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 神奈川大学 :中村 壽宏 


オンライン授業と成績評価

 このリレーエッセイも,当然とはいえ遠隔授業の話題が続いています。 わたしの場合,成績評価まで完了したので,いわゆる最終テスト・レポートについて考えたいと思います。

 わたしは本学の遠隔授業実施対策のプロジェクトチームリーダーとして,授業実施に関する各種のマニュアルを整備し,広く質問・相談にも応じていたのですが,いちばん困ったのはまさしく最終評価の方法についてでした。 当初は,最終評価の方法についてもマニュアルを作るつもりだったのですが,ここにこそそれぞれの先生方の個性が出るといいますか,ある種の聖域でもありますので,ここにエラソーに指針めいたものを出すのもどうやろか,ということでこれは見送りました。 各人いろいろ工夫してくれるだろうなという期待も込めてです。 決してマニュアル作りに飽きたからではありません,本当です。

 とはいっても,やはり様々な相談はありました。 面白いことに(?),わたしに最終評価の方法を相談してきた方々には,ある共通点がありました。 それは「従来通りの定期試験に近いことをやりたい」という要望です。 ハッキリ言いました「むりですよ」と。 「遠隔で一斉に試験問題をメール配付するのはどうか」「カンニングを防ぐ方法は」「ネットの利用を禁じたいのだが」とかいろいろありましたが,ネット回線の状況に起因するラグの発生を考慮すれば「公平性を保った一斉実施」とか神の所業のレベルですし,遠く離れた学生の挙動を制御するとかできるわけありません。

 「知識を問うからダメなんですよ」というのが,わたしの回答です。 「〜について論ぜよ」とか「括弧内に適切な語句を〜」という課題・問題だと,今どきの学生はネットでググっておしまいにしてしまいます。

 ではわたしはどのようにしたのかと言いますと,形式的には一週間ほどの期間を与えてのレポート課題としました。 わたしは法律学を教えているのですが,「XはYに対して…それを受けて裁判所は…のようにしたが,これに対して…」というような物語風の長文をつくり,これを学生に読ませたうえで「この文章には法的観点において間違いがあるのでそれをすべて指摘し,正しくはどうなるか説明してください」という問いにしました。 この形式ですと,きちんと勉強した学生は間違いの箇所で「おや?」と気づくでしょうし,あやふやなポイントは教科書やレジュメを調べるでしょう。 こうすることで,ネット上に答えがない問題を作れますし,「なんとなく理解してたつもり」というレベルの学生に重要ポイントの確認をさせることもできます。 大多数の学生は素晴らしいレポートを出してきましたので,遠隔終わってもこの形式でいいんじゃないかとさえ思っています。

 ところで,ほぼ99%同じレポート出してきた(語尾だけちょこちょこ変えてる。)学生が2人だけいるんですが,こいつらどうしてやるべきでしょうかね(笑)。


   
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