口腔保健のスペシャリストを目指して −コロナ禍での挑戦−
歯科衛生士の仕事が大きく変わろうとしている。
超高齢社会を迎えた日本において、口腔衛生状態が、全身の健康や周術期の健康や回復に大きく影響することがわかってきたからである。
かつては歯科診療所での業務がメインであった歯科衛生士の仕事は、他職種(医師、看護師、介護士、管理栄養士など)と連携する力が求められている。
さらには国民の健康寿命や社会保険医療費が問題になっている我が国にとって、口腔ケアの専門家として、地域包括ケアに貢献することが大きな課題である。
明海大学では歯学部、付属病院、生涯研修センターである歯科診療所を有し、歯科分野での教育・研究、臨床の実績を蓄積してきた。
これからの歯科衛生士の社会的ニーズに応えるべく、本学は昨年(令和元年)、保健医療学部口腔保健学科を新設した。
開設1年目はピカピカの講義室で、学生も教員も共に講義や学内イベントに一生懸命取り組み、あっという間に時が過ぎた。
入学当時はまだ高校生気分が抜けていなかったが、1年もすると少しずつ主体的に取り組む態度が育まれてきた。
開設2年目。
100年に1度起こるか起こらないかのパンデミック感染症であるコロナ旋風が大きく教育現場を直撃した。
緊急事態宣言を受け、教師も学生も慣れないmanabaによるオンデマンド式遠隔授業が始まった。
非常事態宣言解除に伴い、6月には対面授業がスタートした。
久しぶりに会う元気な学生の顔を見たときはほっとした。
対面授業に参加できない学生のためにも、引き続きmanabaでの学修も並行して行った。
問題は基礎実習科目をどうするかである。
リアルタイムで学生は先生の講義指導を見ながら、教師は学生個人の実習の様子が把握できるように学科独自でオンライン双方型授業zoomをスタートさせた。
ウイルスとの攻防が続く中、7月中旬からまた全科目遠隔授業になった。
対面授業には及ばないが、zoomを立ち上げていたおかげで、ある程度の実習スキルの習得をカバーできる。
備えあればこそであった。
コロナ感染の先はまだ不透明である。
しばらくオンライン授業が続くであろう。
ICTの技術と利便性がさらに追及されていくであろう。
既存の方法や概念にとらわれない新しいシステムや、柔軟な対処法についても考えなければならない。
数値化できないところの情報、コミュニケーションがなおざりにならないようにすることも重要と考える。