の諸定理 １２ ラプラス変換の応用、
１３ フーリエ変換とラプラス変換 １４ ラプラス変換の演習 １５ 試験と解説
ただし，上記の日程は受講者の理解度に応じて変更されることがある。

１）講義開始前に教室に入り，板書の記録と演習用の記入欄を持つ講義資料を受け取る。配布資料は抜き差し可能なファイルに綴じておく。
２）授業開始時間がきたら直ちに講義が始まる。配布資料の空欄にスクリーンに示される内容を筆記する。
３）講義中の私語等は厳に謹み，携帯電話や携帯情報端末などの電源を切る。質問用紙に講義に対する質問・意見を書いてもらう。質問・意見は講義の進行にフィードバックし，質問・意見の有無によって講義に参加していたかどうかの評価にも用いる。

テキストの該当箇所を前もって読んでおくことが望ましい。講義ノートや配布資料を参考にして、授業中に解けなかった演習問題の復習を確実に行なう。
複数回の演習を宿題として課すので，定められた用紙に記入して提出する。
講義の配布資料，スライドショーのファイル，補足説明のための資料をwebで公開するので，必ず目を通す。

以下の各項目を問う筆記試験（中間試験，定期試験），および関連する質疑応答に対する評価点の合計で判断する。（a）コンボリューション積分の式を導出する。（b）周波数応答を計算し，与えられた周波数での値を求める。（c）正弦波の複素三角関数表現を計算する。（d）インパルス応答から伝達関数を計算する。（e）与えられた信号のフーリエ変換を計算する。（f）時間領域でのコンボリューション積分の関係が周波数領域では乗算になることを導出する。（g）基本的な信号のラプラス変換を導出する。（h）コンボリューション定理，最終値の定理を使ってシステムの出力を計算する。
総合的な理解度と習熟度が6割程度達成された場合，合格と判断する。

中間試験（40点），定期試験（40点），質問用紙の内容（20点）を総合し，合計100点で評価する。６０点以上を合格とする。
なお，質問用紙に書く質問や感想の文章の書き方も，採点の対象となる。礼を失した表現や，過剰あるいは不適切な敬語を使った場合は減点する。

テキスト：小畑秀文，浜田望，田村安孝：信号処理入門，コロナ社

授業内容を十分に理解するには，毎回必ず出席することが望ましい。質疑応答のための用紙と演習の答案提出で出席を毎回確認する。
連絡は掲示の他に，指定したアドレスへのメールにより行う。普段使っている機器への転送の設定などにより，メールを確実に確認できるようにすること。

毎週木曜日 16:00-17:00，相談場所：工学部8号館，8-205号室