化学・バイオ工学基礎Ⅱ
 Introduction to Applied Chemistry, Chemical Engineering, and Biochemical Engineering II
 担当教員:伊藤 和明 (ITO Kazuaki)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)化学・バイオ工学分野
 開講学年:1年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:化学・バイオ工学科  科目区分:専門教育科目・選択必修 
【授業の目的】
2年次以降から開講される専門科目への導入であり、有機化学を学ぶにあたって必要となる基礎知識について解説する。有機化学を学ぶために必要な基礎的知識を修得する授業である。原子の軌道や電子配置の知識の確認の後、化学結合についての理解を深める。また、共有結合の極性や酸と塩基についての知識の整理を行う。有機化合物としてアルカン、シクロアルカンを取り上げ、有機化合物の構造式と命名法を学び、さらにその立体化学について理解することを目的とする。

【授業の到達目標】
"この講義を履修した学生は、
(1) 化学結合についてを説明できる。【知識・理解】
(2) 混成軌道について説明できる。【知識・理解】
(3) 電気陰性度を理解し、極性共有結合について説明できる。【知識・理解】
(4) 形式電荷および共鳴について説明できる。【知識・理解】
(5) 酸と塩基およびpKa値について説明できる。【知識・理解】
(6) アルカン及びシクロアルカンについてその命名法、性質、立体構造について説明できる。【知識・理解】
(7) 四面体中心の立体科学について説明できる。【知識・理解】
(8) 有機反応の概観について説明できる。【知識・理解】
(9) 有機化合物(アルカン、シクロアルカン)と社会との関わりについて説明できる。【知識・理解】"

【授業概要(キーワード)】
原子の軌道と電子配置、化学結合、混成軌道、極性共有結合、形式電荷、共鳴、酸と塩基、pKa値、アルカン、異性体、シクロアルカン、立体化学、配座、配座解析、四面体中心の立体化学

【科目の位置付け】
この科目は化学・バイオ工学科ではカリキュラムポリシーの主に1(2)に該当する。

【授業計画】
・授業の方法
講義と演習を行いながら理解を深める。毎回、講義の始めに小テストを行う。
・日程
・日程
授業計画
第1回:構造と結合(原子の構造,化学結合論)
第2回:構造と結合(sp, sp2, sp3混成軌道,窒素・酸素・リン・硫黄の混成,化学結合の表記法)
第3回:極性共有結合(電気陰性度,双極子モーメント)
第4回:極性共有結合(共鳴構造,形式電荷)
第5回:酸と塩基(ブレンステット・ローリーの定義,酸と塩基の強さ,pKa値)
第6回:酸と塩基(酸塩基反応の予測,有機酸と有機塩基,Lewisの定義)
第7回:アルカン(アルキル基,アルカンの命名法,アルカンの性質,異性体)
第8回:アルカン(エタンの立体配座,他のアルカンの立体配座)
第9回:シクロアルカン(シクロアルカンの命名法,シスートランス異性,環ひずみ)
第10回:シクロアルカン(立体配座,アキシアルとエカトリアル)
第11回:シクロアルカン(一置換シクロヘキサンの立体配座,二置換シクロヘキサンの立体配座)
第12回:四面体中心における立体化学(鏡像異性体,キラリティー,立体配置表示法のための順位則)
第13回:四面体中心における立体化学(ジアステレオマー,メソ化合物,ラセミ体と鏡像異性体の分割,異性化現象のまとめ)
第14回:四面体中心における立体化学(窒素,リン,硫黄におけるキラリティー,プロキラリティー,自然界におけるキラリティーとキラルな環境)
第15回:まとめと期末テスト

【学習の方法】
・受講のあり方
予習をして授業に臨んで欲しい。教科書は必ず持参すること。授業中は私語、飲食等で他の受講生の迷惑となる行為を行った場合は、受講を遠慮してもらいます。途中に教室を出たり入ったりする事も周りの迷惑になるので原則として禁止します。
・授業時間外学習へのアドバイス
テキストを読んで予め分からない箇所を拾い出しておいてから授業に臨むと、理解が早い。
講義の後は、関連する練習問題を解いて復習をしておくこと。講義中で扱う問題以外の問題も解いておく。

【成績の評価】
・基準
ほぼ毎回の講義で小テストを行う。すべての小テストの合計を50点、期末テストを50点とする。合計得点が60点以上を合格とする。
・方法
小テストと期末試験,出席率、授業態度の結果を総合し成績を決定する。

【テキスト・参考書】
マクマリー有機化学 第9版 (上), JOHN McMURRY著, 伊東,児玉 訳,東京化学同人, (上)4600円+税、大学生協で入手可。
有機化学の教科書は良書が多く出版されており、図書館にも用意されています。ぜひ参考にしてみてください。また、丸善等で販売している分子模型を購入することをお勧めします。有機化学の理解がよりスムーズになります。

【その他】
・学生へのメッセージ
有機化学の持つ多様さに気が付く時,それをおもしろいと感じて学ぶか,学ぶことの多さに投げ出したくなるかは、大きな分かれ道です.複雑さと単純さを併せ持つ有機化学は実験で確かめられる実証の学問です.有機化学の楽しさがわかるまで頑張りましょう.
・オフィス・アワー
質問等がある場合には、授業終了後に直接お問い合わせください。

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