社会経済学入門(経済学)
 Introduction to Political Economy (Economics)
 担当教員:久保 誠二郎(KUBO Seijiro)
 担当教員の所属:人文社会科学部非常勤講師
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
私たちの社会を「資本主義社会」と呼びます。では、「資本」とは何でしょうか?この経済社会の「主役」とは、今を生きる私たちであると共に実は「資本」でもあります。私たちの社会は、生産力の高度な発展により「豊かさ」を実現する一方で、富裕と貧困の格差、過酷な労働による過労(自)死、あるいは環境問題など、さまざまな社会問題を抱えています。この授業の立場は、こうした社会現象には「資本の運動」が深く関与していると捉えています。
この授業の目的は、現実の「働くこと」の諸問題にも目を配りながら、「資本の運動法則」の基礎理論を学ぶことです。なお、この授業の立場は「マルクス経済学」です。経済社会の諸問題を自分に引き付けて考える姿勢を培う契機になればと思います。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は
1)社会経済学の基礎概念を理解し、説明することができる。【知識・理解】
2)経済社会の諸問題を自分に関わる問題として感じることができる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
マルクス経済学、資本論、富裕と貧困、労働と社会、過労死

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は、「働くこと」の諸問題を参照しながら資本主義経済の理論を学ぶことを通して、社会の諸問題に関心を持ち、自己の意見を形成する態度の涵養と、健全な批判精神に裏打ちされた幅広い知識の習得に資するものである。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
08.働きがいも経済成長も

【授業計画】
・授業の方法
1)配布するレジュメと資料に基づいて授業を進めます。授業中は、たびたび教員から質問をします。
2)受講者による宿題等の発表、質疑応答があります。
・日程
全15回の授業の主要なテーマと順序は次のとおりです。
第1回目 授業ガイダンスおよび『資本論』について
第2回目 自由・平等の市民社会の「富裕と貧困」
第3回目 商品とは何か
第4回目 貨幣とは何か
第5回目 「おカネ」とその背後の社会関係を考えてみよう
第6回目 資本とは何か
第7回目 労働時間(労働日)と剰余価値
第8回目 19世紀と現代の事例から「働くこと」と「過労死」を考えてみよう(1)
第9回目 19世紀と現代の事例から「働くこと」と「過労死」を考えてみよう(2)
第10回目 生産力の発達と剰余価値(1)労働生産力と競争
第11回目 生産力の発達と剰余価値(2)生産技術の発展は労働を「ラク」にしたか
第12回目 資本の単純再生産
第13回目 資本の拡大再生産
第14回目 資本の運動と労働者の失業
第15回目 授業のまとめ(試験を含む)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1)配布する資料をよく読み、講師の説明や板書をノートにとり、内容の理解に努めましょう。
2)講師からの質問には、間違ってよいので積極的に答え、授業に参加しましょう。
3)宿題を発表してもらうことがあります。宿題には必ず取り組み、授業に臨みましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
本授業科目では、以下の課題等を課します。単位制度の実質化のため、授業外における以下の自主的な学修に取り組んでください。
1)配布資料や参考文献をよく読み、内容の理解に努めてください。
2)ほぼ毎回の授業で宿題(小テスト、簡潔なレポート)を課しますので、必ず取り組んで提出してください。

【成績の評価】
・基準
授業で解説する諸種の基礎概念を正しく理解していること、またレポートにおいては授業内容と関係させて自分の考察を論理的に展開していることを合格の基準にします。
・方法
試験 70点
レポート 20点
宿題(小テスト、簡潔なレポート)10点

【テキスト・参考書】
テキストは指定しません。ただし、下記の参考書で自主的に勉強することを勧めます。
『政治経済学の再生』(柴田信也編、2011年、創風社)
なお、この授業の「マルクス経済学」は『資本論』(カール・マルクス)を原典とします。『資本論』は各社から翻訳出版されています。また、現代的な諸問題を通して『資本論』を学ぶ参考書としては(やや古いのですが)さしあたり次の参考書を勧めます。
『時代はまるで資本論 貧困と発達を問う全10講』(基礎経済科学研究所編、2008年、昭和堂)

【その他】
・学生へのメッセージ
予備知識は特に必要ありません。経済社会と「働くこと」への関心を深める契機になればと思います。
・オフィス・アワー
授業に関する学生からの質問は,各回の授業終了後または開始前に受け付けます。

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