私が担当している「会計学基礎論」は、入学直後の1年生春学期の科目であり、大学で学ぶすべての簿記・会計分野の科目の基礎となるものである。本科目で簿記・会計分野に興味をもってもらえなければ、その後に続く、財務会計・管理会計といった会計科目を学生に選択してもらえないことへつながってしまう。新入生に簿記・会計に興味をもってもらうには、どうすればいいのか、試行錯誤を重ねてきた。
「会計学基礎論」では、会計学の基礎となる簿記を学ぶのであるが、新入生のほとんどは、簿記の知識はまったくのゼロであり、一から教えていく必要がある。その際大切にしていることは、如何に学習意欲を喚起するかということ、それを如何に持続させるかということである。それらを実現するために日本商工会議所主催の簿記検定3級という検定試験を最初の目標として提示している。検定試験に合格して資格が取得できることにより、やる気と自信が増し、3級合格後は、次は2級を取りたいと思って自ら積極的に学習に取り組んでくれている。そのおかげで1年春学期の「会計学基礎論」に続く1年秋学期の簿記検定2級の内容を学ぶ授業科目「商業簿記」を多くの学生が選択してくれている。
資格取得の過程で身に付けた専門知識を用いて自分で考えて議論できるようになり、また、会計分野の科目のみならず、他分野の学習に対する意欲の向上にもつながっている。良い成績と十分な専門知識をもって就職活動に臨め、結果、希望の組織から内定をもらえ、望んだ組織の一員として社会人生活をスタートできている。夢と希望を胸に卒業し社会へ羽ばたいていく学生の姿を見るたびにがんばってよかったと思うと同時に、また来年度もがんばろうという気持ちをもって、新年度を迎えることができている。これからもより多くの学生が意欲をもって学習に取り組めるよう努めていきたい。
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