医用システム工学
 Medical Systems Engineering
 担当教員:湯浅 哲也(YUASA Tetsuya)、馮 忠剛(FENG Zhonggang)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)応用生命システム工学分野
 開講学年:3年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:機械システム工学科  科目区分:専門科目 
【授業の目的】
現在の医療技術は、高度な工学的知見の上に立脚している。本講義では、工学的な視点から医用システムを理解・解析する能力を身につけることを目的とする。さらにこれまで得た工学的知識を深化し医用システムの開発・革新に応用できることを目指す。

【授業の到達目標】
本講義では、診断と治療という2つの側面から、画像診断と再生医療の2つのトピックスについて学ぶ。前半は、医用画像診断システムの測定原理について学習する。後半は目覚ましい発展を遂げつつある再生医療における工学的要素と技術を解説し、この分野での工学的知見の応用について学習する。具体的に:
 光、放射線、超音波と生体を構成する物質との相互作用を理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
 取得信号がどのようなメカニズムで生成されるかを理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
 取得信号からどのようなプロセスを経て画像が形成されるかを理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
 再生医療の現状、その幅広い学際的視野・発想の必要性を理解する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
 細胞培養、幹細胞工学、生体材料工学の基層知識を習得する。(C)[DP4]および(F)[DP4]
 実例により再生医療における工学的要素と技術を説明でき、重要な課題について技術的な思考と解決法を提案できる。(C)[DP4]および(F)[DP4]

【授業概要(キーワード)】
光、放射線、超音波、医用画像処理・診断、人工知能、機械学習、細胞工学、再生組織構築

【科目の位置付け】
本講義は本学科の専門展開科目に位置付け、これまでの機械システム基礎・専門科目特にロボティクス、制御工学の知識を生かして、医用システムを理解・解析し、新たな応用領域を開ける。
機械システム工学科の学習・教育到達目標(C)[CP3]および(F)[CP6]を養成する科目である。

【授業計画】
・授業の方法
前半では、医用画像診断システムの概要を理解した上で、まず、各モダリティについて、取得される信号と物理現象との関わりについて詳述する。次に、取得された信号からどのような原理に基づいて画像を形成するのかを学ぶ。最後に、人工知能や機械学習による医用画像処理に関して最近の取り組みを紹介する。
後半は、再生医療の全体像を理解した上で、細胞培養、幹細胞工学、生体材料工学の基層知識を学ぶ。その後、実例により細胞の3次元培養と組織構築、バイオリアクタ及び3Dプリンティング技術の応用などを解説し、再生医療における重要課題の工学的視点と技術による思考と解決法を習得する。
・日程
第1回:医用画像システムの概要
第2回:X線CT 放射線と物質の相互作用
第3回:X線CT フーリエ変換とCT
第4回:MRI 核磁気共鳴現象
第5回:MRI 撮像原理
第6回:PET / SPECT
第7回:エコー / OCT
第8回:まとめ
第9回:再生医療の概説
第10回:細胞培養技術
第11回:幹細胞工学の概要
第12回:バイオマテリアルの性質
第13回:細胞の3次元培養と組織構築
第14回:再生医療におけるバイオリアクタと3Dプリンティング技術の応用
第15回:まとめ

【学習の方法】
・受講のあり方
テキストは指定しませんが、講義内容を詳細に聞き取り、必ずノートに記載することが必須です。分らないことは先延ばしにしないで、授業中あるいは講義後積極的に質問してください。
・授業時間外学習へのアドバイス
予習:参考書について、予告された講義内容をあらかじめ確認し、授業内容の概要を理解しておくことが必要です。
復習:授業内容を整理し、自分が把握した知識を如何に授業の内容の理解を最大限に利用することを常に考えてください。

【成績の評価】
・基準
前半は、医用画像のテーマについてレポートを課す。理解度および到達度の観点から100点満点で評価する。後半は後半講義内容に関する参考資料・ノートを持ち込み自由なテストを行い、100点満点で評価する。
・方法
二名の教員前半8週と後半7週にそれぞれ分担するので、前半100点満点と後半100点満点の平均点で評価する。60点以上合格とする。

【テキスト・参考書】
前半分:
参考書 日本医用画像工学会編.医用画像工学ハンドブック.国際文献印刷社 2012
後半分:
参考書 小山 秀機.細胞培養ラボマニュアル.シュブリンガ―・フェアラーク東京 1999
参考書 B Palsson and S Bhatia. Tissue Engineering. Pearson Pretice Hall 2004

【その他】
・学生へのメッセージ
無断欠席をしないこと。授業を通して視野をひろげ、柔軟なものの見方・思考を身に付けてほしい。
・オフィス・アワー
日時等、特に設けないが、アポイントを取ればいつでも可能である。

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