職業指導Ⅱ
 Career Guidance Ⅰ
 担当教員:佐藤 義雄(SATO Yoshio)
 担当教員の所属:工学部非常勤講師
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:集中講義
 開講対象:工学部  科目区分:教職関連科目 
【授業の目的】
(1)我が国の教育を取り巻く諸情勢の変化について概観した後、社会的・職業的自立等に必要な力、求められる資質・能力についての知識を得ること。
(2)キャリア教育に関する実践事例について学び、生徒のキャリア教育計画案を作成するとともにキャリア教育に果たす教師の役割について理解を深めること。

【授業の到達目標】
(1)社会的・職業的自立等に必要な力や資質・能力について正しく説明できる。【知識・理解】
(2)能力育成に関する世界の動向や企業活動から見た資質・能力論について正しく説明できる。【知識・理解】
(3)それらに関して論点を整理し検討を加え意見を述べることができる。【態度・習慣】
(4)生徒のキャリア教育計画案を作成することができる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
キャリア教育、社会的・職業的自立、基礎的・汎用的能力、資質・能力、教職専門性、企業活動、教師の役割

【科目の位置付け】
(1)本科目は高校の『工業』教員免許状取得申請のための必修科目である。
(2)キャリア教育を計画・実施並びに評価をする上で必要な資質・能力について、最新の取組と実践例を取り上げ理解を深める。
(3)工業科教員としてキャリア教育に関わる素養を身に付けるとともに、教育現場における実践活動に役立てるために本講義を活用してもらいたい。

【授業計画】
・授業の方法
(1)夏休業中に集中講義で実施する。
(2)講義で配布する自作テキスト「職業指導Ⅱ」を用いて、コンピュータ画面をスクリーンに投影するなどして、講義と演習形式で行う、
(3)各章の終わりに設定した課題をもとに自由な討論を行う。
・日程
第1回  1.講義ガイダンス(内容、方法、「職業指導Ⅰ」の要点復習等)
第2回  2.我が国の教育を取り巻く諸情勢の変化
      1)現状と課題、2)目指すべき方向性
第3回  3.社会的・職業的自立、社会・職業への円滑な移行に必要な力
       1)キャリア教育答申で示された力の要素
      2)基礎的・汎用的能力についての提言
第4回    3)高校教育で共通に身に付けさせる資質・能力(「コア」)
       4)「主体的・対話的で深い学びの学習」と期待される資質・能力の育成
第5回  4.資質・能力についての世界の動向
       1)育成すべき資質・能力の概念の整理
      2)資質・能力育成のための二つの教育課程編成モデル
第6回    3)OECD DeSeCoプロジェクト
       4)21世紀型スキルプロジェクト
第7回   5)21世紀型能力の提案
       6)専門的職業人として育成すべき資質・能力(論点の整理)
第8回  5.資質・能力の多様な評価
       1)高等学校における学習評価、
       2)高校教育の質保証に向けた評価
第9回   3)ルーブリックを活用した評価
      4)工業高校における取組事例
第10回  6.教職専門性と教師に求められる資質・能力
       1)教職専門性とは
       2)教師に求められる資質・能力
第11回  7.企業活動と求められる資質・能力
       1)大学新卒者に求められる「能力」の構造と変容
       2)企業が採用時の要件として大卒者に求める能力とその評価方法
第12回    3)新産業構造ビジョンと第4次産業革命の下で求められる人材像
第13回  8.事例に学ぶキャリア教育
       1)キャリア教育の学校体制と実施に当たっての配慮事項
第14回    2)高等学校キャリア教育実践に学ぶ
  3)生徒A君のキャリア教育計画案の作成(演習)
第15回  9.キャリア教育に果たす教師の役割

【学習の方法】
・受講のあり方
(1)講義テキストを配布し、パワーポイントなどでスクリーンに示す講義内容を筆記したり、本文にマーカー線を引くなどして活用する。
(2)章末ごとに課題を設定し、講義内容の理解を深めるための自由な討論を行う。
(3)講義内容とこれまでの学習経験をもとに生徒A君のキャリア教育計画案の作成演習を行う。
(4)講義中はインターネットによる各種の教育情報をリアルタイムに取り上げるので、学習を深める観点から講義中の携帯端末機器の利用を勧めたい。
・授業時間外学習へのアドバイス
(1)講義中に紹介・推薦する文献を探して読んでおくこと。
(2)講義で取り上げた問題やテーマについて、情報を収集し、自分なりの解答や考えを整理しておくこと。
(3)日頃から教育に関する動向に留意し自分の考えを持つことに心がけておくこと。

【成績の評価】
・基準
工業科生徒のキャリア教育について,授業をとおして得られた知識やこれまでの体験に基づいて主体的に考察し,提出レポートで論述できることを合格の基準とする。授業回数(15回)の1/3を超えて欠席すれば、単位不可となる。
・方法
授業参加点30点+提出レポート点70点。提出レポートの作成の仕方については、懇切丁寧に複数回くり返して行うので、レポートの必要条件を踏まえて、提出期日までに必ず提出すること。ペーパーテストは実施しない。

【テキスト・参考書】
テキスト:「職業指導Ⅱ」(佐藤義雄、自作)及び講義時に配布するプリント
参考書:日本キャリア教育学会編「キャリア教育概説」(東洋館出版社、2008年)。中央教育審議会「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」(2011年)。文部科学省「高等学校学習指導要領、同解説(総則、工業、特別活動)」(2010年)。同「文部科学白書」(平成22年度、平成23年度)。

【その他】
・学生へのメッセージ
キャリア教育について、各種データや実践例を取り上げ、具体的で分かりやすく講義を展開します。テキストには、講義に関連する心理学や生徒指導、学校教育などの事項も取り上げ、キャリア教育を幅広く理解できるよう配慮しました。他の教職科目と本講義によって修得したキャリア教育理論を、教師として赴任した際の教育現場や、さらには自分自身の就職活動の際に応用できるように、積極的にこの科目の履修に取り組むことが望ましい。
・オフィス・アワー
一日の講義の終了時に講義室において質問等を受け付けるので、直接申し出てください。

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