技術者倫理(社会と倫理)
 Engineering Ethics
 担当教員:立花 和宏(TACHIBANA Kazuhiro)、佐藤大介(SATO Daisuke)、学生相談室教員(School counselor)
 担当教員の所属:工学部
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):実践的工学倫理では、大日本印刷(株)の製造現場においてディスプレイ、半導体、微細加工の研究開発の経験がある教員が,QC活動、5S活動、クレーム対応、特許戦略などの経験を活かして、実践的な工学倫理について講義する。
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:化学・バイオ工学科  科目区分:必修科目 
【授業の目的】
技術者は専門的な能力故に一歩間違えれば製品や設備、工場などを通して社会に及ぼす影響は大きい。また、所属する企業との倫理的な葛藤に遭遇する場合もある。そのような場合にどのように行動していくかの指針を得ることを目的としている。

【授業の到達目標】
1)技術者の持つ専門的能力が社会へ及ぼすリスクを自覚し、そのことを適切に説明できる。【知識・理解】
2)技術者としての必要な法規や規範についての基礎的知識を身につけ、そのことを適切に説明できる。【知識・理解】
3)技術者として遭遇する倫理的な葛藤に対して適切な行動指針を身につける。【態度・習慣】
4)事例研究を通して、事故等が起きた原因を技術者の倫理、企業の倫理から分析できる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
職業倫理,工学,危険,安全,環境,資源,損益,ゲーム理論,法規,コンプライアンス,PL法,製造物責任,5S,品質保証,危機管理,ヒューマンエラー,リスク,エネルギー,地球,廃棄物,
情報技術,バイオテクノロジー,知的財産,生命倫理,研究倫理


【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
本科目は化学・バイオ工学科のディプロマ・ポリシー「(1)社会的な意義や責任感を自覚し,倫理的に正しい判断をする能力を身につけている」に対応する科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
10.人や国の不平等をなくそう
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
オムニバス形式により、実践的工学倫理(7回)、ハラスメント(1回)、生命倫理(7回)で行う。
■実践的工学倫理
対面授業を原則とする。 毎回技術者倫理に関連したテーマを取り上げる。 テキストを参照しながら、講義する。質問は随時受け付ける。 少人数のグループでワークショップを行い協働で課題に取り組み、結果を口頭発表する。 グループ名、メンバー、メンバーの役割、発表内容などは、 期末の成績評価申請書に申告してもらうので、思い出せるようにしておくこと。
■生命倫理
1)生命倫理に関わる用語について説明する。
2)生命倫理上問題となった事例を紹介し、問題を整理・分析しながら解説する。
3)受講者の考えも適宜紹介しながら、個々の考え方や倫理観の違いに触れる。
・日程
■実践的工学倫理
1週 哲学と思想-技術者倫理の位置づけ-
2週 善悪と損得-個人の利益と公共の福祉-
3週 ルールの表現と形式化-法令遵守と知的財産権-
4週 リサイクル-環境保全と資源問題-
5週 安全と品質管理-リスクマネジメントと製造物責任-
6週 未来へ向けて-地球温暖化と人口爆発-
7週 倫理が問われるとき-情報技術とバイオテクノロジー
■ハラスメントの講義
■生命倫理
9週 技術者の社会的責任と倫理
10週 研究倫理と情報倫理
11週 知的財産の保護
12週 生命に関する倫理の問題
13週 研究倫理と臨床研究
14週 事例研究
15週 期末試験および授業のまとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
■実践的工学倫理

本授業科目では、単位制度の実質化のため、原則として皆出席を求めます。7回×1.5時間=10.5時間は、学修保証時間として算入されます。

テキスト(教科書)・受講ノート・教材・準備して授業に臨んでください。 テキストの貸し借りはトラブルの原因となるため極力避けてください。 ワークショップに使う付箋、サインペンなどを準備してください。 ネットによる調査ができるようスマホ、タブレット、PC、などの情報機器を準備してください。 必ず学生証を携帯し、学術情報センターのアカウントを確認し、WebClassにアクセスできるようにしてください。

着席して受講してください。 前の方の座席は、視力や聴力が弱い方に譲ってください。 障害について合理的な配慮が必要な場合、事前に申し出てください。 コロナ感染等を止むを得ない事情で、事前にリモート受講を申し出る場合は、授業を送信してくれる学友を予め選んでください。
■ハラスメントの講義
■生命倫理
指定するテキストはありません。科学史や医療技術など、様々な事例を紹介します。それらに対して、自分の言葉で考えを記述することを念頭に受講してください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
■実践的工学倫理
単位制度の実質化のため、授業時間外での以下の予習・復習、報告書に対する学習保証時間のエビデンスを求めます。

(1)単位認定に最低必要な授業時間外の学修時間は各回0.5時間以上です。 (※)大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。 学則で、講義科目は1単位15~30時間と定められています。2単位の最低学修保証時間は30時間です。 15回から構成されるので1回あたり2時間です。 ここから、1.5時間の授業時間差し引くと0.5時間となります。
(2)上記学修時間に加えて授業時間外の標準学修時間の目安は30時間です。 (※)学則で、講義科目は1単位15~30時間と定められています。2単位の標準学修保証時間は60時間です。 報告書は、予習報告書を含めて最大4件とし、標準学修保証時間から最低学修保証時間を差し引いた30時間を充ててもらいます。 よって1件あたりの予習報告書や課外報告書の授業時間外学修時間は8時間を目安とします。
報告書による授業時間外学習は、加点評価されますが、必須ではありません。 WebClassにテーマが示されます。授業の進捗に応じてテーマを提案することもできます。 予習報告書の提出期限は、履修確定前まで、 そのほかの課外報告書の提出期限は、学期末までです。
■ハラスメントの講義
■生命倫理
授業で扱う事例に関して、レポートを課します。自分が授業内容をどのように理解し、何を問題視したのかについて、具体的にわかりやすくまとめるスキルを磨いてください。

【成績の評価】
・基準
■実践的工学倫理
1. エンジニアの信条、技術者、工場、安全などの与えられたテーマについて協働で議論し、その内容を小論文としてまとめ、プレゼンテーションできることを合格の基準とします。
2. 社会貢献できる技術者の姿勢について協働で議論し、その内容を小論文としてまとめ、プレゼンテーションできることを合格の基準とします。
■生命倫理
生命倫理・研究倫理・技術者倫理に関して、
1)基本的な用語の意味を説明できること
2)何が問題視されていて、その問題に対してどのような姿勢で取り組むべきであるかについて、具体的にわかりやすく説明できること
を合格の基準とします。
・方法
本科目は実践的工学倫理、ハラスメントの講義、生命倫理とも60点以上を合格とします。評点は、実践的工学倫理、ハラスメントの講義、生命倫理の授業回数による重み付き平均((実践的工学倫理の評点×7+ハラスメントの講義の評点×1+生命倫理の評点×7)÷15)とし、小数点以下は切り上げます。

■実践的工学倫理
(1) 大学設置基準第二十一条ならびに 山形大学学部規則 第34条 に基づき 平常(9点/回)と報告書(10点/件)で成績を評価します。 各回の平常点および報告書は、学修保証時間に対応し、合格の基準に到達している場合、内容によらず一律加点され、部分点はありません。
(2)平常とは、授業時間内(1.5時間×7回)でのワークショップ(討論)への参加、意見発表(質疑応答)、実技実演の取り組み状況 ならびに 授業時間外(0.5時間×15回)の各回の授業の予習やWebClassへの 平常演習の提出を含む復習です。0.5時間が保証されれば、平常演習の提出は必須ではありません。
(3)報告書とは、授業時間外のに取り組んだ予習報告書、課外報告書のことです。 予習報告書の締め切りは、履修確定時までとします。 そのほかの課外報告書の締め切りは、最終回授業からおおむね一週間後です。 報告書の学習保証時間は、1件につき8時間とします。 報告書で盗用、捏造、改竄などの研究不正が発覚した場合、履修は取り消され、本学に通報され、評点は0となります。
(4)成績は、成績評価申請書の提出によります。 平常の取り組み状況ならびに報告書を 成績評価申請書として WebClassに提出してもらいます。
(5) 次の場合は、評点が0になります。
・出席が全体の2/3に満たなかった場合
・授業時間内での紙媒体による履修意志の確認ができなかった場合
・期限までに成績評価申請書が提出されなかった場合
・不正行為に該当した場合
(6) 欠席した場合、平常点は申請できません。報告書で挽回してください。 大幅な遅刻や早退をした場合は、平常点は申請できません。 公認欠席(公欠)も欠席なので、平常点は申請できません。 「内職」など実態として故意に講義に参加していない場合も、平常点は申請できません。 「ピ逃げ」「代返」に該当する行為は、欠席ではなく不正行為として扱います。発覚した時点で、本学に通報され、履修は取り消され、評点は0となります。 自己の責によらない欠席の場合、診断書や事故証明書などのエビデンスの提出を求めることがあります。 就活による欠席は、自己の責による欠席となります。
■ハラスメントの講義
出欠情報収集システムを利用した授業参加点で評価する。

■生命倫理
レポートおよび期末試験をそれぞれ50点満点として、合計60点以上を合格とします。定められた期限までにレポートが提出されなかった場合と、出席が全体の2/3に満たなかった場合は、評点が0になります。

【テキスト・参考書】
■実践的工学倫理
テキスト:中村 収三 編著, 技術者による実践的工学倫理第3版 , 化学同人
テキスト:松林光男/渡部弘 著, イラスト図解 工場のしくみ 日本実業出版
テキスト:小林一也,工業技術基礎、実教出版
■生命倫理
参考書:黒崎剛、吉川栄省編著「生命倫理の教科書―何が問題なのか 第2版」ミネルヴァ書房(2022)
香川知晶著「生命倫理の成立―人体実験・臓器移植・治療停止」勁草書房(2000)

【その他】
・学生へのメッセージ
本講義は、カリキュラムに技術者倫理の導入した際、非常勤講師の宍戸道明先生が担当されていた講義を會田先生と立花が引き継いだものです。會田先生のご退職に伴い、佐藤大介が會田先生担当分を引き継ぎました。技術が人々の幸福につながるよう皆さんとともに議論してゆきたいと思います。
・オフィス・アワー
■実践的工学倫理:立花和宏:3号館3-3308
■ハラスメントの講義:学務課教育支援担当
■生命倫理:佐藤大介:9号館9-808、月曜日 16:00~17:00

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