材料力学
 Mechanics of Materials
 担当教員:黒田 充紀(KURODA Mitsutoshi)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:システム創成工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
単純な"はり"からある程度複雑なはりのたわみや応力を求める手法について学ぶ.
材料力学は,機械や構造物を設計する場合必要不可欠な学問である.材料がなんらかの力を受けたときの変形の挙動を解析し,これに基づき材質,
形状などを合理的に定め,経済的,効率的でかつ破壊しない設計を行うことを目的としている.本講では,基礎材料力学およびその演習で学んだ基
礎的概念や理論に基づき,単純なはりからある程度複雑なはり構造体のたわみや応力を求める手法について学ぶ.

【授業の到達目標】
(1)分布荷重,せん断力,曲げモーメント相互の微分関係を導出することができる.
(2)たわみの基礎方程式を自在に駆使し,静定・不静定はりのたわみの計算することができる.
(3)重ね合わせの原理などにより複雑なはりのたわみを計算することができる.
(4)たわみの基礎方程式を応用して,オイラーの座屈問題における座屈荷重を算定することができる.
(5)ねじりを受ける丸棒(組み合わせ棒=不静定問題を含む)のねじれ角とせん断応力を解析することができる.

【授業概要(キーワード)】
引張・圧縮・せん断応力とひずみ,材料の強度と許容応力,ねじり,曲げ,座屈,構造の剛性と強度,ひずみエネルギーとエネルギー原理

【科目の位置付け】
本講義の位置付けとして,機械工学の基礎に対応する科目とする。

【授業計画】
・授業の方法
1回90分の講義(毎回演習付き)を15回行う.演習の一部としてレポート提出(毎回)を課す.資料の配布、課題の提出は全てWebClass上で行う。
・日程
第1週 曲げモーメントの計算方法の確認,はりの曲率の計算,はりの支配方程式,境界条件
[予習]テキストのP.75~77を読んではりの曲率について調べる.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第2週 静定はりのたわみ(等分布荷重)
[予習]テキストのP.80, 84~85を読んで等分布荷重を受けるはりのたわみについて調べる.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第3週 静定はりのたわみ(集中荷重)
[予習]テキストのP.81~84を読んで集中荷重を受けるはりのたわみについて調べる.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第4週 静定はりのたわみ(変化する分布荷重,変化する断面)
[予習]分布荷重や断面形状が場所によって変化するはりのたわみ計算について,事前に考え数学的な準備をしておく.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第5週 不静定はりのたわみ(分布荷重,集中荷重)
[予習]テキストのP.99~102を読んで不静定はりのたわみ計算について調べる.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第6週 不静定はりのたわみ(強制変位)
[予習]力としての荷重がなく,支点に強制変位を受ける問題について解法を事前に研究しておく.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(2題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.

第7週 不静定はりのたわみ(組み合わせはり:接触して荷重を分担)
[予習]2つのはりが接触して荷重を分担するタイプの問題(オリジナル問題集に収録してある)の解き方について自分なりに戦略を立てておく.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第8週 不静定はりのたわみ(ばね支点ほか,応用問題)
[予習]支点が固定されずばね支持されている場合はどうか,これまでの知識を活用して戦略を立てておく.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第9回 中間試験および解説
[予習]前回までにレポート提出した練習問題,ならびに教科書の例題,章末問題.
[復習]中間試験の全ての問題の完答.

第10週 オイラーの座屈(軸荷重のみを受ける場合)
[予習]テキストのP.129, 134~135を読んでおく.座屈が原因となった大事故について調査しておく.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第11週 オイラーの座屈(軸荷重と横荷重を受ける場合)
[予習]軸荷重と横荷重を同時に受ける場合,どのような現象が生じそうか十分に思考実験をしておく.
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第12週 オイラーの座屈(端末条件;設計計算への応用)
[予習]テキストのP.137~139を読んでおく..
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第13週 中実丸棒のねじり(静定)
[予習]テキストのP.113~116を読んでおく..
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第14週 中実丸棒のねじり(不静定)
[予習]ねじり問題にも同じ概念を適用するので,不静定問題の数学的構造について十分に復習しておく(学習済みの引張・圧縮問題などで).
[復習]オリジナル問題集の当該箇所(3題程度(講義で指定))を解いてレポートとして提出.学習項目に該当する教科書の例題,章末問題(講
義で説明).

第15回 期末試験および総括
[予習]第8~14回までにレポート提出した練習問題,ならびに教科書の例題,章末問題.
[復習]期末試験の全ての問題の完答.

【学習の方法】
・受講のあり方
毎回の講義内容を.授業中に行われる演習問題でチェックし,分からないことは質問すること.
・授業時間外学習へのアドバイス
必ず予習をすること.
復習として,毎回出題される練習問題をきちんと自分で解いてみること.さらに参考書で類似の問題を解いてみること.

【成績の評価】
・基準
中間試験と期末試験の合計得点率が60%以上であることを合格基準とする.
「授業概要(目標)」に挙げた項目に対する評価の比率は(1)20%,(2)20%,(3)20%,(4)20%,(5)20%とする.
・方法
中間試験(45%),期末試験(45%),演習(レポート)(10%) の合計100%のうち60%以上の評価点の獲得で合格となる.

【テキスト・参考書】
野田直剛ほか、要説 材料力学、日新出版、2940円
このほか,担当者作成のオリジナル問題集を使用します(WebClass上で配布します).
尾田十八・三好俊郎、演習材料力学、サイエンス社、1900円

【その他】
・学生へのメッセージ
材料力学は,機械工学の分野で最も基礎的かつ必要不可欠な科目です.ほとんどの人が,エンジニアとして一生つき合うことになる科目です.あせらず,じっくりと取り組み,自分のものとして下さい.また勉強が,身近な機械構造物の基本的設計に役立つことを感じて下さい.
基礎材料力学およびその演習を履修してから受講することが望ましい。また、講義中使用した基礎的な数学、特に微分方程式の解法などで不明な点をそのままにせず、必ず復習して習得しておくこと。
・オフィス・アワー
毎週木曜日の16:00から17:30までに6号館の211号室でオフィスアワーを行う.

50200250-2019-05-52810