高分子液体のレオロジー、すなわち変形・流動に対してどのように応答するのか、なぜそのような応答をするのかについて学ぶ。
水のような単純な液体、あるいは金属などの単純な固体と異なり、高分子材料は粘性と弾性を合わせ持ち、それが高分子の扱いやすさ、加工のしやすさの基礎になっている。液体と固体の中間的な性質を持つため、様々な興味深い現象も生じる。本講義では、高分子の粘弾性の基礎を確実に理解し、成形加工などへの応用力を身に付けることをめざす。

(1)最も基本的な概念である「ひずみ」と「応力」を確実に理解する。(2) 線形粘弾性、非線形粘弾性の基本的な実験方法と、それによって得られる情報を理解する。(3) 高分子の粘弾性の典型的な実験データと、その温度・分子量依存性を知り、それらを簡単な理論により理解する。

ひずみ、応力、粘度、弾性率、線形粘弾性、複素弾性率、重ね合わせの原理、マックスウェルモデル、ゴム弾性、管模型、絡み合い点間重合度

本科目、「レオロジー」は、高分子の成形加工の基礎の科目となる。

講義中に演習の時間は確保出来ないので、各自で復習問題を必ず解くこと。

第1週 レオロジーとは～ その面白さと有用性
第2週 ひずみ（変形の大きさを数値で表す）
第3週 応力
第4週 理想粘性体と粘度、理想弾性体と弾性率
第5週 動的粘弾性測定と複素弾性率
第6週 静的粘弾性測定と緩和弾性率
第7週 温度・時間換算則
第8週 マックスウェルモデルと緩和時間
第9週 重ね合わせの原理と緩和スペクトル
第10週 ランダムウォークとエントロピー弾性
第11週 ゴム弾性
第12週 絡み合いと管模型
第13週 非線形粘弾性１：非ニュートン粘度と法線応力効果
第14週 非線形粘弾性２：非線形応力緩和、伸長粘度
第15週 全体の復習

解らない点は放置せずにすぐに質問すること。講義資料はWeb上で配付するが、それだけに頼らず、自分で要点をまとめたノートを作ること。

予習は特に必要ない。
その日までに講義した基礎事項は確実に理解しているようにすること。復習して解らなかった点は質問すること。
http://ctwww.yz.yamagata-u.ac.jp/takimoto/rheo/ に復習問題を置いておくので必ず解いておくこと。

ひずみ・応力の定義を記憶するのではなく、なぜそのような定義が自然でかつ有用なのかを理解していること。それを応用して、各種の弾性率・粘度の測定方法を説明出来ること。エントロピー弾性の起源を理解し、絡み合い高分子の弾性率や粘度の温度・分子量依存性を説明出来ること。

成績は期末試験だけで評価し、60点以上を合格とする。各自の理解の足りない部分の発見のために、第11週前後に中間試験を行うことがあるが、成績評価には用いない。

テキストは特に指定しない（資料はWeb上で配付）
参考書：
「高分子化学 第5版」（特に8章）、村橋俊介、小高忠夫、蒲池幹治、則末尚志 編、 共立出版
「新講座・レオロジー」 日本レオロジー学会編
「おもしろレオロジー」増淵雄一著、技術評論社

微積分の基礎、特に指数関数とその微分について、復習しておくこと。

疑問点がある場合は、なるべく講義中か、講義終了直後に質問すること。