連続体の振動学
 Vibration of Continuous System
 担当教員:小沢田 正(KOSAWADA Tadashi)
 担当教員の所属:理工学研究科
 開講学年:3年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
多自由度系すなわちバネやはりで連結された質量系の振動現象の理解およびその解析法の修得を目的とする。次に,「連続体」すなわち機械・構造物の基本要素として多用されている弦,棒,はり(1次元構造),膜,板(2次元構造)の振動現象の理解およびその解析法の修得を目的とする。

【授業の到達目標】
1) ニュートンの第2法則またはダランベールの原理に基づき,要素に働く力とモーメントのつりあいから多自由度系および連続体の振動現象を支配する運動方程式を誘導し,これを解析することにより振動数方程式,固有振動数の導出ができる。(C),(F),[DP4,5]
2) ラグランジュの運動方程式の誘導ができ,その解析ができる。(C),(F),[DP4,5]
3) 多自由度系および連続体の振動の振動数方程式,固有振動数,固有振動モード,共振,連成振動,振動制御,振動利用について具体的な説明ができる。(C),(F),[DP4,5,9]

【授業概要(キーワード)】
運動の法則,自由振動,強制振動,ラグランジュの運動方程式,減衰系,多自由度振動系,連続体の振動,共振,連成,振動制御,振動絶縁,振動利用

【科目の位置付け】
機械システム工学科の学習・教育到達目標(C),(F),[CP3,6]を養成する科目である。

【授業計画】
・授業の方法
1回90分の授業を15週にわたり行います。講義が中心であるが,理解を深めるために,時々演習,レポートを課す。
・日程
<多自由度系の振動>
第1週 多自由度系の振動とラグランジュの運動方程式(方程式の導出と基本的問題の解析法)
(予習)テキスト(P63-67)を読んで,2自由度系の振動解析法を復習しておくこと。また,テキスト(P83-86)を読んでおくこと。
(復習)例題の解法の復習および関連する課題に挑戦しておくこと。
第2週 多自由度系の振動とラグランジュの運動方程式(応用問題の解析法)
(予習)例題の解法を再度読んでおくこと。
(復習)演習問題4.7,4.11,4.12,4.14などから課せられる課題をレポートとして提出すること。
<1次元連続体の振動>
第3-4週 弦の振動(運動方程式の導出と基本的問題の解析法)
(予習)テキスト(P100-104)を読んで,変数分離型偏微分方程式の解法,フーリエ級数,部分積分法について復習しておくこと。
(復習)演習問題5.1-5.4から課せられる課題をレポートとして提出すること。
第4週 棒の縦振動(運動方程式の導出と基本的問題の解析法)
(予習)テキスト(P105-108)を読んで,棒の応力,ひずみについて復習しておくこと。
(復習)演習問題5.5-5.9から課せられる課題をレポートとして提出すること。
第5週 棒の縦振動(応用問題の解析法)
(予習)テキスト(P105-108)の例題の解法を読んでおくこと。
(復習)演習問題5.5-5.9から課せられる課題をレポートとして提出すること。
第6週 軸のねじり振動(運動方程式の導出と基本的問題の解析法)
(予習)テキスト(P109-112)を読んで,材料力学で学んだ軸のねじりについて復習しておくこと。
(復習)演習問題5.10-5.12から課せられる課題をレポートとして提出すること。
第7週 はりの曲げ振動(運動方程式の導出と基本的問題の解析法)
(予習)テキスト(P113-120)を順次読んで,材料力学で学んだはりのたわみの基礎式,モーメント,せん断力,境界条件について復習しておくこと。
(復習)種々の境界条件を有するはりの振動について,課題をレポートとして提出すること。
第8-9週 はりの曲げ振動(境界条件に関する種々の応用問題の解析法)
(予習)テキスト(P120-121)を読んでおくこと。
(復習)演習問題5.13-5.17から課せられる課題をレポートとして提出すること。
第10-11週 はりの曲げ振動(軸力,弾性床,回転慣性とせん断変形の影響など)
(予習)テキスト(P121-125)を読んでおくこと。
(復習)例題の解法の確認および課せられる課題をレポートとして提出すること。
<2次元連続体の振動>
第12-13週 膜の振動1(運動方程式の導出と基本的解析法)
(予習)6.2.1矩形膜の振動についてテキスト(P131-134)を読んでおくこと。
(復習)長方形膜の振動の基本的例題6.1-6.3からレポートとして提出すること。
第13-14週 膜の振動2(運動方程式の導出と基本的解析法)
(予習)6.2.2円形膜の振動についてテキスト(P137-141)を読んでおくこと。
(復習)演習問題6.1-6.3から課せられる課題をレポートとして提出すること。
第15週 総括および期末試験

【学習の方法】
・受講のあり方
毎回の講義を良く聞いて理解すること。それを授業中に行われる演習問題でチェックし,分からないことは質問すること。
・授業時間外学習へのアドバイス
あらかじめ授業計画で指定されたテキストの箇所に目を通して授業にのぞむこと。復習として,出題される課題をきちんと自分で解いてみること。さらに参考書で類似の問題を解いてみること。実生活での振動現象との関連を考えてみること。

【成績の評価】
・基準
(1)多自由度系および連続体の振動現象を支配する運動方程式を誘導し,これより振動数方程式,固有振動数の導出ができる。
(2) ラグランジュの運動方程式の誘導ができる。
(3) 多自由度系および連続体の振動の振動数方程式,固有振動数,固有振動モード,共振,連成振動,振動制御,振動利用について具体的な説明ができる。
・方法
演習・レポート(30点),期末試験(70点)の結果を総合して評価する。60点以上を合格とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:千葉 正克,小沢田 正:構造振動学,共立出版,(2016),3,200円
参考書:
1.斎藤秀雄、工業基礎振動学、養賢堂,(1977), 3,600円
2.S.P.Timoshenko 他2名,谷口・田村共訳,[新版]工業振動学,コロナ社
3.振動工学ハンドブック,養賢堂, (1976), 12,000円

【その他】
・学生へのメッセージ
振動工学は,機械工学の分野では基礎的かつ必要不可欠な科目です。ほとんどの人が,エンジニアとしてなんらかの形でおつき合いすることになる分野です。身近な振動現象の理解や機械構造物の耐震設計,振動の積極的利用に役立つことを感じて下さい。講義中使用した基礎的な数学,特に微分方程式の解法などで不明な点をそのままにせず,必ず復習し習得しておくこと。ノートはまめに取ること。講義中の私語は厳禁。
・オフィス・アワー
毎週金曜日17:00-18:00(6-607号室:小沢田研究室)

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