基礎熱力学及び演習
 Fundamental Thermodynamics and Exercise
 担当教員:古川英光(Hidemitsu Furukawa)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 開講学年:2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:システム創成工学科(機械システム工学分野配属)  科目区分:専門科目・必修 
【授業の目的】
Albert Einsteinは熱力学について次のように語りました。
『理論は、その前提が簡潔で印象的であればあるほど、いろいろな事がらに関係し、その応用範囲も広くなる。それゆえに、古典熱力学が私にとって非常に影響をおよぼした。
熱力学は、その基本概念が適用される範囲内で決してくつがえされない普遍的な内容をもつただ一つの物理理論である。』
熱力学は、実験研究者やエンジニアにとって、非常に強力なツールとなる完全無欠な理論体系です。その抽象的な概念や哲学を理解し使いこなすことができるようになれば、現実の様々な問題を考察したり数値的に解いたりできるようになります。
さて、あなたはどれくらいEinsteinと意気投合できるようになるでしょうか。やるなら今です。挑戦しましょう。私も大好きな、噛めば噛むほど味が出る素晴らしい基礎理論です。

【授業の到達目標】
(1)熱力学を学ぶのに必要な物理量について説明できるようになる。技術計算に必要な単位の換算、有効数字の計算ができるようになる。
(2)熱力学第1法則、内部エネルギー、エンタルピーの概念を説明できるようになる。
(3)理想気体や実在の系が状態変化するとき、圧力、体積、温度がどのように変化し、熱量と仕事がどうなるかを説明でき、計算できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
熱と仕事、示量変数と示強変数、平衡状態、準静的過程、熱力学第1法則、理想気体、状態方程式、エンタルピー、熱力学第2法則、エントロピー、カルノーサイクル、不可逆過程、転移温度

【科目の位置付け】
学習・教育到達目標の(G)「機械工学の基礎力」(1,0)を養成する科目です。かっこの中の数値は重みを表します。授業内容は「機械工学基礎IV」から引き続く授業で、専門科目の「工業熱力学」への橋渡しとして学ぶ科目です。

【授業計画】
・授業の方法
90分の講義時間の中で、講義と演習を行う。演習では学生各々が自分で問題を解いたり、グループで問題を議論・解決・発表したりしながら、インタラクティブに授業を進めます。
・日程
第1週 イントロダクション、熱力学とは
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第2週 系の性質
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第3週 相律、偏微分
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第4週 完全微分と不完全微分
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第5週 熱力学第一法則と内部エネルギー
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第6週 エンタルピー、熱化学(標準生成エンタルピー)
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第7週 理想気体の可逆過程
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第8週熱力学第一法則のまとめと試験
(予習)第7週までの内容を復習し、試験に備える。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第9週 熱力学第二法則、理想ゴムのエントロピー弾性
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第10週 熱サイクルの効率、カルノーサイクル
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第11週 理想気体の自由膨張、系の自発的な変化の方向、エントロピーと生命
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第12週 自由エネルギーと平衡
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第13週 化学ポテンシャルと標準自由エネルギー
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。
第14週 転移温度とは、生体分子の無秩序化-タンパク質の熱変性を例にして
(予習)配付資料を読み、興味を持ったことをインターネットや本等で調べておくこと。
第15週 試験とまとめ
(予習)第14週までの内容を復習し、試験に備える。
(復習)配付課題を行い、レポートとして提出する。

【学習の方法】
・受講のあり方
講義の内容についての毎回レポートを出題するので、講義に出席し、自分で講義ノートを作成する。
講義中に行う演習や試験では計算問題もあるので、関数電卓を各自準備し持参すること。
資料の配布やレポートの提出にはWebClassを使い、学習の効率化、ペーパーレス化を進めます。
・授業時間外学習へのアドバイス
前回の講義の内容を踏まえて、次の講義が行われるので、前回の講義の内容を良く勉強しておくこと。
自分で作成した講義ノートや講義中に行った演習の内容を参考にしながら、毎回レポートの課題を学習し、提出してください。毎回コツコツ学習することで、だんだんと基礎概念と思考力が身につきます。

【成績の評価】
・基準
試験を80%、演習およびレポートを20%として合計100点満点で成績評価を行い、60点以上を合格とする。 評価内容として「授業概要(目標)」の(1)の項目30%、(2)の項目30%、(3)の項目40%とする。
・方法
試験、授業時間内に実施する演習およびレポートの成績を総合して評価する。 内容は「授業概要(目標)」の(1)~(3)を含む。

【テキスト・参考書】
テキスト: JSMEテキストシリーズ「熱力学」、日本機械学会編
参考書:
1.「生命科学のための物理化学」〔上〕(アイゼンバーグ、クロサーズ著 培風館)
2.「科学と仮説」(ポアンカレ著、岩波文庫)、第三篇第八章「エネルギーと熱力学」
3.「生命とは何か‐物理的にみた生細胞」(シュレーディンガー著、岩波新書)
4.「エントロピー」(ファースト著、好学社)
5.「大学演習 熱学・統計力学」(久保亮五著、裳華房)

【その他】
・学生へのメッセージ
講義で理解できなかった点や、疑問に思ったことは積極的に聞きに来るか、
メール等で問い合わせること。
・オフィス・アワー
毎週木曜日16:00~17:00、古川居室は11号館4階です。わからないことはいつでもEメール(furukawa@yz.yamagata-u.ac.jp)やfacebookメッセンジャーなどでお問い合わせください

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