Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
あっとおどろく大学事務NG集
 
 

 国際武道大学 :高坂正治 


「武道の可能性」

私は、「武道指導・評価法(少林寺拳法)」という授業を担当しています。中学校教員の経験を活かして、中学校や高等学校での武道授業を想定して行っています。

ところで皆さん、少林寺拳法は、いつ、どこで、誰が、何の目的で始めたのかご存じですか?

「武道指導・評価法」という授業科目名にもかかわらず、受講している学生のほぼ全員が少林寺拳法は中国発祥の武術であると思っています。 その名称から中国の嵩山少林寺を連想するので無理もありませんが、知名度の低さを痛感する瞬間です。

少林寺拳法は、1947年に香川県多度津町で、宗 道臣(そう どうしん)という日本人が健全な青少年育成を目的に始めた日本の武道なのです。毎回、授業はここから始まります。

私がこの授業で一番こだわっていることは、「技を通して、教えを体感」し、「授業での学びを日常生活に活かす」ことです。 学習指導要領には、「武道の伝統的な考え方を理解すること」、「相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守ろうとすること」が掲げられていますが、 礼儀作法を含めた技そのものから、あるいは技を習得する過程において、物事を捉える視点や考え方、人間関係のあり方などを学ぶことに、武道授業の意義や特性があると考えています。 これは主体的・対話的な深い学びの鍵となるものです。

授業は、基本動作→対人的技能→教え(講話)→振り返り、という流れで進めます。 技と教えをつなぐキーワードとして、テーマを設定します。テーマ・技・教えの関連性を持たせて展開することが、 少林寺拳法を教材化するにあたってのポイントとなります。

授業のメインである対人的技能では、相手の攻撃に対して、恐怖心、緊張感が生まれ、体の状態(力みなど)に意識を向けます。 技を習得するには、「身体遣い」の変換が求められます。身体操作だけではなく、物事を捉える視点や考え方の変換も求められます。相手との関わり(攻防)の中で、自己と対話する時間です。

そして対人的技能の後、講話を行います。テーマ・技・教えを関連させながら、日常生活や人間関係のあり方に置き換えて話をします。 講話によって授業での学びを日常生活へとつなぎます。

授業の最後には、学生に振り返りシートを記入してもらいます。授業での学びや気づきを自分の体験に照らし合わせたり、自分の専門の種目に置き換えたりします。 学生の受け取り方を見て、テーマの設定、技の精選、教えの説明の仕方など授業改善に役立てています。

学内を歩いていると授業を受講していた学生が少林寺拳法の礼法である合掌礼で挨拶してくれます。 武道の伝統的な考え方、行動の仕方について理解してくれたのかなととても嬉しく思います。

今後も、授業を通して、武道の可能性を追求し続けていきたいと思います。


   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学高等教育研究企画センターまで。
山形大学 高等教育研究企画センター 〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4707 FAX:023-628-4720 k3cen@jm.kj.yamagata-u.ac.jp