【授業の目的】
日本の近・現代小説作品について、「語り」という問題を焦点化することで深く読み解き、より豊かで健全な社会生活を営むために必要な、他者理解の基本について学ぶことを目的とする。
【授業の到達目標】
1) 学生が主体的に作品を読み、自らの読み自体を自己批評できる。 2) 学生が読み取った内容を、可能な限り正確に他者へ伝達できる。 3) 学生が個々の作品の「語り」について、討議することができる。
【授業概要(キーワード)】
「語り」「文脈」「自己教育作用」
【科目の位置付け】
この授業は、日本の近・現代小説作品について「語り」という観点から考察することで作品の深層を探り、哲学や宗教とも重なり合う文学の意義を確認し、その一連の経緯を通して読み手の「自己教育作用」を養うものである。
【授業計画】
・授業の方法
短編を中心とした日本の近・現代小説作品を毎回取り上げ、その「語り」の構造の特質について考え、読み手各自の「文脈」を構築し、読み手自身が何をどう読み取ったかを確認することで「自己教育作用」を発現させたいと考えている。
・日程
第1回目 講義の進め方とガイダンス 第2回目 「語り」という問題についての概説 第3回目 安部公房「公然の秘密」の「語り」を読む 第4回目 吉行淳之介「蠅」の「語り」を読む 第5回目 あまんきみこ「おにたのぼうし」の「語り」を読む 第6回目 葉山嘉樹「セメント樽の中の手紙」の「語り」を読む 第7回目 芥川龍之介「蜘蛛の糸」の「語り」を読む 第8回目 川端康成「ざくろ」の「語り」を読む 第9回目 宮沢賢治「よだかの星」の「語り」を読む 第10回目 太宰治「魚服記」の「語り」を読む 第11回目 中島敦「山月記」の「語り」を読む 第12回目 村上春樹「風の歌を聴け」の基本構造について 第13回目 村上春樹「風の歌を聴け」の「語り」を読む① 第14回目 村上春樹「風の歌を聴け」の「語り」を読む② 第15回目 試験とまとめ
【学習の方法】
・受講のあり方
読み取った内容をメモ書きし、それを基点として、各自が自身の「読むこと」の意味を発見し、対象作品から、何をどう読み取ったかを確認し、文学作品の読解をとおして自己を新たに発見し、自らを再確認するという「自己教育作用」を体験する。
・授業時間外学習へのアドバイス
授業で扱った作家の来歴や習った内容、関連する作品などについて、図書館やネットなどで自分なりに調べる。
【成績の評価】
・基準
扱った作品について、授業をとおして得られた知識や経験に基づいて主体的に考察し、論述できることが合格の基準となる。
・方法
平常点(20点)+小テスト(10点)+レポート(70点)で総合的に評価する。
【テキスト・参考書】
テキストは、村上春樹著『風の歌を聞け』(講談社文庫)を使用する。
【その他】
・学生へのメッセージ
高校の「国語」における小説読解のイメージが大きく変わるほどのインパクトを体験できれば、よく学んだと言えるでしょう。
・オフィス・アワー
質問等がある場合は、授業終了後に直接問い合わせるか、別途メールしてください。
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