知能システム工学
 Computational Neuroscience and Artificial Intelligence
 担当教員:姜 時友(KANG Siu)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
脳科学・神経科学に関する基礎を学ぶとともに,理論脳科学・計算神経科学における問題意識と手法を学びます.具体的には,神経生理学と神経情報処理の数理を理解し,さらにそれらの工学的な応用に関して学ぶことがねらいです.

【授業の到達目標】
1. 脳を構成する神経細胞の素子特性・結合様式・情報表現様式を理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
2. 集団神経細胞が構成する神経回路の活動特性と機能を理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
3. 学習や記憶をはじめとした高次脳機能の数理モデルを理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
4. 機械学習や人工知能関連技術の基礎理論を理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]

【授業概要(キーワード)】
神経回路網(ニューラルネットワーク),大脳皮質,活動電位,シナプス可塑性,記憶と学習,機械学習,深層学習,人工知能

【科目の位置付け】
生体情報処理装置である脳の計算理論とその応用を学ぶことによって,生体とシステムを融合する工学者としての視点を身につける科目です。機械システム工学科の学習・教育到達目標における(C)実践的機械工学[CP3]および(F)自主的・継続的学習能力[CP6]の修得を目的とした科目となります。

【授業計画】
・授業の方法
90分間の講義を中心とし、講義は板書,パワーポイントを用いた説明により行います.
・日程
1. 脳科学入門
2. 神経回路の素子特性(神経細胞の活動電位発生機構)
3. 神経回路の結合特性(シナプス伝達)
4. 神経回路の情報表現(神経情報符号化様式)
5. 神経回路の可塑的変化(シナプス可塑性)
6. 神経細胞のモデル
7. シナプスのモデル
8. 視覚情報処理(一次視覚野)
9. 視覚情報処理(高次視覚野)
10. 記憶と学習
11. 前頭前野
12. 高次脳機能Ⅰ
13. 高次脳機能Ⅱ
14. 脳型情報処理の基礎理論
15. 人工知能関連技術の応用例
*進度や内容を変更することがあります.

【学習の方法】
・受講のあり方
受講内容に対しては,常に数理的・機能的意義を意識しながら学ぶよう心がけてください.自分だけのノートを作成することによって理解を深めるようにしてください.
・授業時間外学習へのアドバイス
関連図書を用いて自分で調べることを推奨します.数式に関しては実際に自身で計算してみると効果的です.

【成績の評価】
・基準
神経生理学に関しては,
1. 神経細胞の活動電位生成メカニズムとシナプス伝達の仕組みを理解すること.
2. 記憶と学習,視覚系の情報処理,前頭前野の機能,社会認知を含めたその他高次脳機能について理解すること.
計算神経科学に関しては,
1. 神経細胞とシナプスのモデルについて理解すること.
2. 脳型情報処理の数理を理解すること.
・方法
上記基準を満たしているかどうかをレポートによって評価します.

【テキスト・参考書】
「神経科学‐脳の探求」,マーク・F・ベアー他著,西村書店
「ニューロンの生物物理」,宮川博義,井上雅司著,丸善株式会社
「Theoretical Neuroscience」,Peter Dayan,Larry F. Abbott著,The MIT Press
「Deep Learning」, Ian Goodfellow, Yoshua Bengio, Aaron Courville, The MIT Press
「ゼロから作るDeep Learning−Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装−」,斎藤 康毅,オライリー・ジャパン

【その他】
・学生へのメッセージ
特に事前知識は特に必要としませんが,数理パートに関しては数学(ベクトル解析,微分方程式,線形代数など)や物理の知識があると理解の助けになります.
・オフィス・アワー
随時相談に応じます.9号館706号室.E-mailでも構いません.

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